物価はなおも上昇を続けており、家計にとっては深刻な課題となっています。こうした状況から、政府は昨秋に経済対策を公表しました。そのひとつである「重点支援地方交付金」による自治体の独自支援策が、この春から始まっています。

自治体によっては、一律給付に加えて非課税世帯への追加給付を行うところもあるようです。加えて、給付金の申請方法も、人によって異なります。この記事では、給付金の上乗せをする自治体や給付金の申請方法の違いを紹介します。

1. 【2026年最新】「一律給付+独自の上乗せ」をしている自治体はどこ?

地域の物価水準や世帯構成の実態、地方交付金の使い方により、自治体によって独自の上乗せをしているところがあります。まずは、住民への一律給付に加えて、非課税世帯への上乗せをしている自治体を紹介します。

1.1 北海道札幌市

札幌市では、以下の条件で住民に給付金を支給します。

  • 支給対象者
    ・2026年1月1日時点で住民登録のある人
  • 支給額(一律)
    ・1人あたり5000円
  • 支給額:基本給付と追加支給分(上乗せ)を合算した額が現金で支給されます。
    • 基本給付:1人あたり5000円
    • 追加支給(上乗せ):世帯全員の令和7年度住民税が非課税または全額減免の世帯には、1世帯あたり10000円
  • 支給時期:対象者によって以下の2つのパターンに分かれます。
    • 申請が不要な方(過去に特定の給付金を口座振込で受給した方や、公金受取口座を登録している方など):4月16日~4月30日の間に指定口座へ振り込まれます。
    • 申請が必要な方(上記以外):4月9日以降順次「確認書(又は申請書)」が発送され、確認書受付後概ね1か月程度で振り込まれます。

物価高騰の影響を受けやすい所得の少ない世帯により手厚い支援をする事業といえるでしょう。

1.2 大阪府東大阪市

東大阪市では、以下の条件で住民に給付金を支給します。

  • 支給対象者
    ・2026年1月1日時点で住民登録があり、基準日時点で世帯主となっている方が支給対象です。
  • 支給額(一律)
    ・1人あたり7000円
  • 支給額(上乗せ分)
    ・住民税非課税世帯または均等割のみ課税世帯に追加で2000円
  • 支給時期
    ・4月下旬以降順次(要申請の場合は受付後3〜4週間後)

東大阪市は、当初5000円の一律給付を予定していましたが、2000円増額の7000円を住民に一律給付することになりました。そして、住民税非課税世帯には、1人あたり2000円追加の9000円が支給されます。住民税は所得によって金額が変わる所得割と、課税者全員が均一に負担する均等割で構成されますが、均等割のみ課税される世帯も上乗せの対象になります。

1.3 広島県廿日市市

廿日市市では、以下の条件で住民に給付金を支給しています。

  • 支給対象者
    ・2025年12月22日時点で住民登録のある人
  • 支給額(一律)
    ・1人あたり3000円
  • 支給額(上乗せ分)
    ・住民税非課税世帯には、対象者1人あたり3000円が追加支給されます。なお、世帯全員が課税者に扶養されている世帯は対象外です。
  • 支給時期
    ・2月から支給(全市民→非課税世帯の順で支給)

廿日市市ではすでに支給が始まっており、多くの住民が給付金を受け取っています。全住民には3000円、住民税非課税世帯には3000円上乗せの6000円が支給される形です。追加分は世帯の構成員1人あたりで算定されますが、実際の支給は世帯主の口座へ世帯全員分をまとめて給付する仕組みです。非課税世帯により手厚い支援が行き渡るよう設計されています。

次章では、給付金申請の手続きの違いを解説します。

2. 「勝手に振り込まれる人」と「申請が必要な人」の違いは?

給付金の支給方法は、多くの自治体で「申請不要で支給する」「申請手続きを通じて支給する」の2パターンが用意されています。それぞれ、どういった違いがあるのでしょうか。

自治体から自動的に振り込まれる支給方式は「プッシュ型」と呼ばれます。この方法で給付金が支給されるのは、過去に自治体から給付金を受け取っていて口座情報が登録済みの人に加え、マイナポータル等で公金受取口座を登録しており、自治体が口座情報を把握できる人など、申請手続きが不要と判断された対象者です。

過去に給付金の支給を受けた人であれば、自治体がすでに「どの口座で給付金を受け取ったか」を把握しています。そのため、給付金が支給される旨の案内を受け取るだけで、実質的な手続きは不要です。

自治体としても、プッシュ型の支給方式を活用することで、住民による申請受付や確認作業の負担を減らし、事務手続きを効率化できる場合があります。

なお、手続き不要の対象者であっても、振込日などを知らせるために「支給のお知らせ」や「確認書兼通知書」などの書類が郵送されるケースがあります。申請の手間を減らしながら、住民へ比較的スムーズに支援を届けやすい仕組みといえるでしょう。

一方、申請が必要となるのは、自治体が登録済みの口座情報だけでは支給手続きができない場合や、支給対象の確認が必要な場合などです。例えば、次のようなケースが該当する可能性があります。

・自治体で振込先口座を把握できない
・基準日以降に転出した
・世帯構成に変更があった
・世帯主が変わった
・案内された口座以外への振込(口座変更)を希望する
・過去に給付金を受け取った口座を解約している

なお、過去の給付金受給実績がなくても、公金受取口座を登録している場合などは、申請不要(プッシュ型)の対象となることがあります。具体的な手続きは自治体ごとに異なるため、案内内容を確認しましょう。

次章では、住民税非課税世帯の主な優遇措置を解説します。

3. 住民税非課税世帯の主な優遇措置

住民税非課税世帯では、給付金の上乗せや各種負担軽減など、家計を支える制度の対象となる場合があります。また、所得水準に応じて利用できる軽減制度もあります。代表的なものを見ていきましょう。

まず注目したいのは、社会保険料の軽減です。これは住民税非課税世帯であること自体を条件とするものではなく、前年1月から12月までの世帯の総所得金額等が一定基準以下の場合などに適用されます。

社会保険料の支出が少なくなることで、家計の負担が緩和されます。

たとえば、個人事業主や75歳未満の年金受給者などが加入する国民健康保険の保険料は、住民税非課税世帯の場合、被保険者全員が均一に負担する均等割が2〜7割軽減されます。詳細は以下のとおりです。

減額基準表1/1

減額基準表

出所:港区「国民健康保険の保険料」

  • 7割軽減:43万円+(給与所得者等の数-1)×10万円以下
  • 5割軽減:43万円+(給与所得者等の数-1)×10万円+31万円×被保険者数以下
  • 2割軽減:43万円+(給与所得者等の数-1)×10万円+57万円×被保険者数以下

軽減措置は、世帯全員の所得状況をもとに判定されるため、確定申告や住民税申告などを通じて自治体が所得を把握できる状態であることが必要です。世帯に未申告の方がいると軽減判定ができないため、所得がなかった方も含めて申告を行うことが重要です。所得情報が確認できれば、軽減は原則として自動的に適用されます。

また、医療費の自己負担限度額が低く設定される場合があることも、低所得世帯に関連する負担軽減制度のひとつです。医療費は、1ヵ月あたりで負担する金額に上限が設けられており、一定額を超えた自己負担分については、高額療養費制度の対象となります。

ただし、払い戻しの対象となるのは保険適用される医療費に限られます。差額ベッド代などの保険外併用療養費の自己負担分や、入院時食事療養費、入院時生活療養費などは対象外です。

例として、70歳未満の医療費の自己負担限度額を見てみましょう。

・標準報酬月額83万円以上:25万2600円+(総医療費-84万2000円)×1%
・標準報酬月額53万~79万円:16万7400円+(総医療費-55万8000円)×1%
・標準報酬月額28万~50万円:8万100円+(総医療費-26万7000円)×1%
・標準報酬月額26万円以下:5万7600円
・住民税非課税など一定の要件に該当する場合:3万5400円

低所得区分に該当すると自己負担限度額が低く設定されるため、高額な医療を受けた場合の負担を抑えられる仕組みがあります。なお、市区町村民税が非課税であっても、標準報酬月額83万円以上の「区分ア」や、同53万~79万円の「区分イ」に該当する場合は、標準報酬月額による区分判定が優先される点に注意が必要です。

4. まとめ

国の経済対策にもとづく各自治体の給付事業は、現金給付のほか水道料金の無償化やギフトカードの支給など、独自色の強い取り組みになっています。

現金給付が実施される自治体の場合、世帯によっては金額が上乗せされる可能性もあるでしょう。申請が必要かどうか確かめ、もし要申請であれば速やかに手続きを済ませて、給付金を受け取る準備をしてください。

※LIMOでは、個別の相談・お問い合わせにはお答えできません。

参考資料

石上 ユウキ