2. なぜ海から遠い山あいで「刺身」なのか
海なし県ではないものの、山間部に位置する三次市で、なぜ古くから刺身という生食文化が発展したのでしょうか。それには明確な理由があります。
まずは、日持ちの良さです。
サメの肉は尿素(アンモニアの元)を多く含んでいるため、他の魚に比べて非常に腐りにくい特性があります。冷蔵技術がなかった時代、日本海側(山陰地方)から数日かけて山間部へ運ばれても、鮮度を保ったまま届く数少ない海の幸でした。
次に、貴重な「ハレ」の日のご馳走だったことも理由に挙げられます。
当時、内陸部では塩漬けされた魚が一般的で、生で食べられる魚は非常に贅沢なものとされていました。そのため、祭りや正月といった「ハレの日」を彩る特別なご馳走として、この「ワニ」が重宝されたのです。
