2. AI時代の新戦略「BluStellar」とAnthropic提携の真意

NECのITサービス事業において、現在最もホットなキーワードが「BluStellar」です。泉田氏はこれを「AIを使ったDX事業」と噛み砕いて説明します。

IT業界では今、AIを単なる補助ツールとして使う「With AI」の段階から、AIをベースに経営や業務プロセスそのものを根本から作り変える「Native AI」の段階へと移行しつつあります。

NECはこの潮流に乗り、自社のAI技術や知見をパッケージ化して顧客に提供しています。

さらに市場の注目を集めているのが、生成AIの最先端を走る米Anthropic(アンソロピック)社との業務提携です。泉田氏は、この提携がNECのビジネスモデルを大きく変え得る可能性を指摘します。

Anthropicが提供する「Claude(クロード)」のような高度なAIは、企業の経営判断や業務を24時間365日自動で回し続けるポテンシャルを秘めています。

しかし、一般企業がいきなり最先端のAIを自社に導入し、使いこなすことは困難です。そこで、NECのようなSIerが「ディストリビューター(代理店)」として間に入り、顧客の業界慣習に合わせたチューニングや継続的なメンテナンスを提供するモデルが成立します。

これは、従来の「システムを開発して納品し、対価を得る」という労働集約型のSIerビジネスから、クラウドサービスのように「AIを継続的に利用してもらい、ランニングコストとして対価を得る」ストック型ビジネスへの転換を意味します。

泉田氏はこの勝算について、プロの視点から次のように推測します。

「これだけの予算をかけてくれたら、人を今までこれだけ雇っていた部分がいらなくなりますよと。なのでこの分は毎年のランニングコストでくださいね、という提案はできると思う。今までお客さんからお預かりしているプロジェクトの代金と比べた時に、遜色ない利益も出てくるという計算ができているんだったら積極的にいくよね」

日本の企業がAIを自前で運用するハードルを考えれば、長年顧客企業と二人三脚で歩んできたNECが「伴走者」として付加価値を提供し、高い利益率を確保することは十分に可能だというのが泉田氏の見立てです。

【動画で解説】NECが利益4割増!背景にある「不採算事業の整理」とAI事業の拡大による大規模な「オペレーション改善」