日本の公的年金制度は、働き方や立場に関わらず20歳から60歳未満の全員が加入する「国民年金(1階部分)」と、会社員や公務員が上乗せして加入する「厚生年金(2階部分)」から成る2階建て構造です。

日本の公的年金制度は「2階建て」1/5

厚生年金と国民年金の仕組み

出所:日本年金機構「公的年金制度の種類と加入する制度」等を参考にLIMO編集部作成

国民年金の保険料は一律(2026年度は月額1万7920円)ですが、厚生年金は現役時代の収入(報酬比例制)によって保険料や将来の受給額が変動します。年金は原則として偶数月の15日に、前2カ月分がまとめて支給される仕組みとなっています。

 

1. 厚生年金の平均受給額、月10万円未満 vs 月20万円以上「どっちが多い?」

厚生年金の受給額は、加入期間や現役時代の年収によって個人差が大きく現れます。厚生労働省の「令和6年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、受給権者全体の分布において、月額10万円未満の層が19.0%を占める一方、月額20万円以上の層は18.8%に留まっています。

厚生年金(国民年金を含む)の受給権者(男女全体)における年金額の分布は、以下の通りです。

  • 月額10万円未満:19.0%
  • 月額20万円以上:18.8%

データが示す通り、高額受給者である「20万円以上」の人よりも、「10万円未満」で生活する人の方が多いのが実情です。さらに細かく見ると、月額15万円以上受給できている人は全体の約半分(49.8%)であり、月額30万円を超える層はわずか0.12%と極めて限定的です。

これらの数字は国民年金部分を含んだ厚生年金受給者のデータですが、国民年金のみの受給者を加味すれば、低額受給層の割合はさらに高まると推測されます。公的年金だけで老後を賄うには現役時より収入が大幅に減るのが一般的であるため、早めの資金計画が不可欠といえます。

2. 年金財源を守る【GPIF】←世界最大級の運用機関!24年間でプラス196兆円!

GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)は、私たちが納めた年金保険料のうち、今すぐ支払いに充てられない資金を運用する組織です。その役割は、市場での運用を通じて将来の年金給付に必要な財源を安定的に増やすことにあります。

2.1 GPIFの運用資産額「約293兆円」24年間でプラス196兆円の成果!

現在の運用資産額は約293兆円に達し、公的年金を運用する機関としては世界最大級の規模を誇ります。2001年度の市場運用開始から2025年度第3四半期末までの累積収益は、+196兆円を超える着実な成果を上げてきました。

特筆すべきは、利子や配当による安定的な収入(インカムゲイン)だけで約60兆円を確保している点です。GPIFは短期的な市場の変動に一喜一憂せず、数十年単位の「長期運用」を掲げています。これにより、一時的な赤字が出た際もパニックに陥ることなく、腰を据えた運用が可能です。結果として、日本の年金財政を長期にわたって下支えする強固な基盤となっています。

3. バランスよく25%ずつ?【GPIF】世界最大級の運用機関から学ぶ《老後資金の守り方》

GPIFの安定運用の核心は、特定の資産に偏らない「分散投資」の徹底にあります。2025年12月末時点の最新速報によれば、資産を国内債券・外国債券・国内株式・外国株式の4つに分けるポートフォリオを採用しています。

これら4つの資産に対し、それぞれ「おおむね25%ずつ」という均等な配分を維持するのが基本方針です。この背景には、どの資産が将来的に値上がりするかを完璧に予測し続けるのは不可能であるという現実的な考えがあります。

値動きの異なる資産を組み合わせることで、一部の市場が暴落しても他の資産がカバーし、全体のリスクを抑える仕組みです。短期的な流行や市場のムードに流されて資産配分を大きく変えることはせず、決めた割合を規律正しく守り続けます。この「長期・積立・分散」という手法は、リスクを抑えたい個人投資家にとっても非常に再現性の高い戦略と言えるでしょう。堅実なポートフォリオ管理こそが、巨大な資産を20年以上守り抜いてきた成功の秘訣です。

4. まとめにかえて

今回は厚生年金の受給実態とGPIFの運用戦略について解説しました。データが示す通り、月額20万円以上の年金を受け取れる層は一部に限られており、年金だけで現役時と同じ生活水準を維持するのは容易ではありません。

しかし、GPIFが実践する「4等分の分散投資」は、私たちが自分自身で資産を守り育てるための大きなヒントになります。まずは現在の家計を見直し、少額からでも「長期・積立・分散」を取り入れた資産形成の一歩を踏み出してみてはいかがでしょうか。

参考資料

徳田 椋