日本年金機構の「障害年金業務統計(令和6年度決定分)」によれば、診断書種類別の支給決定(新規裁定)で精神障がい・知的障がいの占める割合は約67%にのぼります。精神障害者保健福祉手帳を持つ人の中には、障害年金はいくらもらえるのか気になる人もいるでしょう。

本記事では、精神障害2級で子供が2人いる人の障害年金額について解説します。年金額の計算方法や加算額も紹介しますので、年金請求を検討中の人は確認しておきましょう。

1. 【障害年金】精神障害者保健福祉手帳との「等級の違い」

精神障害者保健福祉手帳(以下、福祉手帳)と障害年金の等級はそれぞれ1級から3級です。ただし、福祉手帳と障害年金は全く異なる制度で、等級の判断基準も異なることに注意が必要です。

たとえば、福祉手帳2級の人が障害年金の請求をした場合、必ずしも障害等級が2級と認定されるとは限りません。1級に認定されることもあるし、障害年金がもらえないケースもあります。なお、障害年金における各等級の障害状態の目安は次の通りです。

  • 1級:他人の介助がなければ日常生活のほとんどできない状態
  • 2級:日常生活に著しい制限がある状態、労働によって収入を得ることができないほどの状態
  • 3級:日常生活にはほとんど支障はないが、労働に著しい制限を受ける状態

なお、障害年金には障害基礎年金と障害厚生年金の2種類があります。初診日(障害の原因となった病気やけがについて、初めて医師または歯科医師の診療を受けた日)において国民年金に加入していた人は障害基礎年金、厚生年金に加入していた人は障害厚生年金の対象です。

2. 【障害基礎年金】1級約105万円・2級約84万円でも「3級はゼロ円?」

障害基礎年金は、初診日において国民年金に加入していた人以外にも次の人が受給できます。

  • 初診日に20歳未満または60歳以上65歳未満で年金制度に加入していない人で一定要件を満たす人
  • 障害厚生年金の1級・2級に該当する人

障害基礎年金の受給額(2026年度、毎年更改)は次の通りで、障害等級3級の人は障害基礎年金を受給できません。

  • 障害基礎年金1級:105万9125円
  • 障害基礎年金2級:84万7300円

なお、「18歳の年度末までの子ども」または「20歳未満で障害等級1級または2級の子ども」がいる場合、次の「子の加算額」(2026年度、毎年更改)が加算されます。

  • 子の加算額(1人目・2人目):1人当たり24万3800円
  • 子の加算額(3人目以降):1人当たり8万1300円

ここまで、精神障害者保健福祉手帳と障害年金の等級の違いと、障害基礎年金額の計算方法について解説しました。次章では、障害厚生年金額の計算方法と精神障害2級で子供が2人いる人の障害年金額について解説します。

3. 【障害厚生年金】《2級》の基本額目安と加算

障害厚生年金額の計算は少し複雑です。厚生年金加入状況による年金額の目安と加算額について解説します。

3.1 障害等級2級の基本額(報酬比例)の目安

障害厚生年金額は、厚生年金の加入期間や加入中の収入によって決まります。障害等級2級の基本額(報酬比例)の計算方法は次の通りです。

障害厚生年金2級の基本額(報酬比例)の計算方法1/3

障害年金額報酬比例 ・ 障害手当金額の計算式

出所:日本年金機構:「障害年金ガイド」

計算は少し難しいため、厚生年金の加入期間と加入中の平均報酬(平均標準報酬月額)別の「障害等級2級の基本額(報酬比例)の目安」を参考にしてください。

障害等級2級の基本額(報酬比例)の目安2/3

障害等級2級の基本額(報酬比例)の目安

各種資料をもとに筆者作成

なお、厚生年金加入期間が30年未満の場合、30年加入したものとして年金額を計算します。また、障害等級2級と3級の基本額は同額(3級は障害基礎年金が併給されないため最低保証額あり)で、1級の基本額は2級の1.25倍です。

3.2 障害厚生年金の加算

障害厚生年金1級または2級に該当し、一定要件を満たす配偶者がいる場合、配偶者の加給年金額(2026年度は24万3800円)が加算されます。3級の人には加算がありません。

前述の通り、障害厚生年金の1級・2級に該当する人は障害基礎年金も合わせて受給できます。等級別、年金種類別の受給イメージは次の通りです。

受給できる障害年金と加算3/3

障害基礎年金・障害厚生年金の等級と年金額

出所:日本年金機構:「障害年金ガイド」

4. 【障害年金】精神障害2級で子供が2人いる場合「いくらもらえる?」シミュレーションを公開

精神障害2級で子供が2人いる場合、受給できる年金額をシミュレーションしてみましょう。

4.1 初診日に国民年金に加入していた人

初診日に国民年金に加入していた人に支給されるのは障害基礎年金です。また、一定要件を満たす子どもがいる場合、加算もあります。精神障害2級で子供が2人いる場合の年金額と加算額は次の通りです。

  • 障害基礎年金2級:84万7300円
  • 子の加算額(1人目・2人目):1人当たり24万3800円

合計すると年金額は133万4900円です。

4.2 初診日に厚生年金に加入していた人

初診日に厚生年金に加入していた人に支給されるのは障害厚生年金です。精神障害2級の場合、障害基礎年金や子の加算額も同時に支給されます。子供が2人いる場合の年金額と加算額は次の通りです。厚生年金に30年加入し、平均標準報酬月額が50万円と仮定します。

  • 障害厚生年金2級:(障害等級2級の基本額(報酬比例)の目安)より約99万円
  • 障害基礎年金2級:84万7300円
  • 子の加算額(1人目・2人目):1人当たり24万3800円

合計すると年金額は約232万4900円です。一定要件を満たす配偶者がいる場合、配偶者の加給年金額(24万3800円)が加算され、約256万8700円となります。

5. おわりに

障害年金の受給額は、初診日の年金加入状況や家族状況によって一人ひとり異なります。要件を満たす配偶者や子供がいる場合、障害基礎年金には「子の加算額」、障害厚生年金(1級または2級)には「配偶者の加給年金額」が加算されます。

障害基礎年金2級の受給者に加算対象の子どもが2人いる場合、年金額は133万4900円です。
障害厚生年金2級の受給者には、厚生年金の加入期間と平均標準報酬月額を用いて計算する障害厚生年金に加え障害基礎年金(子の加算を含めて133万4900円)が支給されます。

年金額の計算は複雑で障害等級によって受給額は大きく異なりますが、本記事を参考に大雑把にでも年金額を把握し、今後の生活設計に役立てましょう。

参考資料

西岡 秀泰