3. 【見えないリスク】4人に1人が「入居時より高くなった」と回答。介護施設の値上げのリアル
将来的に必要となる可能性が高い「介護費用」も、値上げとは無関係ではありません。
3.1 介護にかかる費用の平均
公益財団法人 生命保険文化センターの「2024(令和6)年度 生命保険に関する全国実態調査」によると、介護にかかる費用(介護保険サービスの自己負担費用を含む)の平均は以下のようになっています。
- 初期費用(住宅改造やベッドの購入など):平均47.2万円
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月額費用(介護サービス費など):平均9.0万円
- 在宅介護の場合:月額平均5.3万円
- 施設介護の場合:月額平均13.8万円
- 介護期間:平均55.0カ月(4年7カ月)
このように、特に施設へ入居する場合には毎月10万円を超える費用がかかるケースは多く、初期費用を含めるとまとまった資金が必要になります。
さらに近年は、この介護費用が「想定以上にかかる」というシビアな現実が浮き彫りになっています。
株式会社Speee(ケアスル 介護)が発表した実態調査によると、入居時より月額費用が「増加した」と答えた家族は26.4%(4人に1人以上)にのぼりました。
さらに、「施設から値上げを通知された経験がある」と答えた家族は約4割(39.35%)に達し、そのうちの6割以上(61.86%)が「直近1年以内」に最初の通知を受けているなど、足元で集中的に値上げが進行していることがわかります。
3.2 値上げの理由、トップは「物価・光熱費の上昇」
値上げの理由として施設側から説明されたのは、「物価・光熱費の上昇(60.31%)」や「食料品・日用品の値上がり(48.97%)」が上位を占めました。
施設側の経営努力だけでは吸収しきれないコスト上昇が、利用者の負担として転嫁されている構造が浮き彫りになっています。
こうした負担増は、入居者の生活を直撃しています。
同調査では、費用負担を理由に施設の転居や退去を検討または実行した家族が約3人に1人(34.48%)に達し、実際に「転居・退去をした/する予定」の家族も11.76%いることが明らかになりました。
「ギリギリ支払える予算の施設を選んだはずなのに、数年後に数万円の値上げを通達された」「年金収入は増えないのに施設の利用料が上がり、特養など別の施設へ転居(退去)せざるを得なくなった」といった切実な声も寄せられています。
3.3 2026年8月からは、一部の入所者の「食費・居住費の負担限度額」も引き上げへ
加えて、国の制度改定により、2026年8月1日からは介護保険施設における一部の入所者の食費・居住費の負担限度額が引き上げられます。
2026年8月からは食費・居住費の負担限度額も引き上げへ5/6
出所:厚生労働省老健局介護保険計画課、老人保健課「令和8年8月からの特定入所者介護(予防)サービス費の見直し等に係る周知への協力依頼について」
今回の改定の主な対象となる、市町村民税非課税世帯のうち年金収入等が年120万円を超える方(第3段階②)の場合、食費と居住費を合わせて月約3600円(1日あたり合計120円)の負担増となる予定です。
老後の資金計画を立てる際には、「今の年金と今の物価」だけで計算するのではなく、こうした「将来起こり得る費用変動リスク(インフレや介護費用の増額)」までを見込んでおくことも大切になってくるでしょう。

