5. 投資家必見!NEC株の正しい追い方
では、今後私たちがNECの株に投資を検討する際、どのような点に注目して業績を追っていけばよいのでしょうか。
一般的な株式投資では、3ヶ月ごとに発表される四半期決算の売上や利益の進捗率を細かくチェックするのがセオリーです。しかし泉田氏は、NEC、特に今後の成長ドライバーとなる社会インフラ事業に関しては、そのやり方は通用しにくいと指摘します。
「これ公共事業なんで、だいたいやっぱり3月末にしっかり出来上がるかどうかって、かかってる人みんながそこに向けて動いてるんですよ」
防衛設備や海底ケーブルといった巨大なインフラ案件は、国の予算に基づいて動く公共事業の側面が強くあります。そのため、売上や利益が計上されるタイミングが年度末(3月)に極端に偏る傾向があるのです。
第1四半期や第2四半期の数字が悪かったとしても、それは単に期末にズレ込んでいるだけで、実態としての業績悪化を意味しないケースが多々あります。
「では、どうやって投資判断をすればいいのか?」と問われると、泉田氏は機関投資家ならではの大きな視座を提示しました。
「あまり細かく見ようとするよりは、①トレンド②国がどういっているのか③NECの受注動向がどうなのかなど、そういうのを見る方がいいかなと思います」
AIの普及によって膨張し続けるデータ通信量、地政学リスクの高まりを受けた防衛予算の増額、そして経済安全保障の観点から重要視される通信インフラの国産化。NECが手掛ける事業は、こうした巨大な「マクロ環境の変化」や「国策」と完全に合致しています。
目先の四半期決算のブレに一喜一憂するのではなく、国がどのような予算を組み、世界がどのような方向へ向かっているのかという「トレンド」を見極めること。それこそが、生まれ変わったNECの企業価値を正しく測り、投資チャンスを掴むための最大の秘訣と言えるでしょう。
6. まとめ
今回は、TOPIXを大きくアウトパフォームするNECの最新決算と株価動向について、元機関投資家の泉田良輔氏の解説をご紹介しました。
驚異的な利益成長の裏にある構造改革の成果や、ITサービスから社会インフラへと成長の主役が交代するダイナミズム、そして公共事業特有の業績の追い方など、プロならではの視点が満載の分析でした。
目先の「減収増益」という控えめな予想に惑わされず、その奥にある国策テーマやマクロトレンドの変化に目を向けることが、今後の投資判断において重要になりそうです。
参考資料
- 日本電気株式会社「2026年3月期 決算短信」(2026年4月28日)
- 日本電気株式会社「2026年3月期 決算説明会資料」(2026年4月28日)
- 日本電気株式会社「過去5年業績推移資料」
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Youtubeチャンネル「イズミダイズム」
著者
金融・経済YouTubeチャンネル「イズミダイズム」
「イズミダイズム」は、株式会社モニクルリサーチが運営する金融・経済YouTubeチャンネルです。フィデリティ投信や日本生命でポートフォリオマネージャーや証券アナリストとしての勤務経験のある元機関投資家の泉田良輔が、プロの視点で金融や経済に関する様々なニュースの解説や、資産形成に役立つトピックをお届けします。新NISAの開始やインフレを背景に、個人の資産運用への関心が高まる中、機関投資家と個人投資家の「視点の違い」や、経済ニュースの裏側にある「構造」をロジカルに解説します。(最新更新日:2026年1月30日)
監修者
株式会社モニクルリサーチ
代表取締役/日本証券アナリスト協会認定アナリスト(CMA)
株式会社モニクルリサーチ代表取締役。その他に株式会社モニクル取締役COO、株式会社モニクルフィナンシャル取締役COOも務める。東京科学大学大学院非常勤講師。日本証券アナリスト協会認定アナリスト(CMA)。慶應義塾大学大学院システムデザイン・マネジメント研究科修了(同研究科最優秀賞受賞)
1. 経歴
2013年に株式会社ナビゲータープラットフォーム(現:株式会社モニクルリサーチ)を原田慎司(現同社取締役)らとともに共同創業。2013年に個人投資家向け金融経済メディア「Longine(ロンジン)」を立ち上げ、編集長に就任。Longineの立ち上げの経緯はBloombergにおいて「体力勝負アナリスト辞めます、元外資マン個人に長期投資指南」として掲載され大きな反響を呼ぶ。投資情報のサブスクモデルを確立する。その後、株初心者向けネットメディア「株1」、2015年にはくらしとお金の経済メディア「LIMO」の前身となる「投信1」を立ち上げる。
それ以前は、日本生命・国際投資部で外国株式ファンドマネージャー、フィデリティ投信・調査部や運用部にて10年に渡ってインターネット、電機(半導体・民生・産業エレクトロニクス)、機械(ロボットやセンサー企業中心)といったテクノロジーセクターの証券アナリストや中小型株ファンドのアシスタント・ポートフォリオ・マネージャー(最年少で就任)として従事。
2. 専門・研究領域
慶応義塾大学商学部卒業。国際金融及びコーポレート・ガバナンスを専攻。アジア通貨危機、昭和金融恐慌などの金融パニックのメカニズムを金融政策や金融機関への規制の観点から研究。それらの内容は「昭和金融恐慌からの教訓 平成恐慌になにをどう生かすべきか」(三田商学研究学生論文集)として発表。
3. 著書
・『機関投資家だけが知っている「予想」のいらない株式投資』(ダイヤモンド社)
・『テクノロジーがすべてを塗り変える産業地図』(クロスメディア・パブリッシング)
・『銀行はこれからどうなるのか』(クロスメディア・パブリッシング)
・『Google vs トヨタ 「自動運転車」は始まりにすぎない』(KADOKAWA)
・『日本の電機産業 何が勝敗を分けるのか』(日本経済新聞出版社)
4. 寄稿や講演他
「日経BizGate」での連載「泉田良輔の新・産業鳥瞰図」や「現代ビジネス」、「東洋経済オンライン」、「プレジデント」などへの寄稿や対談も多数。対談記事例としては「【未来予想】ブロックチェーン革命が、「半沢直樹」の世界に終わりを告げる」や「【未来予想】アマゾンとビットコインが、次世代の「銀行」になる理由」(いずれもNewsPicks)、「米独に遅れる日本の自動運転、自動車も電機の二の舞に?」(週刊ダイヤモンド)。海外ジャーナリストからインタビューされることも多く、Financial TimesやThe Economist、Bloombergにおいて自動車や金融業界についての国内外産業動向コメントも発信している。
講演会や動画での情報発信も盛んに行っており、NewsPicksのTHE UPDATE、日経ビジネススクール、慶應丸の内キャンパス、慶應義塾SDM、アカデミーヒルズなどでも講義を行う。またNewsPicksのNewSchoolではプロジェクトリーダーとして「本当に初心者のための資産運用」を開催。
最終更新日:2026年2月21日