老齢年金生活者支援給付金の2026年度の基準額は月額5620円です。ところが、実際に支給されている平均額は4146円と、基準額を下回ります。

本記事では、この差がどこから生まれるのかを給付額の決まり方から確認したうえで、支給日のしくみと手続きの流れを整理します。

橋本 優理

老齢年金生活者支援給付金は、収入が一定以下の年金生活者を支援するための制度です。

この給付金は、全員が一律で同じ金額を受け取るものではありません。

年金の納付実績を反映するため、実際の受取額は基準額を下回るケースもあります。

まずは金額の決まり方を見ていきましょう。

1. 年金生活者支援給付金とはどのような制度か

「年金生活者支援給付金」は、基礎年金の受給者が一定の所得要件などを満たす場合、年金額に上乗せして受け取ることができる給付金です。

受給中の年金種類に応じて、それぞれの給付金が設けられています。

  • 老齢年金生活者支援給付金
  • 障害年金生活者支援給付金
  • 遺族年金生活者支援給付金

すでに基礎年金を受給中の人が、所得が下がったことなどにより新たに「年金生活者支援給付金」の対象となった場合、例年9月の第1営業日以降順次、「年金生活者支援給付金請求書(はがき型)」が緑色の封筒で届きます。

※老齢年金を繰上げ受給中の人は、65歳になる誕生月の初旬(1日生まれの方は前月の初旬)、または65歳を迎える誕生月の初め頃に届きます。

9月の第1営業日以降、緑色の封筒で順次届きます1/3

年金生活者支援給付金請求書(はがき型)の見本

出所:厚生労働省「年金生活者支援給付金」

なお、「年金生活者支援給付金請求書(はがき型)」が届いた場合電子申請による請求書の提出も可能です。

スマートフォン(またはPC)とマイナンバーカードにより電子申請で提出した場合、郵送での提出は不要となります。

2. 老齢年金生活者支援給付金の支給要件

今回は3種類ある年金生活者支援給付金のうち、高齢者世帯の暮らしと関わりが深い「老齢年金生活者支援給付金」について、情報を整理していきます。

2.1 老齢年金生活者支援給付金【支給要件を見る】

以下の3つの要件をすべて満たす場合、老齢年金生活者支援給付金の支給対象となります。

  • 65歳以上の老齢基礎年金の受給者
  • 同一世帯の全員が市町村民税非課税
  • 前年の公的年金等の収入金額とその他の所得との合計額が昭和31年4月2日以後に生まれの方は82万6500円以下、昭和31年4月1日以前に生まれの方は82万4100円以下(※)である

※昭和31年4月2日以後に生まれた方で82万6500円を超え92万6500円以下である方、昭和31年4月1日以前に生まれた方で82万4100円を超え92万4100円以下である方には、「補足的老齢年金生活者支援給付金」が支給されます。

なお、ここに挙げた金額は2026年10月分からの基準です。9月分までは、昭和31年4月2日以後に生まれた方が80万9000円以下、昭和31年4月1日以前に生まれた方が80万6700円以下でした。9月に届く請求書は10月分からの給付を請求するものなので、判定に使われるのは上の金額になります。

また、老齢年金生活者支援給付金の判定基準に、障害年金・遺族年金などの非課税収入は含まれません。

3. 給付額は基準額5620円をもとに納付実績で決まる

年金生活者支援給付金の金額は、物価変動率を踏まえ年度ごとに改定されるルールがあります。

これにより、2026年度分については、前年度から「+3.2%」となりました。

2026年度は前年度から3.2%の引き上げです2/3

年金生活者支援給付金の2026年度の給付基準額を老齢・障害・遺族の種類別に示した表

出所:厚生労働省「令和8年度の年金額改定についてお知らせします」をもとにLIMO編集部作成

老齢年金生活者支援給付金:2026年度の給付基準額:5620円(月額)

老齢年金生活者支援給付金の実際の給付額は、月額5620円を基準額(2026年度)とし、保険料納付済期間等に応じて決定します。

なお、厚生労働省「令和6年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」によれば、2025年3月における老齢年金生活者支援給付金の平均給付月額(※)は4146円でした。

※2025年3月において認定されている平均給付金額

納付していない期間があると、その月は計算に入りません。一方で保険料が免除されていた期間は計算に入ります。この違いについては、LIMOの記事「【年金生活者支援給付金】「未納」は計算に入らず「免除」は入る。はがきが届かないときは年金事務所で記録を確認」でまとめています。

3.1 年金生活者支援給付金の支給日:原則「偶数月の15日」

「年金生活者支援給付金」は、年金と同じく年6回、偶数月の15日に支払われます(※15日が土日または祝日のときは、その直前の金融機関の営業日に前倒し)

年金とは別に、同じ口座に同じ日に振り込まれるため、通帳には2つの振込記録が記載されます。

原則として、各支払月にはその前月までの2カ月分がまとめて支払われます。例えば、10月には8月・9月分、12月には10月・11月分、といった具合です。

4. 今のシニアの平均年金月額はいくらか

公的年金の本体を、今のシニアはどの程度受給できているのでしょうか。

厚生労働省「令和6年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」から、国民年金と厚生年金の平均年金月額を、男女全体・男女別に見ていきます。

4.1 国民年金・厚生年金の平均年金月額《全体・男女別》

国民年金は約6万円、厚生年金は約15万円です3/3

国民年金と厚生年金の平均年金月額を、男女全体・男性・女性の別に示したグラフ

出所:厚生労働省年金局「令和6年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」をもとにLIMO編集部作成

平均月額は国民年金(老齢基礎年金)が約6万円、厚生年金(国民年金部分も含む)が約15万円です。

4.2 国民年金

  • 〈全体〉平均年金月額:5万9310円
  • 〈男性〉平均年金月額:6万1595円
  • 〈女性〉平均年金月額:5万7582円

4.3 厚生年金(※国民年金月額を含む)

  • 〈全体〉平均年金月額:15万289円
  • 〈男性〉平均年金月額:16万9967円
  • 〈女性〉平均年金月額:11万1413円

現役時代の働き方・過ごし方による年金加入履歴の差が、グラフが示すように老後の年金額の男女差・個人差として反映されています。