風薫る5月、大型連休も終わり、日々の暮らしが再び落ち着きを取り戻す頃でしょうか。

穏やかな季節ですが、万が一、ご家族など身近な方が亡くなられた際には、さまざまな手続きに追われることになります。

特に、「死亡届を役所に提出すると、故人の銀行口座はすぐに凍結されてしまうのではないか」という不安を抱く方は少なくないようです。

実際には、死亡届の提出が直接口座凍結につながるわけではありません。

金融機関がご逝去の事実を把握したタイミングで、口座の取引が制限されるのが一般的な流れです。

しかし、口座が凍結される前に預金を引き出す行為は、後に相続トラブルを招く危険性もはらんでいます。

この記事では、口座凍結の正確な仕組みや、預金引き出しに伴うリスクについて詳しく解説します。

また、葬儀費用などでどうしても資金が必要になった場合の公的な制度もご紹介しますので、いざという時に備えて正しい知識を身につけておきましょう。

1. 死亡届を提出すると銀行口座は凍結される?その仕組みを解説

役所へ死亡届を提出した後、故人の銀行口座がどのように扱われるのか、心配に思う方は多いかもしれません。

「死亡届を提出すると即座に口座が凍結される」と誤解されがちですが、実際には届出だけで口座が利用できなくなるわけではありません。

口座が凍結されるタイミングは、金融機関が口座名義人の死亡を知った時点となります。

つまり、銀行側が名義人の逝去を確認した段階で、口座の入出金などが制限される仕組みになっているのです。

例外として、新聞のお悔やみ欄や第三者からの情報提供によって銀行が死亡の事実を知り、確認の上で口座を凍結することもありますが、多くは親族からの連絡がきっかけです。

また、「死亡に関する情報が金融機関同士で自動的に共有されるわけではない」という点も理解しておくべき重要なポイントです。

もし故人が複数の金融機関に口座を持っていた場合は、それぞれの銀行に個別に連絡し、手続きを進める必要があります。

一方で、同じ金融機関の異なる支店に複数の口座があった場合は、一度の届出でその銀行が管理するすべての口座が凍結の対象となります。

なお、銀行に死亡の事実を伝える前であれば、口座は通常通り使える状態のため、現金を引き出すこと自体は技術的に可能です。

ただし、この段階で名義人以外の方が預金を引き出すと、後々大きなトラブルに発展する可能性があるため、慎重な判断が求められます。