3. 【共働きか片働きか】世帯の収入構造が貯蓄格差を広げる
40歳代・50歳代の貯蓄状況を読み解くうえで見落とせないのが、「世帯の働き方」による違いです。とくに共働きか片働きかによって、収入の安定性や貯蓄の進み方には大きな差が生まれます。
総務省の調査によれば、日本ではすでに共働き世帯が主流となっており、夫婦世帯の約7割を占めています。
3.1 共働き世帯は「収入の厚み」と「分散」で有利に働く
共働き世帯の場合、世帯収入が2本柱となるため、単純に収入総額が高くなりやすいだけでなく、どちらかの収入が一時的に減少しても家計全体への影響を抑えやすいという特徴があります。
また、生活費を分担できることで可処分所得に余裕が生まれ、その一部を貯蓄や投資に回しやすくなります。こうした構造が、結果として資産形成のスピードを押し上げる要因となります。
3.2 片働き世帯は支出イベントの影響を受けやすい
一方で、片働き世帯では主な収入源が一つに限られるため、教育費や住宅ローンといった大きな支出が重なると、貯蓄に回せる余力が圧迫されやすくなります。
特に40歳代から50歳代は、子どもの進学や住宅関連の支出がピークを迎えやすい時期です。
収入が比較的高い水準にあっても、「思うように貯まらない」と感じる背景には、こうした支出構造の違いが影響していると考えられます。
3.3 同じ年代でも「世帯のかたち」で将来資産は変わる
今回のデータで見られる貯蓄額のばらつきには、こうした働き方や世帯構成の違いが少なからず影響しています。単純な平均値だけでは見えにくいものの、「どのような収入構造で家計を支えているか」によって、将来の資産形成の余地は大きく変わってきます。
そのため、自身の状況を把握する際には、他世帯との比較だけでなく、収入の内訳や家計の構造にも目を向けることが重要といえるでしょう。
著者
マネー編集部貯蓄班は株式会社モニクルリサーチが運営する『くらしとお金の経済メディア ~LIMO(リーモ)~』において、大手証券会社やメガバンク等の金融機関にて勤務経験のある編集者が中心となり、金融庁や総務省など官公庁の公開情報等をもとにお金の課題に寄り添う専門チームです。
主なメンバーは野村證券株式会社出身の宮野茉莉子、SMBC日興証券株式会社出身の安達さやか、地方自治体職員出身の太田彩子、株式会社三菱UFJ銀行と三井住友信託銀行株式会社出身の和田直子、株式会社三菱UFJ銀行出身の中本智恵、日本生命保険相互会社出身の村岸理美など。
編集者の多くは、金融機関にて個人リテール業務を経験。若年層からシニア層、富裕層に至るまで、幅広い顧客に対し、投資信託・保険を中心とした総合的なライフプランニングを実行してきた。なかには、リテール営業で社内トップの実績を持ち、行内で表彰された実力者も。人材育成や社内教育にも携わるなど、金融知識と実務経験の両面で信頼される編集者が在籍しています。
CFP®、1級ファイナンシャル・プランニング技能士(FP1級)、2級ファイナンシャル・プランニング技能士(FP2級)、一種外務員資格(証券外務員一種)などの資格保有者も多数在籍。(最新更新日:2025年6月23日)
監修者
二種外務員資格(証券外務員二種)記者/編集者/校閲者/
【保有資格】
ニ種外務員資格(証券外務員二種)・相続診断士・認知症介助士・終活ガイド資格1級保有。
【経歴】
二種外務員資格や相続診断士などの資格を保有し、「お金とくらし」にまつわる情報を専門的かつ丁寧に発信する金融メディア編集者・ライター。
早稲田大学第一文学部史学科卒。人文・社会系一般書籍、中学・高校社会科教材、就職試験問題の制作関連業務で15年以上の経験を持つ。また、大手人材派遣会社における採用管理業務などの実務経験もある。
現在は株式会社モニクルリサーチが運営する『くらしとお金の経済メディア~LIMO(リーモ)~』において、金融系メディアの編集者兼執筆者として、コンテンツ制作や編集を担当。
総務省「家計調査」・厚生労働省「厚生年金保険・国民年金事業の概況」・J-FLEC(金融経済教育推進機構)「家計の金融行動に関する世論調査」などの一次資料に基づくデータ記事の執筆に強み。
専門家と実務家が発信する金融経済ニュースサイト『LIMO&ファイナンス』でも記事執筆をおこなう。紙媒体での経験に加え、家族の介護を通じて得た知見を生かしながら、「お金とくらし」にまつわる情報を丁寧に発信している。(2026年7月9日更新)