基本的に子どもは、「ひたすら世界を楽しむ」感覚で生きています。世界のすべてがオモチャで、どう面白く遊ぶか、工夫や挑戦をするのが子どもの仕事。「危ない」とか「汚い」とか「きちんとする」なんて、考えません。
一方で大人から見ると、「ケガや病気、命にかかわる危険」や「他人を傷付けたり迷惑をかける可能性」があることもしばしば。話を聞く暇もなく、即怒って止めなければ危険なことも多々あるのです。
優しく諭して理解するまでには、相当な時間が必要とも分かりました。何十回と同じことを言って教えることが大切ですが、子どもが理解するまでにはそれなりの脳の発達と経験が必要。状況によっては怒ってしまう日も、怒る必要がある日もあるのです。
とにかく親は忙しいことも分かりました。育児・家事・仕事に走り、リラックスしたり自分の時間を過ごす暇はゼロ。親になるのはこれだけ大変だったのかと、なってみて分かるのです。だからこそ、予定が狂えばイライラもするし、忙しくて怒ってしまうのだと。
そうして、自分が理想としていた「話を聞いて優しく諭す」ためには、危険な状況ではなく、親側に心身に余裕があるときのみだと気付きます。
親は「なりたくて」怒る親になっていたわけでなく、「ならざるを得なかった」。そして自分も、ならざるを得なくて今の自分になっていることに気付いたのです。
自分なりのアレンジで一歩前へ
「ならざるを得なかった」ことを知っただけでも、一歩前進。ようやく親の気持ちが分かるようになってきたと言えるでしょう。
自分なりのやり方で、さらに一歩進むことも可能です。たとえば筆者なら、「絶対に子どもの話を聞かねばならないサイン(状況や表情を観察して)は見逃さない」「怒ってしまった後でも、子どもに話を聞いてみる」ようにしています。
子どもの話を聞くために余裕が必要なら、心身の余裕をつくるための工夫や時間も増やします。頑張り過ぎないこと、自分の時間を作ることも、現代での育児では必須です。
親になるのは、簡単ではありません。だからこそ、「なりたくなかった親になっている」と思うことも通過儀礼の一つなのかもしれませんね。そんな自分を認め、一歩前に進む工夫を考えてみることをおすすめします。
宮野 茉莉子