5. 【元銀行員の視点】「申請しないともらえないお金」にたどりつけない理由
制度が用意されていても、届いていない人がいます。よくある理由はおおむね2つに分かれます。
5.1 制度の名前を知らないと相談の入口に立てない
「年金以外に何か使えるものはありますか」という相談は、制度の名前が出てこないまま終わってしまうことがあります。窓口の側から個別の事情を確かめる余地は限られています。
名前を1つ知っているかどうかが分かれ目になります。
5.2 封筒を開けないまま置かれてしまう
公的な機関からの郵便物は、封筒の見た目が似ています。案内なのか手続きが必要な書類なのか、開けなければ区別できません。
窓口では、未開封の請求書を数か月そのままにしている…という方もいました。届いた日に中身を確かめる習慣があるだけで、取りこぼしはかなり防げます。
6. 【確認のしかた】「申請しないともらえないお金」の対象かを確かめる3つの手順
自分が対象になりそうかどうかは、順番に見ていけば見当がつきます。1つずつ確かめていきましょう。
6.1 世帯全員の課税状況を確かめる
年金生活者支援給付金や高額療養費の所得区分は、本人の所得だけでなく世帯の課税状況で決まります。同居する子や配偶者に課税があれば、本人の年金額が少なくても対象にならないことがあります。
世帯の課税状況は、市区町村の窓口で確かめられます。
6.2 届いた郵便物を制度名で仕分ける
封筒や書類には制度の名前が書かれています。「請求書」「申請書」「認定」という言葉が入っているものは、手続きが必要な書類です。
「通知書」「お知らせ」とあるものは結果や予定の連絡ですが、金額が変わる知らせも含まれるため目を通しておくとよいでしょう。
6.3 通帳の入金を1件ずつ確かめる
年金生活者支援給付金は、年金と同じ口座に年金とは別途振り込まれます。通帳では2つの入金が別々に並びます。
1件しか入金がない場合は、給付金を受けていないか、そもそも対象になっていない可能性があります。振込額を見る立場にいた実感として、通帳は制度の受け取り状況がいちばん早く分かる書類でした。
7. 【落とし穴】「申請しないともらえないお金」で気をつけたいこと
申請が必要だと聞くと、出せば受け取れるように思えます。ただし前提となる条件があります。
7.1 申請しても全員が受け取れるわけではない
いずれの制度にも所得や医療費の要件があります。申請したうえで審査を受ける仕組みなので、出せば必ず支給されるものではありません。
高額介護合算療養費のように、限度額を超える額が500円以下だと支給されないものもあります。期待した金額と違う結果になることも想定しておくほうが落ち着いて受け止められます。
7.2 世帯の状況が変わると対象から外れることがある
年金生活者支援給付金は2年目以降の手続きが原則不要ですが、要件を満たさなくなれば支給は止まります。子が同居を始めて、その子に課税がある場合などが当てはまります。
逆に世帯の状況が変わって新たに要件を満たすこともあります。その場合はあらためて請求書が届きます。
8. 「申請しないともらえないお金」は窓口への相談から
年金の2回目以降の支給や年金生活者支援給付金の2年目以降は、手続きをしなくても振り込まれます。一方で初回の請求書や申請書を出すまで支給が始まらないお金もあります。
年金生活者支援給付金の請求書は、9月から順次発送される予定です。まずは自分と世帯の現状を正しく知ることが、使える制度を見つける出発点になります。
どの制度が自分に当てはまるかは、所得や医療費、家族の状況で結論が変わります。年金に関することは年金事務所やねんきんダイヤル、医療費に関することは市区町村の窓口や広域連合に相談して確かめてください。
参考資料
- 日本年金機構「年金生活者支援給付金」
- 日本年金機構「令和8年度の年金額および年金生活者支援給付金支給金額の改定について」
- 東京都後期高齢者医療広域連合「高額療養費」
- 東京都後期高齢者医療広域連合「高額介護合算療養費」
- 日本年金機構「年金を受けている方が亡くなったとき」
中本 智恵