3. 知っておくべき「医療費の壁」窓口負担と高額療養費制度の基本

75歳以降の家計で最も読みにくい支出が医療費です。「急に入院したら家計が破綻するのでは…」と不安に感じる方もいるかもしれませんが、実は日本の公的医療保険には、負担が大きくなりすぎないための仕組みが用意されています。

ただし、この仕組みには知っておかないと損をする3つの「壁」があります。

所得による負担割合の壁、1カ月あたりの自己負担の壁、そして2026年8月に迫る制度改正の壁です。

順番に見ていきましょう。

3.1 壁その①:所得による「窓口負担割合の壁」

日本では75歳の誕生日を迎えると、それまで加入していた健康保険(会社の健康保険や国民健康保険など)から自動的に「後期高齢者医療制度」に切り替わります。

この制度に加入する人は、病院の窓口で支払う金額が医療費全体の1~3割に抑えられる仕組みです。

ただし、具体的にどの負担割合になるかは前年の所得によって決まり、所得のラインを超えると負担が一気に2倍・3倍に跳ね上がる「壁」が存在します。

  • 1割負担:多くの人がこの区分に該当します
  • 2割負担:一定以上の所得がある方(※下記参照)
  • 3割負担:現役世代と同じくらいの所得がある方(「現役並み所得者」と呼ばれます)

2割負担の判定基準は少しわかりにくいので整理すると、「課税所得(収入から各種控除を差し引いた後の金額)が28万円以上」かつ「年金収入+その他の所得の合計が、単身世帯で年200万円以上、夫婦世帯で合計320万円以上」の人が対象です。

3割負担は、同じ世帯に課税所得145万円以上の方がいる場合に適用されます。

なお、2022年10月から新たに2割負担の対象となった方については、急に負担が倍になることを避けるため「1カ月の外来医療費の増加額を最大3000円までに抑える」という配慮措置が設けられていました。

しかし、この配慮措置は2025年9月末で終了しており、2025年10月以降は本来の2割負担がそのまま適用される「新しい壁」が立ち上がっています。

該当する世帯では、毎月の医療費負担が以前より増えている可能性があるため注意が必要です。