4. 127クールの積み上げと組織戦略
東宝のIP・アニメ事業の歴史は、決して昨日今日始まったものではありません。
2014年2月期の「弱虫ペダル」を皮切りに、現在までに「TOHO animation」として127クール(1クールは約3か月・12話程度のアニメ放送単位)もの作品を積み上げてきました。
現在では、「僕のヒーローアカデミア」(ボンズ制作)、「薬屋のひとりごと」(TOHO animation STUDIO制作)、「葬送のフリーレン」(マッドハウス制作)など、世界的な人気を誇る強力なラインナップを抱えています。
さらに2032年には、この累積クール数を約200クールまで拡大するという野心的な目標を掲げています。
組織体制もIP戦略に合わせて最適化を進めており、国内では「東宝アニメーション」「ライツ事業部」に加え、最も歴史の長いIPであるゴジラを専任で扱う「ゴジラ部」を独立させています。
海外展開を担う「TOHO Global」も設置し、グローバル市場での収益化を狙っています。
しかし、課題がないわけではありません。インタビュワーから「バンダイのガンダムのように、何十年単位で稼ぎ続ける長寿IPに育つのか」という疑問が投げかけられると、泉田氏もその視点の重要性に深く同意します。
「そこのIPマネジメントだよね。あとはポートフォリオの管理とライフタイムバリューをどうやって上げるか。そこがポイントになってくる」
ライフタイムバリュー(LTV=顧客生涯価値)とは、一人のファンが一生涯の間にそのIPに対してどれだけのお金を使ってくれるかを示す指標です。
アニメの放送が終わったら忘れ去られてしまう消費型のコンテンツではなく、グッズやイベントを通じてファンに長く愛され続ける「資産」へと昇華させることができるか。東宝のIP・アニメ事業の真価は、まさにこのポートフォリオ管理の手腕にかかっています。
