4. 先行銘柄対比での「整合性」は?
新発社債の利回りが適切であるかを判断する際は、発行体の既発債や、格付けと年限が近い先行銘柄の水準と比較する手法が一般的です。
今回のNECキャピタルソリューション債は、利率2.36%、期間4年で条件が決定しました。この水準を先行した個人向け社債と比較すると、格付けが1ノッチ上で期間が5年の名古屋鉄道債が1.947%であったのに対し、NECキャピタル債は期間が1年短いながらも0.413%高い利回りとなっています。
また、債券の性質が異なるため、単純比較はできないものの、5月募集の5年固定利付個人向け国債の1.89%からは、1年短い年限設定でありながら0.47%の利回りが上乗せされています。
格付けの低い銘柄ほど信用リスクを補填するための金利が求められるという理論に照らせば、信用力が上の銘柄対比で利回りが加算されている今回の結果は整合性が保たれているといえます。
一方で、同じ4年債である1ノッチ上の光通信債の2.520%と比べると0.16%下回っていますが、これは光通信債が910億円という大型の発行額を消化するために高めの利回りを設定していた背景があります。
同様に、R&Iで同格付け、JCRでは1ノッチ下のルノー債の3.02%とも0.66%の開きがありますが、こちらも1000億円という巨額の起債規模に伴うプレミアムや、国内企業に比べ利回りが高まる傾向にあるサムライ債特有の性質が反映されたものです。
以上の比較から、今回の利回りは他銘柄との格付けの差や発行規模による需給関係を反映した仕上がりとなっていることがわかります。
■ルノー債(サムライ債)
- 年限:4年
- 格付:A- (R&I)/A-( JCR)
- 発行額:1000億円
- 利回り:3.02%(税引前)
- 条件決定日: 5月22日
■NECキャピタルソリューション債
- 年限:4年
- 格付:A- (R&I) / A (JCR)
- 発行額:100億円
- 利回り:2.36%(税引前)
- 条件決定日:5月22日
■名古屋鉄道債
- 年限:5年
- 格付:A (R&I)/A+(JCR)
- 発行額:100億円
- 利回り:1.947%(税引前)
- 条件決定日:3月6日
■光通信債
- 年限:4年
- 格付:A(R&I)/A+ (JCR)
- 発行額:910億円
- 表面利率:2.520%(税引前)
- 条件決定日:2月27日
5. まとめ:購入単位も要チェック
NECキャピタル債は、上昇した市場金利を背景に、4年という中期的な運用スパンで2%台の利回りを狙える機会を提供しています。
国債対比で魅力的な利回りが確保できますが、その上乗せ分は「信用力の違い」や「元本割れ」といった、相応のリスクを引き受けることに対する対価でもあります。
また、1万円から購入できる個人向け国債とは異なり、社債では最低購入額が10万円や50万円、大きいものでは100万円などに設定されています。
今回のNECキャピタル債は「10万円」単位です。「当面使う予定のない余裕資金か」「万が一の元本割れリスクを許容できるか」など、社債の特徴とご自身の投資スタンスを冷静に照らし合わせることが求められます。
購入を検討される際は、証券会社から交付される目論見書等で詳細な条件を必ず確認し、最終的な投資判断はご自身の責任で行ってください。
参考資料
- NECキャピタルソリューション株式会社 当社初の個人投資家向け社債発行のお知らせ
- NECキャピタルソリューション株式会社 訂正発行登録追補書類(株券、社債等)
- ルノー 発行登録追補書類
- 名古屋鉄道株式会社 無担保社債の発行条件決定のお知らせ
- 株式会社光通信 無担保社債発行に関するお知らせ
※免責事項
本記事は一般的な情報提供のみを目的としており、特定の債券の購入や売却について助言や推奨するものではありません。
本記事上の情報に起因、また関連して生じた損害や損失に関しては一切の責任を負いません。投資判断は最新の決算資料や市場動向などをご自身でご確認の上、自己責任で行ってください。
募集要項の内容や条件などは変更される可能性があるため、必ず公式サイトでご確認ください
高原 祥子
