いま、個人投資家のあいだで「高配当株」への関心が急速に高まっています。日本の株式市場全体が活況を呈するなか、配当利回りの高い銘柄や、高配当株を集めた投資信託・ETFに資金が集まっています。証券各社のNISAランキングでも、高配当株や関連商品が上位常連です。

背景にあるのが、2024年に始まった新NISAの浸透です。とりわけ成長投資枠は高配当株・高配当株ファンドと相性がよく、「配当を非課税で受け取りながら資産を育てたい」という需要の受け皿になっています。

しかも見逃せないのは、この活況が、本来なら高配当株に逆風のはずの「金利上昇局面」で起きているという点です。

ココがポイント
  • 新NISAで配当が非課税、東証改革で増配が広がったのが追い風
  • 金利上昇は本来逆風。それでも買われる理由がある
  • 利回りの高さより「増配の持続力」を見極めたい

なぜ今、これほど人気なのか——3つの理由

高配当株人気の理由は、大きく3つに整理できます。

第一に、新NISAによる「配当の非課税」です。通常、配当金には約20%の税金がかかりますが、NISA口座で保有すれば非課税。利回り4%の株なら、税引き後で実質的に利回りが底上げされる計算になり、インカム狙いの投資家にとって恩恵が大きいのです。ただし、この非課税の恩恵も、選ぶ銘柄を誤れば帳消しになりかねません。

第二に、東京証券取引所の改革を受けた「増配ラッシュ」です。「資本コストや株価を意識した経営」の要請を受け、多くの企業が自社株買いや増配など株主還元を強化。配当を増やす企業が増えたことで、高配当株の魅力そのものが底上げされています。

第三に、不確実な相場での「インカム志向」です。株価が高値圏で先行きが読みにくいなか、値上がり益(キャピタルゲイン)だけに頼らず、定期的な配当(インカムゲイン)を重視する投資家が増えています。

高配当株が人気の3つの背景1/2

高配当株が人気の3つの背景

高配当株人気は「3つの追い風」

このように、高配当株人気は「配当の非課税(新NISA)」「東証改革を背景にした増配」「不確実な相場でのインカム志向」という3つの追い風が、同時にそろった結果だといえます。株価が高値圏にあっても、安定した配当を受け取れる高配当株は、多くの投資家にとって魅力的な選択肢になっています。

ただし、この追い風の裏で、警戒すべき落とし穴があります。実は「利回りが高い」ことは、必ずしも「割安でお買い得」を意味しません。むしろ、高すぎる利回りは"危険信号"のことすらあるのです。なぜそう言えるのか。そして本来は逆風のはずの金利上昇下でなお買われる理由も含め、高い利回りに飛びつく前に確かめておきたいポイントを整理します。

高配当株の「落とし穴」と本当の選び方

まず押さえたいのが、金利と高配当株の関係です。日銀は2026年6月、政策金利を1.0%程度へ引き上げることを決定しました。金利が上がると預金や債券の魅力が増すため、本来「利回り商品」である高配当株には逆風が吹きます。配当利回りと長期金利の差(イールドスプレッド)が縮み、割安感が薄れるからです。それでも買われているのは、非課税・増配・インカム志向の追い風が、金利の逆風を上回っているためでしょう。

そのうえで見落とせないのが、「利回りの高さそのものは、買う理由にならない」という点です。配当利回りは「1株配当÷株価」。株価が下がれば利回りは自動的に上がるため、異常に高い利回りは、市場が「この配当は維持できない」と見ているサインであることが少なくありません。つまり高利回りは、しばしば「割安」ではなく「危険信号」でもあるのです。

では何を見るか。カギは「増配の持続力」です。具体的には、利益のうちどれだけを配当に回しているかを示す配当性向(目安として80%を超えると利益の大半を配当に充てている状態で、無理が生じやすい)、配当の原資を生む稼ぐ力=ROE(自己資本利益率)、そして配当を実際に支払うフリーキャッシュフローの安定性。この3点がそろって初めて、その高配当は「続く配当」だと判断できます。

高配当株の利回りに飛びつく前に確認したいこと2/2

高配当株の利回りに飛びつく前に確認したいこと