一時的に子どもを預けたい、でも預け先がない…そんなとき、近くに住む親に子どもを預けるという人も多いのではないでしょうか。親に子どもを預ければ、予定通りに物事を進められるうえ、親は孫と楽しい時間を過ごせて一石二鳥!なんて都合よく考えてはいませんか?実は、孫を預かることが習慣化したことにより苦悩を抱えるシニアもいるようです。

大丈夫!おばあちゃんがみてくれるから!

日々、育児に奮闘するママたちにとって、時には子どもを預けて自分主導の時間を過ごすことも大切といわれていますよね。子どもが幼いうちは常に子どもが生活の中心…そのためママたちは、思い通りにならないもどかしさやストレスを多少なりとも感じるものです。そのため子どもを預けて自分の時間を過ごすことは、ママの体や心に大きなリフレッシュ効果をもたらすのでしょう。

しかし、幼い子どもを預けるということはそう簡単ではありません。有料の子ども一時預かりサービスなどは便利ですが、希望する日時の予約が取れなかったり、費用がかさんだり、子どもが嫌がったりなどのデメリットもあります。そこで多くのママたちの強い味方になっているのが、自分の親、つまり子どもにとってはおばあちゃんおじいちゃんの存在です。特に親が近くに住んでいるまたは同居しているという環境下では、子どもを親に預けて外出することが当たり前になっている人もいるのではないでしょうか。

例えば、筆者の友人A子。A子には4歳と2歳の男の子がおり、専業主婦をしています。彼女は元々、買い物や飲み会など出歩くのが好きな人間ですが、2人の子どもの育児に奮闘し、それどころではない様子でした。

しかし…2人目の子どもが1歳を迎えたころから、彼女の素行に変化が見られはじめました。地元の友人たちと頻繁に買い物に出かけたり、ランチに出かけたりするようになったのです。そのとき子どもたちはどうしているのかというと、100m離れた場所に住む彼女の母親に預けられているのでした。
実際に、筆者がA子を子連れランチに誘ったときにも、「子どもが一緒だとゆっくりランチできないから、ばぁばに預けて一人で行くよ!お母さんにいつも子守りしてもらっているから慣れたもん。大丈夫よ!」と自信満々に言い放ったのです。

初めて聞いたシニアの本音

ある日、A子のお母さんと孫2人が公園で遊んでいるところに遭遇しました。彼女のお母さんと私は昔からよく知った間柄。子どもたちを遊ばせながら、自然に世間話に花が咲きました。

その日もA子は、母親に子どもたちを預け、エステと美容院に行っているとのことでした。朝10時ごろ実家に子どもたちを預けて、帰って来るのは夕方4時の予定…ランチも一人で楽しむ計画なのでしょう。A子の限度を超えた態度に、怒りが沸々と沸き上がったのを覚えています。

そしてA子のお母さんの本音を聞くこともできました。孫と遊ぶのは楽しく、子どもたちの成長を側で見守ることができるのは何よりの幸せだと。しかし、自らも子育てや仕事に奔走してきたため、老後は海外旅行に行ったり、絵を描くために全国行脚をしたりなど、自分の好きなことに時間を費やし、のんびり過ごしたいと希望していたそうです。

しかし娘が自宅の近くに家を建て、あっという間に孫が生まれ、そして週に何度も孫の世話をする毎日…正直なところ、体力や気力の限界。また、当然のように子どもを預ける娘の態度に対しても、疑問や怒りを覚えるとのことでした。

では、なぜ無理をしてでも孫を預かるのか聞いてみたところ、「そうはいっても、娘も孫もかわいくて、少しでも役に立てたら。」と。孫の世話に忙殺されながらも、体や精神を突き動かしていたのは“親心”だったのです。なんて切ないのでしょう…。

A子の母親の言葉を受けて