近年は、税制優遇を受けながら資産形成ができる新NISAの活用が広がり、投資を身近に感じる人も増えてきました。

とはいえ、制度の仕組みや具体的にどれほど資産が増えるのかは、イメージしづらい部分もあります。

そこで本記事では、新NISAの基本的な特徴を押さえたうえで、毎月の積立額や利回りによって将来の資産がどのように変わるのかをシミュレーションを通じて整理します。

数値を踏まえて検討することで、自分に適した資産づくりの進め方が見えてくるでしょう。

1. 新NISAを利用すると「利益や配当の税金」は非課税になる?

NISA(ニーサ)は、資産形成を支援する制度として2014年にスタートし、2024年からは内容が拡充された「新NISA」として運用されています。

この制度の大きな特徴は、投資によって得た利益や配当金に対して税金がかからない点です。

通常は約20%の税金が課されますが、新NISAを活用することで、その分を差し引かれることなく利益を受け取ることができます。

新NISA「非課税」のしくみ1/5

新NISA「非課税」のしくみ

出所:金融庁「NISAを知る」

ただし、NISAには投資可能額や対象商品に一定のルールが設けられているため、事前に制度内容を把握しておくことが重要です。

1.1 「新NISA」の特徴を押さえよう!主な6つのポイント

「新NISA」の主なポイントは次のとおりです。

【新NISA】「つみたて投資枠」と「成長投資枠」の特徴2/5

【新NISA】「つみたて投資枠」と「成長投資枠」の特徴

出所:金融庁「NISAを知る」

  1. 非課税保有期間は無期限
  2. 「つみたて投資枠」と「成長投資枠」の併用が可能
  3. 年間投資枠は、つみたて投資枠「年間120万円」・成長投資枠「年間240万円」
  4. 非課税保有限度額は1800万円(内、成長投資枠1200万円)※枠の再利用可能
  5. つみたて投資枠の投資対象商品は「長期の積立・分散投資に適した一定の投資信託」
  6. 成長投資枠の対象商品は「上場株式・投資信託等」

「投資」と聞くと大きな資金が必要に感じるかもしれませんが、現在は500円や1000円といった少額から始められる商品も増えています。

新NISAを活用すれば、株式や投資信託への投資も少額から取り組むことが可能です。

次章では、毎月積立投資を続けた場合に、将来どの程度の資産形成が期待できるのかをシミュレーションしていきます。

2. 【利回り別に試算】15年間「毎月5万円」を積み立てた場合の資産額

ここでは、新NISAを活用して積立投資を行った場合、どの程度の資産形成が見込めるのかを、想定利回り1%〜5%の範囲でシミュレーションします。

前提条件は以下のとおりです。

  • 50歳から65歳までの15年間で老後資金をつくる
  • 積立額は毎月5万円
  • 投資信託は「安定的な運用」を重視した1~5%の商品

シミュレーション結果は次のとおりです。

【新NISA】想定利回り別「月5万円」積立投資シミュレーション結果3/5

【新NISA】運用利回り別「月5万円」積立投資シミュレーション結果

出所:金融庁「つみたてシミュレーター」をもとにLIMO編集部作成

2.1 「毎月5万円×15年×年1〜5%」の資産額

想定利回り:資産評価額(元本部分は900万円)

  • 年1%:970万6000円
  • 年2%:1048万6000円
  • 年3%:1134万9000円
  • 年4%:1230万5000円
  • 年5%:1336万4000円

15年間、毎月5万円の積立を続けることで、最終的には1000万円を超える資産形成が期待できます。

元本は合計900万円ですが、運用状況によっては約70万円〜436万円程度の利益が上乗せされる可能性があります。

ただし、投資にはリスクが伴い、期待リターンが高いほどリスクも大きくなるため、その点は十分に理解しておく必要があります。

3. 【積立額別に試算】50歳から65歳までに「2000万円」を準備する場合

老後に必要な資金は各家庭で異なりますが、ここでは2000万円を目標とした場合を想定し、50歳から65歳までの15年間で毎月いくら積み立てる必要があるのかをシミュレーションします。

本ケースでは、投資信託を年利3%で運用する前提で結果をまとめています。

【新NISA】積立金額別「想定利回り3%」積立投資シミュレーション結果4/5

【新NISA】積立金額別「運用利回り3%」積立投資シミュレーション結果

出所:金融庁「つみたてシミュレーター」をもとにLIMO編集部作成

3.1 「15年間×年3%×月1〜12万円」の資産額

毎月の積立金額:資産評価額

  • 1万円:227万円
  • 3万円:680万9000円
  • 6万円:1361万8000円
  • 9万円:2042万8000円
  • 12万円:2723万7000円

※想定利回り:年3%

このシミュレーションでは、年利3%で15年間運用した場合、毎月約9万円を積み立てることで2000万円を超える資産形成が可能となる結果になりました。

ただし、月9万円の積立は負担が小さいとはいえず、また利回りも確実ではないため、想定通りに資産が増えない可能性がある点には注意が必要です。

老後資金を準備するうえでは、できるだけ早く積立を始めることが重要です。

たとえば、年利3%で30歳から65歳までの35年間積立を行った場合、2000万円を目指すために必要な毎月の積立額は約2万7000円に抑えられます。

このように、積立期間を長く取ることで、毎月の負担を軽くしながら効率よく資産形成を進めることが可能になります。

4. 途中で売却したら資産はどうなる?継続投資のシミュレーション

新NISAは長期運用を前提とした制度ですが、途中で資金が必要になる場面も想定されます。

そこで、積立投資を続けながら一部を取り崩した場合の資産の変化を見てみましょう。

たとえば、毎月5万円を積み立てながら、20年間にわたって積立を継続し、途中100万円を売却した場合、投資元本は合計1200万円となります(途中で100万円を取り崩した場合)。

運用利回りが年3%で運用された場合、最終的な保有資産は約1500万円となり、途中で売却した100万円を含めると、合計で約1600万円相当の資金となる計算です。

この結果から分かるポイントは次のとおりです。

  • 途中で取り崩しても資産形成は継続できる
  • 売却時も非課税のため効率的に資金を活用できる
  • 積立を続けることで資産の回復・成長が見込める

新NISAは、必要に応じて資金を引き出しながら運用できる柔軟性の高い制度です。

一部を取り崩したとしても、その後の積立を継続することで、長期的な資産形成への影響を抑えることができます。

無理に資金を固定するのではなく、ライフイベントに応じて活用しながら続けることが、現実的かつ安定した資産づくりにつながるといえるでしょう。

5. 新NISAを活用した資産形成は「時間と積立額」が鍵になる

本記事では、新NISAの基本的な特徴を押さえたうえで、毎月の積立額や利回りによって将来の資産がどのように変わるのかをシミュレーションしました。

新NISAは、投資による利益が非課税となる点で資産形成を後押しする制度ですが、その効果を最大限に活かすためには積立額や運用期間の設計が重要です。

また、短期間で目標額に到達しようとすると毎月の負担は大きくなりますが、長期で積み立てることで負担を抑えながら資産形成を進めることが可能です。

ただし、投資にはリスクが伴うため、無理のない範囲で計画的に取り組むことが大切です。

上記をふまえ、自分のライフプランに合わせた現実的な積立戦略を考えていきましょう。

参考資料