春の人事異動や昇進の時期を迎えると、自分の給与水準や今後のキャリアについて考える機会が増えます。
特に、部長・課長・係長といった中間管理職は、現場と経営層の間に立つ重要な役割を担う一方で、責任や業務量の重さに悩む人も少なくありません。
中間管理職は、非役職者と比べて賃金が高い傾向にあります。ただし、実際の収入は役職や性別、企業規模、賞与、手当などによって差が出るため、平均額だけで判断するのは難しい面もあります。
また、昇進によって収入が増えても、部下の育成や上司との調整、目標管理など、求められる役割は大きく変わります。
本記事では、厚生労働省の調査をもとに中間管理職の平均賃金を確認し、年収の目安や、管理職として働くうえで考えておきたいポイントを見ていきます。
1. 【中間管理職】平均年収一覧表「うちの上司の年収はどれくらい?」
厚生労働省「令和7年賃金構造基本統計調査」から、男女計・男性・女性の平均賃金と平均年齢を確認してみましょう。
1.1 《中間管理職の平均年収一覧表》
【部長級】
- 男女計: 賃金 63万5800円、平均年齢 53.1歳
- 男性: 賃金 64万2400円、平均年齢 53.1歳
- 女性: 賃金 57万8300円、平均年齢 53.0歳
【課長級】
- 男女計: 賃金 52万9200円、平均年齢 49.5歳
- 男性: 賃金 54万1400円、平均年齢 49.5歳
- 女性: 賃金 47万300円、平均年齢 49.4歳
【係長】
- 男女計: 賃金 39万9200円、平均年齢 45.4歳
- 男性: 賃金 41万900円、平均年齢 45.3歳
- 女性: 賃金 36万5700円、平均年齢 45.7歳
男女計でみると、部長級の賃金は非役職者の約2倍、課長級は約1.7倍、係長級は約1.3倍です。役職が上がるほど、非役職者との差は大きくなっています。
2. 【中間管理職】平均年収を試算
前述の月額賃金をもとに、賞与を年4か月分と仮定して年収を試算すると、以下のようになります。
- 部長級:約1017万円
- 課長級:約847万円
- 係長級:約639万円
- 非役職者:約497万円
※年収試算は「月額賃金×16か月(賞与含む)」で計算。実際の年収は、賞与額・残業代・手当・企業規模・業種などによって異なります。
国税庁「令和6年分 民間給与実態統計調査」によると、1年を通じて勤務した給与所得者の平均給与は478万円、男女別に見ると、男性は587万円、女性は333万円となっています。
この平均給与と比べると、部長級や課長級の試算年収は高い水準です。
一方、役職者の賃金は「所定内給与額」がベースであり、国税庁の平均給与とは調査対象や集計方法が異なります。あくまで目安として見ておきましょう。
3. 【中間管理職】管理職を続けたい人は約6割。やりがいの一方で業務負荷も課題に
管理職は責任が重く、部下の育成や上層部との調整など、負担の大きい立場です。一方で、管理職という役割を前向きに受け止めている人も少なくありません。
リクルートマネジメントソリューションズ「管理職のあり方に関する実態調査」によると、現在管理職である人に「今後も管理職を続けたいか」と尋ねたところ、「続けたい」「どちらかといえば続けたい」を合わせて約6割が、引き続き管理職として働く意思を示したそうです。
管理職を続けたい理由として多かったのは「やりがい」に関する回答です。部下の成長を支えられることや、組織成果につながる手応えを感じられることが、管理職を続ける意欲につながっていると考えられます。
ほかにも、自分に管理職の仕事が合っていると感じる「適性・向き不向き」や、一定の判断ができる「権限・裁量」も理由として挙げられています。
一方で、管理職を続けたくない理由としては「業務負荷」が多く挙げられました。
実際に、同調査では「勤務時間外に電話・メールなどで仕事関係の連絡をとる」と回答した割合が、一般社員の41.0%に対し、管理職では56.4%となっています。
また、「勤務時間外に仕事をする」は管理職で48.4%、「本来は仕事が休みの日に仕事をする」は38.8%でした。
収入面では、管理職は非役職者より高い傾向にあります。しかし、管理職として働き続けるかどうかは、給与だけで判断できるものではありません。
やりがいや裁量を感じられる一方で、業務量や時間外対応が増えやすい点も踏まえ、自分に合ったキャリアを考えることが大切でしょう。
4. まとめにかえて
中間管理職の賃金は、非役職者と比べて高い傾向があります。厚生労働省の調査をもとに見ると、部長級や課長級では月額賃金が大きく上がり、賞与を含めた年収試算でも高い水準となります。
一方で、管理職になると収入が増えるだけでなく、部下の育成や上層部との調整、目標達成への責任など、担う役割も広がります。
現場と経営層の間に立つ立場だからこそ、精神的な負担を感じる場面もあるでしょう。
将来の働き方を考える際は、給与水準だけに注目せず、自分がどのような役割で力を発揮したいのかも含めて考える必要がありそうです。
参考資料
加藤 聖人