3. 知られざる主力事業「海底ケーブル」と社会インフラの正体
ITサービス事業の構造改革とAI戦略によって利益体質を強靭化したNECですが、泉田氏は「次なる成長の主役は別のところにある」と指摘します。それが「社会インフラ事業」です。
会社が発表した来期(2027年3月期)の業績予想を見ると、全社のNon-GAAP営業利益は4,200億円(前期比5.7%増)とされています。
この内訳を見ると、ITサービス事業は売上がマイナス4.9%の減収となる一方で、社会インフラ事業は売上が4.2%増の9,750億円、Non-GAAP営業利益は436億円増の1,270億円と、大幅な増収増益を見込んでいます。
「NECの社会インフラとは具体的に何をしているのか」という疑問に対し、泉田氏は携帯電話の通信基地局や防衛宇宙事業に加えて、「海底ケーブルの敷設事業」を挙げました。
私たちが普段、スマートフォンで海外の動画を見たり、海外のウェブサイトにアクセスしたりする際、データは衛星を飛んでいると思いがちです。しかし実態は全く異なります。
総務省の資料によれば、国際通信の実に99%が、海底に沈められた物理的な光ファイバーケーブルを経由しているのです。
「みんなが使っている海外とやり取りしているデータのほとんどは、この海底のケーブルを伝っていると思って、ありがたく通信した方がいいね」
泉田氏がそう語るように、専用の船を使って水深数千メートルの海底にケーブルを沈め、大陸と大陸を物理的につなぐという途方もない事業を、NECは担っています。
世界の海底ケーブルサプライヤーシェア(NEC・仏アルカテル・米サブコム・中国HMN)3/3
出所:総務省資料を基にイズミダイズム作成(NEC・仏アルカテル・米サブコム・中国HMN のシェアは動画内発言値)
驚くべきは、この海底ケーブルを敷設できるサプライヤーは、世界を見渡してもごくわずかしか存在しないという事実です。
泉田氏によれば、シェアのトップは仏アルカテルの約40%、次いで米サブコムが約30%、そしてNECが21%を握る三大巨頭の一角を占めています。
近年は中国企業も8%ほどのシェアを獲得して台頭してきていますが、この分野は単なるインフラ事業の枠を超え、国家間のデータ通信を握る「安全保障」の領域へと変貌しつつあります。
実際、フランス政府はアルカテルの海底ケーブル部門を国策として買収する動きを見せており、その重要性は世界的に高まっています。
