2. なぜユニクロは世界で選ばれるのか?強さの秘密

世界中でユニクロが支持される理由を紐解く上で、泉田氏が注目したのが「原価率」です。

2.1 意外と高い「原価率」がコスパの源泉

一般的に、アパレル業界は「安い労働力で作った服にブランド価値を乗せて高く売る」というイメージを持たれがちです。

しかし、ファーストリテイリングの決算説明会資料を見ると、上期の売上総利益率は54.1%となっています。売上から売上総利益を引いたものが原価となるため、ユニクロの原価率は約45.9%ということになります。

ユニクロの売上と原価の構造2/3

ユニクロの売上と原価の構造

出所:ファーストリテイリング「2026年8月期 第2四半期決算短信」を基にイズミダイズム作成

泉田氏はこの数値の意味を、消費者目線も交えながら次のように解説します。

「ユニクロは製品作るのに原価が50%近くかかってるってことなんですね。(中略)これアパレル業界だとすごく良心的な価格設定というか、原価率で、本当にブランド品って原価率30%とかそんなのってゴロゴロしてるんで、すごく良心的だなって僕は思ってます」

たとえば5,000円の商品を買った場合、その製造原価には約2,500円がかけられている計算になります。最初から高級ブランドとしてスタートするのではなく、手頃な価格(ローエンド)からスタートし、品質を磨き上げてブランド力を高めてきたユニクロだからこそ、この高い原価率が維持されています。

消費者は「この品質の服が、この価格で買える」という圧倒的なコストパフォーマンス(コスパ)の良さを敏感に感じ取っており、それが世界的な人気の根底にあると言えます。

2.2 東レと組んだ「日本企業タッグ」のバリューチェーン

さらに泉田氏がユニクロの強みとして高く評価しているのが、素材メーカーとの強力なパートナーシップです。

ユニクロは単にデザインして服を作るだけでなく、日本の大手化学企業である「東レ」などとタッグを組み、素材の段階から共同開発を行っています。

近年注目されている、水に濡れても保温性が落ちにくいアウター「パフテック」なども、こうした取り組みから生まれた製品です。

泉田氏は、新しい技術を使ってどのようなアパレル製品が生み出されるのかという「技術的な好奇心」を持ってユニクロの新商品をチェックしていると語ります。

「素材だけだったらまたなかなか魅力伝えらんないけど、素材と最後のアプリケーション、これがコラボしてるから、これはイノベーションだと思うんだよね」

アパレル産業において、素材の開発から商品の企画・設計を行い、最終的な製品として消費者に届けるまでの一連の流れを「バリューチェーン」と呼びます。ユニクロの場合、実際の縫製作業はアジアなどの工場で行われているものの、中核となる素材開発や商品企画は日本企業同士の強力な連携によって成り立っています。

この独自のバリューチェーンこそが、他社には真似できない高品質な製品を安定して生み出し続ける源泉となっているのです。

【動画で解説】ユニクロ、世界で勝てるアパレル企業の世界戦略とは