4. 成長の主役交代:ITサービスから「社会インフラ」へ
NECの事業は、大きく「ITサービス」と「社会インフラ」の2つに分かれています。これまでは売上・利益ともに規模が大きい「ITサービス」が会社全体の成長を牽引してきました。しかし、今期予想の内訳を見ると、その構造に劇的な変化が起きていることが分かります。
まず、主力であるITサービスの今期予想は、売上が前年比4.9%のマイナスとなる一方で、利益は142億円のプラスとなっています。
この背景について泉田氏は、「売上は若干減るけれども、AI使った効率化とか不採算事業の撤退などを継続していくと、まだ利益が増えるという予想になっています」と解説します。
つまり、ITサービス部門は規模の拡大を止め、利益体質をさらに筋肉質にする「守りながら稼ぐ」フェーズに入ったということです。
一方で、劇的な変化を見せているのが「社会インフラ」事業です。携帯電話の通信基地局や、航空宇宙・防衛などを手掛けるこの部門は、今期の売上が4.2%増、そして利益はなんと前年比52%増となる436億円のプラスを見込んでいます。
この鮮明なコントラストを受けて、泉田氏は力強く結論付けます。
「この新年度、26年度に関していくと、NECの増益の主力は社会インフラにあると言えますね」
社会インフラ事業の中には、政府の防衛力強化の方針に直結する航空宇宙・防衛事業や、国際通信の99%を担う海底ケーブルの敷設事業など、国策や安全保障に深く関わるビジネスが含まれています。
これまではIT企業としての側面が注目されがちだったNECですが、これからの業績や株価を占う上では、この「社会インフラ事業」の動向こそが最大のキーポイントになるのです。
