2. 公的年金だけで生活できる?70歳代の約1割しか「不自由ない」と回答せず
日々の生活の基盤となる公的年金ですが、その満足度や将来への見通しは、多くの人にとって厳しいものとなっているようです。
金融経済教育推進機構(J-FLEC)の「家計の金融行動に関する世論調査 2025年」によると、70歳代世帯の年金に対する実感は次のようになっています。
2.1 70歳代・二人以上世帯が感じる年金生活の実態
- 年金だけで特に不自由なく暮らせる:12.3%
- ゆとりはないものの、日常の生活費程度はまかなえる:61.2%
- 日常の生活費をまかなうのも難しい:26.5%
「不自由ない」と回答した世帯は全体の1割強にとどまっています。
ゆとりがないと感じる最も大きな理由として、約6割が「物価上昇等(57.7%)」を挙げています。
日々の支出管理に加えて、医療費や介護費用の自己負担が増えることへの懸念など、将来への備えが家計への不安感を強めていると考えられます。
3. 70歳代二人以上無職世帯の生活費は月々いくら?家計調査から見る収支の実態
ここからは、総務省統計局が公表している「家計調査報告 家計収支編 2024年(令和6年)平均結果の概要」を基に、70歳代の生活費の実態について確認していきましょう。
3.1 【年齢別】70歳代・二人以上無職世帯の収入と支出の内訳
「70歳代・二人以上無職世帯」の支出
- 70~74歳:消費支出28万5844円・非消費支出3万9127円
- 75歳以上:消費支出24万8460円・非消費支出3万1563円
「70歳代・二人以上無職世帯」の実収入
- 70~74歳:28万7725円
- 75歳以上:25万2798円
「70歳代・二人以上無職世帯」の家計収支
- 70~74歳:▲3万7245円
- 75歳以上:▲2万7225円
この赤字は、必ずしも浪費が原因ではありません。
高齢期の支出は、削減が難しい固定費の割合が大きくなるのが実情です。
参考として、総務省統計局「家計調査報告 家計収支編 2024年(令和6年)平均結果の概要」より、65歳以上の無職夫婦世帯における主な消費支出の構成比を見てみましょう。
- 食料:29.9%
- 交通・通信:11.9%
- 教養娯楽:10.1%
- 光熱・水道:8.9%
- 保健医療:6.8%
消費支出のうち約3割を「食料」が占めており、光熱費や医療費といった生活に不可欠な固定費も家計の負担となっています。
さらに、消費支出とは別に、公的年金から天引きされる税金や社会保険料などの「非消費支出」も家計を圧迫しています。
こうした避けられない支出が積み重なることで、赤字が生じているのです。
著者
株式会社モニクルリサーチ
記者/2級ファイナンシャル・プランニング技能士(FP2級)/元銀行員
神奈川県出身。2級ファイナンシャル・プランニング技能士(FP2級)保有。中央大学文学部社会学科卒業後、みずほ銀行にて確定拠出年金に関する講師として全国の個人投資家向けにセミナーを実施。企業型確定拠出年金(企業型DC)だけでなく、個人型確定拠出年金(iDeCo)も含めた制度や仕組み、投資信託の解説や市況などを伝える。フリーランスを経て、フィンテックベンチャーにて広報を担当。
現在は株式会社モニクルリサーチにて金融関連の取材や自社メディアに関するPR業務も担当。くらしとお金の経済メディア「LIMO(リーモ)」では、人事院、内閣府(金融庁、消費者庁、こども家庭庁)、デジタル庁、総務省、法務省、財務省(国税庁)、文部科学省、厚生労働省、農林水産省(林野庁)、経済産業省(中小企業庁)、国土交通省、環境省といった官公庁の公開情報など、信頼性の高い情報をもとに厚生労働省管轄の公的年金(厚生年金保険と国民年金)、年金制度の仕組み、社会保障、退職金、資産運用や貯蓄、新NISA、iDeCoなどをテーマに企画・編集・執筆を行う。専門家と実務家が発信する金融経済ニュースサイト『LIMO&ファイナンス』でも記事を執筆している。(2026年7月11日更新)
監修者
マネー編集部貯蓄班は株式会社モニクルリサーチが運営する『くらしとお金の経済メディア ~LIMO(リーモ)~』において、大手証券会社やメガバンク等の金融機関にて勤務経験のある編集者が中心となり、金融庁や総務省など官公庁の公開情報等をもとにお金の課題に寄り添う専門チームです。
主なメンバーは野村證券株式会社出身の宮野茉莉子、SMBC日興証券株式会社出身の安達さやか、地方自治体職員出身の太田彩子、株式会社三菱UFJ銀行と三井住友信託銀行株式会社出身の和田直子、株式会社三菱UFJ銀行出身の中本智恵、日本生命保険相互会社出身の村岸理美など。
編集者の多くは、金融機関にて個人リテール業務を経験。若年層からシニア層、富裕層に至るまで、幅広い顧客に対し、投資信託・保険を中心とした総合的なライフプランニングを実行してきた。なかには、リテール営業で社内トップの実績を持ち、行内で表彰された実力者も。人材育成や社内教育にも携わるなど、金融知識と実務経験の両面で信頼される編集者が在籍しています。
CFP®、1級ファイナンシャル・プランニング技能士(FP1級)、2級ファイナンシャル・プランニング技能士(FP2級)、一種外務員資格(証券外務員一種)などの資格保有者も多数在籍。(最新更新日:2025年6月23日)