新年度の慌ただしさが少しずつ落ち着きを見せる4月。心機一転、新生活の家計管理を見直している方も多いのではないでしょうか。

昨年末の明細を振り返り、「もっとボーナスがあれば……」と溜息をつきたくなる瞬間もあるかもしれません。実は最新の統計によると、業種によってボーナス額には「約10倍」もの開きがあることが判明しました。こうした「入り口」の差は、日々の生活レベルだけでなく、将来に向けた資産形成のスピードにも決定的な影響を及ぼしています。

今回は最新の調査結果をもとに、世帯別の貯蓄と運用のリアルな実態について解説します。

1. 最新のボーナス事情「94万円と9万円」10倍の業種格差も。

2026年4月8日に発表された厚生労働省「毎月勤労統計調査2026(令和8)年2月分結果速報」では「≪特別集計≫令和7年年末賞与(一人平均)」も公開されました。これによると、冬のボーナスは全体的に増加傾向にあり、5人以上の事業所における労働者一人あたりの平均支給額は前年比2.8%増の42万4889円(月給の1.08か月分)であることがわかりました。

しかし、この支給額を業種別に見ると非常に大きなばらつきが存在します。資料から5つの業種(区分)を抜粋すると以下のようになります。

  • 電気・ガス業: 94万1438円(月給1.86か月分)
  • 情報通信業: 74万6758円(月給1.35か月分)
  • 複合サービス業: 51万2750円(月給1.80か月分)
  • 生活関連サービス業: 19万4018円(月給0.72か月分)
  • 飲食サービス業: 9万551円(月給0.46か月分)

最も支給額が高い業種で平均94万円を超える一方で、他業種に比べ厳しい水準の業種では平均約9万円にとどまっています。このように、働く業界によって冬のボーナス事情には約10倍もの非常に大きな差があることがわかります。

2. 世帯別・年収別にみる貯蓄と運用の実態。格差は「投資の有無」で広がる?

業種間での収入格差は、将来に向けた「資産形成」のスピードにも影響を与えています。ここでは、J-FLEC(金融経済教育推進機構)が公表した「家計の金融行動に関する世論調査 2025年」の結果に基づき、単身・二人以上世帯それぞれの貯蓄事情を深掘りします。

※ここでいう貯蓄とは金融資産保有額であり、金融資産保有額には預貯金以外に株式や投資信託、生命保険なども含まれます。また、日常的な出し入れ・引落しに備えている普通預金残高は含まれません。

2.1 《二人以上世帯》年収1200万円以上「資産の半分」が投資?

《二人以上世帯》種類別金融商品保有額(金融資産を保有していない世帯を含む)2/3

出所:J-FLEC(金融経済教育推進機構)「家計の金融行動に関する世論調査 2025年」

二人以上世帯では、教育や住宅、老後といった将来のライフイベントを見据え、年収の増加とともに着実に資産を積み上げる傾向が顕著です。

■資産規模のリアル

全国の平均保有額は1940万円。年収1200万円以上の層では、平均5635万円まで資産が積み上がっています。

■有価証券へのシフト

年収が高くなるほど株式や投資信託への配分が増え、年収1200万円以上の層では資産の半分をこれら有価証券が占めています。

■年収500万円未満の世帯

家計の状況に合わせて、預貯金や保険といった「流動性と安全性の高い資産」に重きを置いているのが特徴です。
将来的な運用を見据えつつも、まずは家族を支える基盤として生活防衛資金の確保に専念する、地に足のついた優先順位の立て方が見て取れます。

2.2 《単身世帯》年収1200万円以上「貯蓄6000万円超」7割以上を投資へ

《単身世帯》種類別金融商品保有額(金融資産を保有していない世帯を含む)3/3

《単身世帯》種類別金融商品保有額(金融資産を保有していない世帯を含む)

出所:J-FLEC(金融経済教育推進機構)「家計の金融行動に関する世論調査 2025年」

単身世帯の平均値は919万円となっていますが、これは一部の高額資産保有層が平均を押し上げている面もあり、詳しく見ると二極化が鮮明になっています。

■高年収層の圧倒的な資産額

年収1200万円を超える層の平均は6122万円。これは二人以上世帯の同所得層をも凌駕する数字です。

■攻めの投資配分

高所得な単身者は資産の72.9%を有価証券に投入。特に株式への配分(平均2521万円)が際立っています。

■年収300万円未満の世帯

金融資産の保有額は1000万円を下回るケースが多く、貯蓄に回す余力を確保することが喫緊の課題となっています。

教育費などの家族負担が少ない分、一定以上の収入がある単身者は、余剰資金を積極的に運用へ充当しやすい環境にあるといえそうです。

3. 収入の差が「運用の差」を生む構造

今回のデータから、ボーナスの業種間格差に象徴される「収入の差」は、そのまま「投資に回せる余力の差」へと直結していることが浮き彫りになりました。

特に高所得層は、潤沢な資金を株式や投資信託へ振り分けることで、さらなる資産拡大を狙う好循環を作り出しています。一方で低・中所得層においては、まずは安定的な預貯金の確保が優先されており、資産形成における格差は今後も拡大していく可能性が高いと言えるでしょう。

参考資料