5月も下旬となり、新年度から始まった制度変更にも慣れてきた頃かもしれません。
年金制度においても、いくつかの見直しが行われています。
その中でも、公的年金に上乗せされる「年金生活者支援給付金」は、所得が一定基準額以下の方の生活を支える重要な制度です。
2026年度からは給付基準額が改定されており、対象となる方にとっては見逃せない情報です。
しかし、この給付金は自動的に受け取れるわけではなく、所得などの要件を満たした上で、ご自身での請求手続きが必要になる場合があります。
この記事では、2026年度の最新の給付基準額や支給要件、申請方法について詳しく解説します。
あわせて、公的年金の受給額の実態にも触れながら、高齢者世帯の家計について考えていきます。
1. 「年金生活者支援給付金」の基本を解説
「年金生活者支援給付金」は、老齢・障害・遺族のいずれかの基礎年金を受給している方で、所得などの一定の要件を満たす場合に支給される制度です。
この制度には「老齢」「障害」「遺族」の3つの年金生活者支援給付金が設けられています。
1.1 老齢年金生活者支援給付金の対象者と支給要件
- 65歳以上で、老齢基礎年金を受給していること
- 同じ世帯に住む全員の市町村民税が非課税であること
- 前年の公的年金などの収入金額(※1)と、その他の所得の合計額が、生年月日に応じて定められた以下の基準額以下であること(※2)
・昭和31年4月2日以降生まれの方:80万9000円以下
・昭和31年4月1日以前生まれの方:80万6700円以下
※1 障害年金や遺族年金といった非課税収入は、ここでの収入金額には含まれません。
※2 基準額をわずかに超える方にも「補足的老齢年金生活者支援給付金」が支給される場合があります。対象となるのは、昭和31年4月2日以降生まれで合計額が80万9000円超90万9000円以下の方、または昭和31年4月1日以前生まれで80万6700円超90万6700円以下の方です。
1.2 障害年金生活者支援給付金の対象者と支給要件
- 障害基礎年金を受給していること
- 前年の所得額(※)が479万4000円以下であること(扶養親族の人数によって基準額は上がります)
※ 所得額の計算には、障害年金などの非課税収入は含まれません。
1.3 遺族年金生活者支援給付金の対象者と支給要件
- 遺族基礎年金を受給していること
- 前年の所得額(※)が479万4000円以下であること(扶養親族の人数によって基準額は上がります)
※ 所得額の計算には、遺族年金などの非課税収入は含まれません。
このように、「年金生活者支援給付金」を受け取れるかどうかは、どの種類であっても前年の所得が重要な判断材料の一つになっています。
2. 【2026年度最新】年金生活者支援給付金の基準額はいくらに?
「年金生活者支援給付金」の支給額は、公的年金と同じように物価の変動に応じて毎年見直されます。
2026年度については、前年度と比較して3.2%の増額改定が実施されました。
この新しい金額は、2026年6月に支給される4月・5月分から適用されます。
改定後の2026年度の支給額は、次の通りです。
- 老齢年金生活者支援給付金(基準額):月額5620円
- 障害年金生活者支援給付金:障害等級1級は月額7025円、2級は月額5620円
- 遺族年金生活者支援給付金:月額5620円
ただし、老齢年金生活者支援給付金の場合、この基準額をベースとして、個人の保険料納付済期間や免除期間に応じて、最終的な支給額が計算されることになります。
3. 老齢年金生活者支援給付金の年間受給額は?支給イメージを解説
年金生活者支援給付金の額は月額で表示されることが多いですが、実際の支給は2カ月分が一度に行われます。
したがって、受給額を正確に理解するためには、年間の総額や支給されるタイミングも知っておくことが大切です。
例として、老齢年金生活者支援給付金の基準額である月額5620円で計算すると、年間の合計は約6万7440円です。
支給月は偶数月と決まっており、例えば4月と5月の分は6月に、6月と7月の分は8月に支給される、という流れになります。
この場合、1回に支給される金額は約1万1240円※となり、これを年に6回受け取ることになります。
月額だけを見ると少額に感じるかもしれませんが、年間で考えるとまとまった金額になり、生活の助けとなるでしょう。
支給される金額やスケジュールを事前に把握しておくことは、計画的な家計管理に役立ちます。
※実際の支給額は、個人の状況によって異なります。
4. 申請しないと受け取れない?年金生活者支援給付金の請求手続き
「年金生活者支援給付金」は、公的年金と同じく、受け取るためには請求手続きが必須です。
ここでは、多くの方が当てはまるであろう2つのパターンについて、手続きの流れを見ていきましょう。
4.1 ケース1:すでに年金を受給中で、新たに支給対象となった方
毎年9月の初め頃(2025年の場合は9月1日)から、対象となる可能性のある方へ「年金生活者支援給付金請求書(はがき型)」が順次郵送されます。
給付金の支給は、原則として請求手続きが完了した月の翌月分から始まるため、届いたら速やかに手続きを進めることが重要です。
この「年金生活者支援給付金請求書(はがき型)」を受け取った方は、郵送だけでなく電子申請で提出することも可能です。
電子申請を利用すれば、はがきを郵送する必要はありません。
4.2 ケース2:これから老齢年金の受給が始まる方
65歳を迎える約3カ月前になると、日本年金機構から封筒が届きます。
この中には、年金を受け取るために必要な「年金請求書(事前送付用)」とあわせて、「年金生活者支援給付金請求書」も入っています。
それぞれの書類に必要事項を記入し、65歳の誕生日の前日以降に、年金請求書と一緒に年金事務所へ提出してください。
一度この請求書を提出し、その後も支給要件を満たし続けていれば、原則として翌年以降に再度手続きをする必要はなく、継続して給付金を受け取れます。
※給付金の支給は、毎年度、前年の所得などに基づいて継続できるかどうかの判定が行われます。その判定結果は、毎年10月分(12月支給)から1年間にわたって適用されます。
5. 年金の平均受給額はいくら?厚生年金と国民年金の現状
ここでは、厚生労働省が公表している「令和6年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」を参考に、厚生年金と国民年金の平均受給月額を全体と男女別に見ていきましょう。
5.1 厚生年金の平均年金月額はいくら?
〈全体〉平均月額:15万289円
- 〈男性〉平均月額:16万9967円
- 〈女性〉平均月額:11万1413円
5.2 国民年金の平均年金月額はいくら?
〈全体〉平均月額:5万9310円
- 〈男性〉平均月額:6万1595円
- 〈女性〉平均月額:5万7582円
会社員や公務員だった方が受け取る厚生年金(国民年金部分を含む)は、現役時代の加入期間や収入などによって、人それぞれ受給額が大きく異なります。
実際に、月々の受給額が2万円に満たない方もいれば、25万円以上を受け取っている方もおり、その分布は非常に広範囲です。
一方、自営業者など国民年金のみに加入していた方の場合、男女ともに平均月額は5万円台です。
仮に満額を受け取れる場合でも、2026年度の基準では月額7万608円となります。
国民年金は厚生年金ほど受給額に大きな差は出にくいですが、老後の生活資金を計画的に準備しておく重要性がより高いといえるかもしれません。
6. まとめ:公的支援制度を活用し家計を見直す重要性
この記事では、2026年度における年金生活者支援給付金の基準額、対象となる方の要件、そして申請の流れについてご説明しました。
この給付金は、所得が一定基準以下の基礎年金受給者にとって、生活を支える大切な制度です。
しかし、支給対象に該当していても、ご自身で請求手続きをしなければ受け取れない点に注意が必要です。
また、公的年金の受給額は個人差が大きく、特に国民年金のみの方は受給額が限られる傾向にあります。
多くの高齢者世帯では、公的年金を主な収入源としながらも、就労による収入などで家計を補っているのが実情です。
このような状況を考えると、利用できる制度について正しく知り、ご自身が対象かどうか、また申請は済んでいるかを確認しておくことが大切になります。
この機会に、ご自身が利用できる公的制度と、現在の家計状況の両方を見直してみてはいかがでしょうか。
※当記事は再編集記事です。
参考資料
- 厚生労働省「年金生活者支援給付金制度」
- 日本年金機構「老齢(補足的老齢)年金生活者支援給付金の概要」
- 厚生労働省「令和8年度の年金額改定についてお知らせします」
- 日本年金機構「老齢基礎年金を新規に請求する方の請求手続きの流れ」
- 日本年金機構「個人の方の電子申請(年金生活者支援給付金請求書)」
- 厚生労働省年金局「令和6年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」
- 日本年金機構「令和7年4月分からの年金額等について」
- 日本年金機構「年金生活者支援給付金請求手続きのご案内リーフレット」
- 厚生労働省「2024(令和6)年 国民生活基礎調査の概況」
- 神戸市「年金生活者支援給付金の振込みはいつですか?」
- 厚生労働省「2024(令和6)年 国民生活基礎調査の概況」用語の説明
- LIMO「来月、6月15日支給分から増額改定!申請しないと0円「年金生活者支援給付金」はいくら年金に上乗せ?」
鶴田 綾
