3. 今後の成長ドライバーはどこにある?
業績好調なファーストリテイリングですが、今後の成長を考える上で気になるデータもあります。それは「店舗数」の推移です。
3.1 国内は「店舗の質」と「客単価」で勝負
上期末時点での店舗数は、国内ユニクロが直営784店とフランチャイズ(FC)10店を合わせた合計794店。対して海外ユニクロは1,728店となっており、そのうち中国大陸だけで881店と、すでに日本国内の店舗数を上回っています。
注目すべきは、会社が発表している通期の出退店計画です。ユニクロ事業全体で「120店出店・120店退店」となっており、なんと純増減はゼロ(プラスマイナスゼロ)の計画なのです。
「店舗が増えないのに、これからも2桁の成長を続けられるのか?」と疑問が投げかけられると、泉田氏は「既存店」のデータに注目するよう促します。
国内ユニクロの上期の既存店(すでにある店舗)の売上は、対前年比で6.5%増加しています。その内訳を見ると、客数は1.0%の微増にとどまっていますが、客単価が5.4%も上昇しているのです。
つまり、店舗の数をむやみに増やすのではなく、採算の合わない店舗を閉じて条件の良い場所に移転・拡大(スクラップ&ビルド)したり、商品の単価を上げることで、一つ一つの店舗の「質」を高めて売上を伸ばしているのが現在の国内戦略だと言えます。
3.2 最大の挑戦となる「北米・欧州」市場
国内市場が成熟し、これまで海外の成長を牽引してきた中国市場も店舗数の見直しが進む中、今後のファーストリテイリングの成長ドライバーはどこになるのでしょうか。泉田氏は次のように分析します。
「やっぱり1人当たりの消費額が期待できるようなヨーロッパ、北米っていうところで、どれだけこのユニクロの店舗数を増やせるかっていうのがポイントになるかなと思います」
決算データを見ると、北米や欧州では少しずつですが着実に店舗数が増加しています。しかし、特にアメリカ市場は世界で最も消費者の目が厳しい市場の一つです。
日常着としてはウォルマートのような巨大スーパーで安価な衣料品を買う文化があり、一方で高機能・高付加価値なアウトドアウェアとしてはパタゴニアのような強力なブランドがすでに確固たる地位を築いています。
この激戦区の中で、ユニクロがどのように自社のブランドポジションを確立し、店舗網を広げていけるかが、今後の業績を大きく左右することになります。
【動画で解説】ユニクロ、世界で勝てるアパレル企業の世界戦略とは
著者
金融・経済YouTubeチャンネル「イズミダイズム」
「イズミダイズム」は、株式会社モニクルリサーチが運営する金融・経済YouTubeチャンネルです。フィデリティ投信や日本生命でポートフォリオマネージャーや証券アナリストとしての勤務経験のある元機関投資家の泉田良輔が、プロの視点で金融や経済に関する様々なニュースの解説や、資産形成に役立つトピックをお届けします。新NISAの開始やインフレを背景に、個人の資産運用への関心が高まる中、機関投資家と個人投資家の「視点の違い」や、経済ニュースの裏側にある「構造」をロジカルに解説します。(最新更新日:2026年1月30日)
監修者
株式会社モニクルリサーチ
代表取締役/日本証券アナリスト協会認定アナリスト(CMA)
株式会社モニクルリサーチ代表取締役。その他に株式会社モニクル取締役COO、株式会社モニクルフィナンシャル取締役COOも務める。LIMO&ファイナンス編集長。東京科学大学大学院非常勤講師。日本証券アナリスト協会認定アナリスト(CMA)。慶應義塾大学大学院システムデザイン・マネジメント研究科修了(同研究科最優秀賞受賞)
1. 経歴
2013年に株式会社ナビゲータープラットフォーム(現:株式会社モニクルリサーチ)を原田慎司(現同社取締役)らとともに共同創業。2013年に個人投資家向け金融経済メディア「Longine(ロンジン)」を立ち上げ、編集長に就任。Longineの立ち上げの経緯はBloombergにおいて「体力勝負アナリスト辞めます、元外資マン個人に長期投資指南」として掲載され大きな反響を呼ぶ。投資情報のサブスクモデルを確立する。その後、株初心者向けネットメディア「株1」、2015年にはくらしとお金の経済メディア「LIMO」の前身となる「投信1」を立ち上げる。2026年6月に専門家と実務家が情報発信をする金融経済ニュースサイト「LIMO&ファイナンス」を立ち上げ編集長に就任。
それ以前は、日本生命・国際投資部で外国株式ファンドマネージャー、フィデリティ投信・調査部や運用部にて10年に渡ってインターネット、電機(半導体・民生・産業エレクトロニクス)、機械(ロボットやセンサー企業中心)といったテクノロジーセクターの証券アナリストや中小型株ファンドのアシスタント・ポートフォリオ・マネージャー(最年少で就任)として従事。
2. 専門・研究領域
慶応義塾大学商学部卒業。国際金融及びコーポレート・ガバナンスを専攻。アジア通貨危機、昭和金融恐慌などの金融パニックのメカニズムを金融政策や金融機関への規制の観点から研究。それらの内容は「昭和金融恐慌からの教訓 平成恐慌になにをどう生かすべきか」(三田商学研究学生論文集)として発表。
3. 著書
・『機関投資家だけが知っている「予想」のいらない株式投資』(ダイヤモンド社)
・『テクノロジーがすべてを塗り変える産業地図』(クロスメディア・パブリッシング)
・『銀行はこれからどうなるのか』(クロスメディア・パブリッシング)
・『Google vs トヨタ 「自動運転車」は始まりにすぎない』(KADOKAWA)
・『日本の電機産業 何が勝敗を分けるのか』(日本経済新聞出版社)
4. 寄稿や講演他
「日経BizGate」での連載「泉田良輔の新・産業鳥瞰図」や「現代ビジネス」、「東洋経済オンライン」、「プレジデント」などへの寄稿や対談も多数。対談記事例としては「【未来予想】ブロックチェーン革命が、「半沢直樹」の世界に終わりを告げる」や「【未来予想】アマゾンとビットコインが、次世代の「銀行」になる理由」(いずれもNewsPicks)、「米独に遅れる日本の自動運転、自動車も電機の二の舞に?」(週刊ダイヤモンド)。海外ジャーナリストからインタビューされることも多く、Financial TimesやThe Economist、Bloombergにおいて自動車や金融業界についての国内外産業動向コメントも発信している。
講演会や動画での情報発信も盛んに行っており、NewsPicksのTHE UPDATE、日経ビジネススクール、慶應丸の内キャンパス、慶應義塾SDM、アカデミーヒルズなどでも講義を行う。またNewsPicksのNewSchoolではプロジェクトリーダーとして「本当に初心者のための資産運用」を開催。
最終更新日:2026年6月26日