3. 最新の動向|なぜ「現金給付」に一本化?背景に《社会保険料の負担》問題
内閣官房が公表した「中間とりまとめに向けた議論の整理(給付付き税額控除)」によれば、事務手続きの効率化と制度の早期実現を重視し、当面は税額控除(減税)の実施を見送り、「現金給付」という形で先行して導入する方針が示されています。この判断は、過去にイギリスやフランスが制度の複雑さから「減税と給付の併用」をやめ、最終的に給付のみに切り替えた経緯や、日本国内の自治体や企業における事務的な負担を軽減するための現実的な選択といえるでしょう。
この方針の背景には、日本の現役世代、特に子育てをしている中低所得層の世帯が、他の先進国と比較して社会保険料などの負担が重いという現状があります。さらに、今回の制度設計では、子育て世帯に限定せず、単身者や自営業者なども含めた幅広い層を支援の対象とすることが検討されています。
手取り額が伸び悩む問題や、いわゆる「年収の壁」を意識して就労時間を調整する「働き控え」を解消するために、以下のような具体的な支援策が議論されています。
例えば、所得の正確な把握が困難な非課税層には一律の「定額」を給付する一方、課税層に対しては就労収入が増えるほど支援額も増える「逓増」方式を一定水準まで適用します。加えて、社会保険料の負担が発生して手取りが逆転する「年収の壁」を超える際には、「一時的な加算」を行い、手取りの減少を防ぎます。そして、所得が一定額を超えた高所得層については、支援額を緩やかに減らしていく(逓減・消失させる)設計が考えられています。
さらに、支援額の算定は世帯単位ではなく、原則として「個人単位」で行われるため、配偶者の収入を気にして働く時間を調整するといった課題の緩和にもつながると期待されています。
