毎日の生活のなかで、「将来のために少しでもお金を残さないと」と節約や貯金に励んでいる人は多いのではないでしょうか。
長引く物価高や上がらない実質賃金、そして将来の年金への不安……。お金に対する悩みは尽きません。
そんな中、家計の見直しを行い「毎月3万円ならなんとか将来のために回せそう」と、目標を立てて行動し始めている方もいるのではないでしょうか。
しかし、その「大切な月3万円」をどこに置くかによって、10年後、20年後の未来が大きく変わることが考えられます。
本記事では「毎月3万円を銀行預金し続けた人」と「毎月3万円を新NISAで積立投資した人」の20年後の資産差をシミュレーションします。
それぞれのメリット・デメリットをわかりやすく解説するので、ご自身の将来に向けた「お金の置き場所」を考えるヒントにしてみてください。
1. 「預金だけ」の20年後。毎月3万円を貯金し続けるとどうなる?
まずは、これまで日本人が最も得意としてきた「銀行預金」で毎月3万円を積み立てた場合を見ていきましょう。
毎月3万円を1年間貯金すると36万円。これを20年間続けると、元本は720万円になります。
毎月の小さな積み重ねでも、20年という時間をかければ立派な資産になります。
では、ここに「利息」はどれくらいつくのでしょうか。近年、日本銀行の政策転換により「金利のある世界」が戻ってきつつあります。
メガバンク等でも普通預金や定期預金の金利が引き上げられ、ニュースでも話題になりました。
しかし、引き上げられたとはいえ、定期預金の金利を年0.3%程度としているところも多い傾向にあります。
年利0.3%で、毎月3万円を20年間積み立てたとシミュレーションしてみましょう。
シミュレーションの結果は以下の通りです。
1.1 毎月3万円の貯金を始めた場合の資産額(年利0.3%)
- 積立元本:720万円
- 20年後の利息(税引前):約22万円
- 20年後の最終的な資産額:約742万円
金利が上がったことで利息は少し増えましたが、それでも20年間大切なお金を銀行に預け続けて、増えるのは約22万円です(ここからさらに約20%の税金が引かれます)。
720万円という元本に対しては、実質的に「元本そのまま」に近い状態と言わざるを得ません。
2. 「新NISA」の20年後。毎月3万円を積立投資するとどうなる?
次に、毎月3万円を「新NISA」を使って投資信託(世界中の株式などに分散投資する商品)で積み立てた場合のシミュレーションを見てみましょう。
新NISAの最大のメリットは、「投資で得た利益がずっと非課税になる」という点です。
通常、投資で得た利益には約20%の税金がかかりますが、新NISA口座であればこれが0円になります。
投資には当然「元本割れ」のリスクがありますが、世界経済全体に分散投資を行い、15年、20年といった長期で運用を続けた場合、運用益はプラスになる傾向があります。
ここでは、保守的な「年利3%」、平均的な「年利5%」、少し楽観的な「年利7%」の3つのパターンで、毎月3万円を20年間積み立てた結果をシミュレーションします(※投資信託の手数料等は考慮せず、複利計算としています)。
シミュレーションの結果は以下の通りです。
2.1 毎月3万円を新NISAで積立投資した場合の資産額(年利3%)
- 積立元本:720万円
- 最終資産額:約981万円
- 利益額:約261万円(元本の約1.3倍)
2.2 毎月3万円を新NISAで積立投資した場合の資産額(年利5%)
- 積立元本:720万円
- 最終資産額:約1217万円
- 利益額:約497万円(元本の約1.7倍)
2.3 毎月3万円を新NISAで積立投資した場合の資産額(年利7%)
- 積立元本:720万円
- 最終資産額:約1523万円
- 利益額:約803万円(元本の約2.1倍)
もし、「年利5%」で運用できた場合、20年後の資産は約1217万円となります。
預金だけだった場合の「約742万円」と比較すると、その差は約475万円です。
では、なぜここまで大きな差がつくのでしょうか。
その理由は「複利」にあります。
複利とは、投資で得た利益を引き出さずに再び投資に回すことで、利益がさらに利益を生み、雪だるま式にお金が増えていく仕組みのことです。
運用期間が長いほど、この複利の恩恵を受けることが期待でき、資産を増やしやすくなります。
さらに、新NISAを使えば、仮に利益が500万円だったとしても税金がかかりません。
通常の口座なら500万円の利益に対して約20%の税金がかかるため、約100万円もの税金が引かれてしまうところを、新NISAだとそのまま自分の手元に残せるのです。
もちろん、投資である以上、運用期間中にはリーマンショックやコロナショックのように一時的に資産が目減りする「暴落」を経験する可能性あるでしょう。
しかし、世界経済が長期的には成長していくという前提に立てば、毎月定額を買い続ける「積立投資(ドルコスト平均法)」は、安い時に多く買い、高い時に少なく買うという合理的な行動を自動で行ってくれるため、リスクを抑えながら資産を大きく育てられる可能性が期待できるでしょう。
ただし、価格変動リスクや元本割れなどのリスクが伴うことをよく理解したうえで、資産形成について考えることが大切です。
3. 預金と新NISA、どう使い分けるのがいい?
ここまでシミュレーションを見て、余剰資金を「全額新NISAで運用しようか」と考えた人もいるかもしれません。
投資には「すぐにお金を引き出しにくい(引き出すタイミングで元本割れしている可能性がある)」という弱点があります。
もし、全額を投資に回していて、突然の病気やケガ、車の故障、あるいは勤め先の業績悪化などで明日すぐにお金が必要になったとき、相場が大暴落していたら目も当てられません。
大切なのは、「預金」と「投資(新NISA)」をゼロ百で考えるのではなく、お金の役割に応じた「使い分け」をすることです。
理想的なお金の置き場所は、以下の3つのバケツに分けて考えると分かりやすいです。
3.1 日々の生活費バケツ(いつでも引き出せる普通預金)
毎月の家賃、食費、光熱費など、生活していくために必要なお金です。
給与振込口座などの出し入れしやすい普通預金に置いておきます。
3.2 生活防衛資金バケツ(万が一の事態に備えるお金)
「万が一」の事態に備えるためのお金です。
一般的に、生活費の3カ月〜半年分(会社員の場合)、フリーランスの方なら1年分程度あると安心だとされています。
たとえば月の生活費が25万円なら、75万〜150万円程度です。
このお金は不測の事態に備えておくものなので、金利が高めのネット銀行の定期預金などに置き、有事の際以外は手を付けないようにするのもポイントです。
3.3 将来に向けて増やすバケツ(将来に向けた資産形成)
上記の「1」と「2」が確保できた上で、余ったお金(当面、10年以上は使う予定のないお金)をこのバケツに入れます。
たとえば老後資金や、子どもが小さいうちの将来の教育資金などが該当します。
もし現在、貯金がゼロに近い状態であれば、まずは「生活防衛資金」を貯めることを最優先にしてください。
ただし、少額からでも資産形成をはじめられるため、「毎月預金に2万円、新NISAに1万円」といったハイブリッドな配分からスタートし、貯金が貯まってきたら新NISAなどの資産運用の比率を増やすという選択肢もあるでしょう。
4. 時間は最大の味方!今日から始める「お金を育てる」習慣
今回は、毎月3万円を「預金」し続けた人と、「新NISA」で投資した人の20年後を比較しました。
預金だけで持っていれば数字上の元本は減りませんが、インフレによって実質的な価値が目減りするリスクを抱えることになります。
一方、新NISAで世界経済の成長の波に乗れば、複利の力で資産を大きく育てるチャンスが広がります。
シミュレーションで見た「約475万円の差」は、老後の生活のゆとりを決定づける大きな金額と言えるでしょう。
資産形成に役立つのは「時間」です。
早く始めれば始めるほど、複利効果は大きくなることが期待できます。
家計やライフスタイルに合わせてお金の置き場所を少し変えるだけで、未来の自分を助けることに繋がるでしょう。



