1.1 シニア世帯が「家計にゆとりがない」と感じる主な理由

「ゆとりがない」と回答した世帯にその理由を尋ねたところ、最も多かったのは「物価上昇などにより費用が増加すると見込んでいるから」で、57.7%を占めました。

次いで「医療費の負担増」(30.0%)、「介護費用の負担増」(18.7%)と、将来的な支出への不安が続く結果となっています。

近年のインフレや、年齢を重ねることで避けられない健康上のリスクに対する不安が、シニア世帯の消費意欲を慎重にさせているようです。

では、このような厳しい実感の中で、70歳代の方々は実際にどれくらいの「備え」を持っているのでしょうか。

ここからは、具体的な「貯蓄額」について確認していきます。

2. 70歳代・二人以上世帯の貯蓄事情。平均2416万円、より実態に近い中央値は?

ここでは、J-FLEC(金融経済教育推進機構)の「家計の金融行動に関する世論調査(2025年)」から、「70歳代・二人以上世帯の金融資産保有額(金融資産非保有世帯を含む)」のデータを見ていきましょう。

※金融資産保有額には、預貯金以外に株式や投資信託、生命保険なども含まれます。また、日常的な出し入れ・引落しに備えている普通預金残高は含まれません。

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70歳代の貯蓄額(二人以上世帯)

出所:J-FLEC(金融経済教育推進機構)「家計の金融行動に関する世論調査(2025年)」をもとにLIMO編集部作成

70歳代・二人以上世帯の平均貯蓄額は2416万円です。

しかし、この平均値は一部の富裕層が引き上げているため、実際の生活感覚とは異なっている可能性があります。

より実態を反映しているといわれる中央値は1178万円で、多くの世帯の貯蓄額はこのあたりに集まっていると考えられます。

世帯ごとの貯蓄額の分布は以下の通りです。

  • 金融資産を保有していない世帯:10.9%
  • 100万円未満の世帯:4.5%
  • 100万円以上200万円未満の世帯:5.1%
  • 200万円以上300万円未満の世帯:3.7%
  • 300万円以上400万円未満の世帯:3.9%
  • 400万円以上500万円未満の世帯:2.9%
  • 500万円以上700万円未満の世帯:6.4%
  • 700万円以上1000万円未満の世帯:6.7%
  • 1000万円以上1500万円未満の世帯:11.1%
  • 1500万円以上2000万円未満の世帯:6.7%
  • 2000万円以上3000万円未満の世帯:12.3%
  • 3000万円以上の世帯:25.2%
  • 無回答:0.6%

70歳代・二人以上世帯のうち、金融資産を全く保有していない「貯蓄0円」の世帯は全体の10.9%を占めています。

その一方で、3000万円以上の貯蓄を持つ世帯も25.2%存在し、世帯間で資産状況に大きな格差があることがわかります。

他の分布に目を向けると、100万円未満が4.5%、100万円以上200万円未満が5.1%、200万円以上300万円未満が3.7%と、貯蓄が少ない世帯も一定数いることがわかります。

同時に、1000万円以上1500万円未満が11.1%、2000万円以上3000万円未満が12.3%など、まとまった資産を築いている世帯も少なくありません。

このように、貯蓄額は退職金の有無や現役時代の収入、相続、健康状態など様々な要因で大きく異なります。

公的年金の受給額も現役時代の加入状況によって個人差があるため、貯蓄が少ない世帯では年金収入だけで生活を維持するのが困難な場合もあるでしょう。

老後の生活を安定させるためには、各世帯の状況に合わせた生活設計が不可欠です。

例えば、健康なうちは短時間の仕事を続ける、不動産や投資から副収入を得るなど、早めに準備を始めることが将来の安心につながるのではないでしょうか。