日本年金機構によると、年金生活者支援給付金の請求書は毎年9月の第1営業日から順次発送されます。2026年は9月1日(火)がその日にあたります。

年金そのものは手続きをしなくても2か月ごとに振り込まれますが、公的なお金の中には申請をしないと受け取れないものがあります。

銀行員だった頃、窓口では「年金だけでは心もとないが、他にもらえるお金があるかどうかが分からない」というお声を聞いたことがあります。制度の名前を知らないままでは、申請の入口にたどりつけません。

この記事では、自動で振り込まれるお金と申請が必要なお金の違いを整理し、年金暮らしで使える5つの制度について解説します。

1. 「申請しないともらえないお金」この記事の3つのポイント

  •  年金の2回目以降の支給や年金生活者支援給付金の2年目以降は、手続きをしなくても振り込まれます。
  •  一方で年金生活者支援給付金の初回や高額療養費の初回などは、申請をするまで支給が始まりません。
  •  年金生活者支援給付金の請求書は、2026年は9月1日(火)から順次発送されます。

2. 「申請しないともらえないお金」と自動で振り込まれるお金の違い

公的なお金は、大きく2つに分かれます。まずその線引きから確認していきましょう。

自動で振り込まれるお金と、申請しないともらえないお金1/2

自動で振り込まれるお金と、申請しないともらえないお金

出所:日本年金機構および東京都後期高齢者医療広域連合の資料をもとにLIMO編集部作成

2.1 年金の2回目以降や給付金の2年目以降は手続きが不要

老齢年金や障害年金、遺族年金は、いったん受給が始まれば偶数月の中旬に2か月分がまとめて振り込まれます。毎回の手続きは必要ありません。

年金生活者支援給付金も、一度認定されると2年目以降の手続きは原則として不要です。所得の情報は市町村から日本年金機構へ連携されるため、要件を満たしていれば継続して受け取れます。

2.2 「申請しないともらえないお金」は初回の手続きをするまで始まらない

一方で、初回の手続きが必要なお金は、対象であっても申請をするまで支給が始まりません。要件を満たしていても自動では振り込まれないところが、この違いのポイントです。

ただし申請が必要なお金にも、対象者に請求書や申請書が送られてくるものがあります。届いた郵便物を開けて確かめることが、最初の一歩になります。

3. 年金暮らしで使える「申請しないともらえないお金」5つ

ここからは、申請が必要なお金を5つ取り上げます。金額の目安と手続きをあわせて見ていきましょう。

年金暮らしで使える、申請が必要な5つの制度2/2

年金暮らしで使える、申請が必要な5つの制度

出所:日本年金機構および東京都後期高齢者医療広域連合の資料をもとにLIMO編集部作成

3.1 年金生活者支援給付金は月額基準額が「5620円」

年金生活者支援給付金は、所得が一定額を下回る年金受給者に年金へ上乗せして支給されます。令和8年度の月額基準額は「5620円」です。

65歳以上で老齢基礎年金を受けていること、世帯全員の市町村民税が非課税であること、前年の公的年金等の収入金額とその他の所得の合計が80万9000円以下であることが要件です。

この金額を超えても、90万9000円以下であれば補足的老齢年金生活者支援給付金の対象になります。9月に届く請求書を提出すると支給が始まります。

3.2 高額療養費は1か月の自己負担が限度額を超えた分

高額療養費は、1か月の医療費の自己負担が限度額を超えたときに、超えた分が支給される仕組みです。後期高齢者医療制度では、令和8年8月診療分から限度額が見直されました。

1割・2割負担の人の外来の限度額は、月「2万2000円」などに変わっています。外来と入院を世帯で合算した限度額は6万1500円です。

支給の対象になる人には、診療月から最短で4か月後に広域連合から申請書が送られます。申請は初回のみで、2回目以降は自動的に振り込まれます。

3.3 限度額適用・標準負担額減額認定は窓口で支払う額が抑えられる

所得区分が区分Ⅰ・Ⅱの人は「限度額適用・標準負担額減額認定」、現役並み所得Ⅰ・Ⅱの人は「限度額適用認定」を受けられます。

マイナ保険証か資格確認書を医療機関の窓口に提示すると、1つの医療機関での自己負担が限度額までにとどまります。あとから還付を受けるのではなく、支払う金額そのものが抑えられる点が利点です。

区分Ⅰ・Ⅱの人は、入院時の食事代も軽減されます。入院が決まったときは早めに手続きをしておくと、立て替えの負担が軽くなります。

3.4 高額介護合算療養費は医療と介護を1年で合算する

高額介護合算療養費は、世帯で1年間に支払った医療保険の自己負担と介護保険の利用者負担を合算する仕組みです。対象となる1年は8月1日から翌年7月31日までです。

算定基準額は、住民税非課税等で区分Ⅰの人が「19万円」、区分Ⅱの人が31万円、一般Ⅱ・一般Ⅰの人が56万円と定められています。現役並み所得の人は67万円から212万円です。

支給の対象になる人には毎年3月ごろにお知らせが届きます。ただし限度額を超える額が500円以下の場合は支給の対象になりません。

3.5 未支給年金は亡くなった月分までが対象

年金を受けていた人が亡くなったとき、まだ受け取っていない年金のうち亡くなった月分までは、未支給年金として遺族が受け取れます。

受け取れるのは、亡くなった当時に生計を同じくしていた配偶者、子、父母、孫、祖父母、兄弟姉妹、そのほか3親等内の親族です。

「年金受給権者死亡届(報告書)兼 未支給年金・未支払給付金請求書」の提出が必要になります。

4. 「申請しないともらえないお金」には手続きの期限がある

申請が必要なお金には、いつまでに手続きをすればよいかの決まりがあります。期限を過ぎると受け取れなくなるものもあります。

4.1 高額療養費は診療月の翌月1日から2年

高額療養費を申請できる期間は、原則として診療月の翌月1日から2年間です。届いた申請書を長く置いたままにしないよう気をつけてください。

4.2 未支給年金は5年で時効

未支給年金を受ける権利は、5年を経過すると時効によって消滅します。相続の手続きと重なって後回しになりやすいところです。

中本 智恵
窓口での接客中、「相続手続きの期限」が話題になることがありました。
相続は亡くなってからの期限が短い手続きが多く、直前になって慌ててしまう方も少なくありません。
ですが、手続きや制度の名前を1つ知っているだけでも、相談の第一歩をスムーズに踏み出せるようになります。
いざという時に焦らないためにも、まずは代表的な名前だけでも覚えておくのがおすすめです。