4. 投資家が持つべき「3つの視点」
ここまでファーストリテイリングの事業構造や戦略を見てきましたが、泉田氏は最後に、投資家としてこの企業を分析する際の心構えについて語りました。
株式投資の分析には、大きく分けて以下の3つの視点があります。
- ミクロの視点:その企業単体の業績や戦略の分析
- セミマクロの視点:その企業が属する業界や産業全体のトレンド分析
- マクロの視点:為替、経済状況、地政学的なリスクなど、世界全体を俯瞰する分析
かつてのユニクロであれば、企業単体の努力(ミクロ)を分析するだけで十分だったかもしれません。しかし、現在のファーストリテイリングは世界中でビジネスを展開し、素材の調達から販売までグローバルなサプライチェーンを構築しています。
「もはやこの会社分析するのは、ボトムアップっていう会社だけの分析じゃなくて、マクロの分析もしないといけない会社になっちゃったっていうことですね」
世界情勢の変化や為替の変動が、直接的にユニクロの業績に影響を与える規模にまで成長したということです。
投資家にとっては分析すべき要素が増えて大変になりますが、それだけ同社が世界経済において重要なプレイヤーになった証拠でもあります。
【動画で解説】ユニクロ、世界で勝てるアパレル企業の世界戦略とは
5. まとめ
ファーストリテイリングの好決算の裏には、国内の倍以上を稼ぎ出す「海外事業の成長」と、高い原価率と東レなどとの協業に裏打ちされた「圧倒的な商品力」がありました。
店舗数を急激に増やすのではなく、既存店の質を高めながら、北米や欧州といった巨大市場へ慎重かつ着実に挑んでいく同社の姿勢からは、世界トップのアパレル企業を目指す強い意志が感じられます。
私たちにとって身近なユニクロの服が、どのような技術で作られ、世界でどう評価されているのか。そうした視点を持って店舗を覗いてみると、また違った面白さが発見できるかもしれません。
泉田氏によるさらに詳しい解説や、プロの投資家ならではの鋭い視点にご興味がある方は、ぜひ「イズミダイズム」の動画本編をご覧ください。
※本記事は、YouTubeチャンネル「イズミダイズム」の動画内容を基に作成したものであり、特定の株式の売買を推奨するものではありません。投資に関する最終的な決定は、ご自身の判断で行ってください。
参考資料
※リンクは記事作成時点のものです。
著者
金融・経済YouTubeチャンネル「イズミダイズム」
「イズミダイズム」は、株式会社モニクルリサーチが運営する金融・経済YouTubeチャンネルです。フィデリティ投信や日本生命でポートフォリオマネージャーや証券アナリストとしての勤務経験のある元機関投資家の泉田良輔が、プロの視点で金融や経済に関する様々なニュースの解説や、資産形成に役立つトピックをお届けします。新NISAの開始やインフレを背景に、個人の資産運用への関心が高まる中、機関投資家と個人投資家の「視点の違い」や、経済ニュースの裏側にある「構造」をロジカルに解説します。(最新更新日:2026年1月30日)
監修者
株式会社モニクルリサーチ
代表取締役/日本証券アナリスト協会認定アナリスト(CMA)
株式会社モニクルリサーチ代表取締役。その他に株式会社モニクル取締役COO、株式会社モニクルフィナンシャル取締役COOも務める。東京科学大学大学院非常勤講師。日本証券アナリスト協会認定アナリスト(CMA)。慶應義塾大学大学院システムデザイン・マネジメント研究科修了(同研究科最優秀賞受賞)
1. 経歴
2013年に株式会社ナビゲータープラットフォーム(現:株式会社モニクルリサーチ)を原田慎司(現同社取締役)らとともに共同創業。2013年に個人投資家向け金融経済メディア「Longine(ロンジン)」を立ち上げ、編集長に就任。Longineの立ち上げの経緯はBloombergにおいて「体力勝負アナリスト辞めます、元外資マン個人に長期投資指南」として掲載され大きな反響を呼ぶ。投資情報のサブスクモデルを確立する。その後、株初心者向けネットメディア「株1」、2015年にはくらしとお金の経済メディア「LIMO」の前身となる「投信1」を立ち上げる。
それ以前は、日本生命・国際投資部で外国株式ファンドマネージャー、フィデリティ投信・調査部や運用部にて10年に渡ってインターネット、電機(半導体・民生・産業エレクトロニクス)、機械(ロボットやセンサー企業中心)といったテクノロジーセクターの証券アナリストや中小型株ファンドのアシスタント・ポートフォリオ・マネージャー(最年少で就任)として従事。
2. 専門・研究領域
慶応義塾大学商学部卒業。国際金融及びコーポレート・ガバナンスを専攻。アジア通貨危機、昭和金融恐慌などの金融パニックのメカニズムを金融政策や金融機関への規制の観点から研究。それらの内容は「昭和金融恐慌からの教訓 平成恐慌になにをどう生かすべきか」(三田商学研究学生論文集)として発表。
3. 著書
・『機関投資家だけが知っている「予想」のいらない株式投資』(ダイヤモンド社)
・『テクノロジーがすべてを塗り変える産業地図』(クロスメディア・パブリッシング)
・『銀行はこれからどうなるのか』(クロスメディア・パブリッシング)
・『Google vs トヨタ 「自動運転車」は始まりにすぎない』(KADOKAWA)
・『日本の電機産業 何が勝敗を分けるのか』(日本経済新聞出版社)
4. 寄稿や講演他
「日経BizGate」での連載「泉田良輔の新・産業鳥瞰図」や「現代ビジネス」、「東洋経済オンライン」、「プレジデント」などへの寄稿や対談も多数。対談記事例としては「【未来予想】ブロックチェーン革命が、「半沢直樹」の世界に終わりを告げる」や「【未来予想】アマゾンとビットコインが、次世代の「銀行」になる理由」(いずれもNewsPicks)、「米独に遅れる日本の自動運転、自動車も電機の二の舞に?」(週刊ダイヤモンド)。海外ジャーナリストからインタビューされることも多く、Financial TimesやThe Economist、Bloombergにおいて自動車や金融業界についての国内外産業動向コメントも発信している。
講演会や動画での情報発信も盛んに行っており、NewsPicksのTHE UPDATE、日経ビジネススクール、慶應丸の内キャンパス、慶應義塾SDM、アカデミーヒルズなどでも講義を行う。またNewsPicksのNewSchoolではプロジェクトリーダーとして「本当に初心者のための資産運用」を開催。
最終更新日:2026年2月21日