年金生活者支援給付金は、収入や所得が一定基準以下の年金受給者を支える給付金制度です。

この給付金を受けるには条件があり、すべての年金受給者が受け取れるわけではありません。また、手続きも必要です。

本記事では、年金生活者支援給付金を受け取れるか、受け取れないかを決める要件の違い、2026年度の給付額から申請手続きまでわかりやすく解説します。

1. 年金生活者支援給付金とは?

年金生活者支援給付金は、年金収入やその他の所得が一定基準以下の方を対象に、生活費の不足を補う目的で設けられた公的な給付制度です。

2019年10月に始まったこの制度は、消費税率の引き上げに伴い、年金生活者の負担を和らげるために創設されました。現在は国の制度として継続的に運用されており、一時的ではなく、条件を満たしている間は継続して受け取ることができます。

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年金生活者支援給付金について

出所:厚生労働省「年金生活者支援給付金制度について」

年金生活者支援給付金は、次の3つの種類に分けられます。

  • 老齢年金生活者支援給付金
  • 障害年金生活者支援給付金
  • 遺族年金生活者支援給付金

いずれも、年金そのものを増やす仕組みではなく、年金に上乗せする形で支給される点が特徴です。

支給は年金と同じく偶数月の15日(※土日祝は直前の平日)で、今月(4月)は支給月になります。振り込まれる口座は年金と共通ですが、年金額には合算されません。

また、この給付金は対象者であっても自動的には支給されないので、原則として請求手続きが必要となります。

2. 受け取れる人、受け取れない人の差は?年金生活者支援給付金の支給要件

年金生活者支援給付金には、それぞれ異なる支給要件が定められています。

受け取れるか、受け取れないかの差は、下記の要件に該当するかどうかです。それぞれの支給要件を見てみましょう。

2.1 「老齢年金生活者支援給付金」支給要件

65歳以上で老齢基礎年金を受給していて、下記の要件すべてを満たす方が対象となります。

  • 同一世帯の全員の市町村民税が非課税であること
  • 前年の公的年金などの収入金額(※1)と、それ以外の所得の合計額が、昭和31年4月2日以降に生まれた方は90万9000円以下、昭和31年4月1日以前に生まれた方は90万6700円以下であること(※2)。

※1 障害年金や遺族年金といった非課税収入は、この計算には含まれません。
※2 昭和31年4月2日以降生まれの方で合計額が80万9000円を超え90万9000円以下の場合、また昭和31年4月1日以前生まれの方で80万6700円を超え90万6700円以下の方は、「補足的老齢年金生活者支援給付金」が支給されます。

なお、「補足的老齢年金生活者支援給付金」とは、給付金を受け取ることで受給者の所得が非受給者より高くなってしまう「逆転現象」を避けるために支給される追加的な給付金のことです。

2.2 「障害年金生活者支援給付金」「遺族年金生活者支援給付金」の支給要件

  • 障害基礎年金または遺族基礎年金のいずれかを受給していて、下記の要件を満たす方が対象となります。

前年の所得額が479万4000円以下であること(扶養親族の人数に応じて増額)
※ 所得の計算には、障害年金や遺族年金などの非課税収入は含みません。

3. 【2026年度】年金生活者支援給付金の支給額

次に、年金生活者支援給付金はどれくらい支給されるのかを見ていきましょう。

2026年度における年金生活者支援給付金額は、2025年の物価変動率に基づいて、3.2%引き上げられます。

【年金生活者支援給付金の給付額(2026年度)】

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年金生活者支援給付金の給付額

出所:厚生労働省「令和8年度の年金額改定についてお知らせします」をもとにLIMO編集部作成

  • 老齢年金生活者支援給付金(基準額):月額5620円
  • 障害年金生活者支援給付金:障害等級1級は月額7025円、2級は月額5620円
  • 遺族年金生活者支援給付金:月額5620円

上記の額は基準となるもので、実際には、受け取る給付金の種類に応じ、保険料の納付状況、所得の水準などによって増減するため、個人差があります。

たとえば、老齢年金生活者支援給付金は、次のように計算されます。

給付額は以下の2つの合計額になります。
保険料納付済期間に基づく額(月額):5620円 × 保険料納付済月数 ÷ 480月(※1)
保険料免除期間に基づく額(月額):1万1768円(※2)× 保険料免除月数 ÷ 480月(※1)
※1 生年月日によって変動
※2 保険料免除期間に乗じる金額は、毎年度の老齢基礎年金額の改定に応じて変動

老齢年金生活者支援給付金の金額は、保険料の納付済期間や免除期間をもとに計算されます。そのため、満額が支給される方もいれば、金額が調整されたり、補足的老齢年金生活者支援給付金の対象となる方もいます。

4. 年金生活者支援給付金の申請方法

年金生活者支援給付金は条件を満たした方が受け取れる給付金です。受給には手続きが必要なので、対象となった方は自身で手続きを行う必要があります。

ここでは、「これから年金を受け取り始める方」「既に年金を受給している方」が対象となった場合の手続き方法をお伝えします。※なお、年金生活者支援給付金は辞退することも可能です。

4.1 これから老齢年金を受け取り始める人

老齢年金の受給が近づいている方には、65歳に到達する3カ月前に、年金を受け取るために必要な「年金請求書(事前送付用)」が送付されます。

これから老齢年金を受け取り始める人(緑の封筒)3/5

これから老齢年金を受け取り始める人(緑の封筒)

出所:日本年金機構「65歳の誕生日を迎える方で、老齢基礎年金を新規に請求する方」

そのうち、本給付金の対象となる方には、年金請求書と一緒に「年金生活者支援給付金請求書」も合わせて送付されます。

受け取る意向であれば、請求書に必要事項を記入し、年金の請求書とあわせて年金事務所へ提出すれば手続きは完了です。提出期限に注意してください。

4.2 すでに年金を受給している人の場合

現在、基礎年金を受給中で、年金生活者支援給付金の支給対象となる方には、日本年金機構から請求手続きに関する書類が送付されます。送付は毎年9月からで、順次発送されます。

すでに年金を受給している人の場合(うす緑の封筒)4/5

【ケース2】すでに年金を受給している人の場合(うす緑の封筒)

出所:日本年金機構「令和7年度の年金生活者支援給付金請求書(はがき型)の送付について」

はがきに必要事項を記入し、郵送をすれば手続きが完了です。こちらも期限が決められています。遅れて提出すると、過去の支給分が受け取れない可能性があります。受け取ったら早めに確認すると安心です。

ちなみに、2025年(令和7年)1月以降に日本年金機構から「年金生活者支援給付金請求書(はがき型)」が送られてきた方は、電子申請での提出も可能になりました。電子申請を利用した場合は、請求書を郵送する必要はありません。

4.3 参考:すでに給付金を受け取っている方の手続きは?

既に給付金を受け取っている場合、毎年の申請は不要です。支給要件に該当するかぎり、給付金は支給されます。

支給状況については、毎年6月に送付される「年金生活者支援給付金(支給金額(改定)・振込通知書)」で確認できます。支給される見込額(月額)等を確認してみてください。

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年金生活者支援給付金 支給金額(改定)通知書

出所:日本年金機構「年金生活者支援給付金 支給金額(改定)通知書」

なお、前年の所得が増加するなどして、要件から外れてしまった場合、支給はストップし「不該当通知書」が送付されます。

5. 年金生活者支援給付金は電子申請も可能、手続きはお早めに

今回の記事では、年金生活者支援給付金の特徴、2026年度の給付額、申請手続きの流れを解説しました。

日本年金機構から届く郵送物には、年金の受給額、見込額、年金受給の手続き等に関するハガキや封筒がありますが、年金生活者支援給付金もそのひとつです。

制度を適切に活用するためにも、郵便物が届いたら中身をよく確認し、必要があれば手続きを進めましょう。また、不明点、あるいは不審な点があれば、問い合わせをすることも大切です。

年金生活者支援給付金は、電子申請も可能です。マイナポータルとねんきんネットを連携させる必要がありますが、ねんきんネットに登録すれば、年金の納付状況や通知書の内容なども確認できます。

年額では1人あたり6.7万円程度になる年金生活者支援給付金。低年金の方の生活に役立つ給付金なので、対象となる可能性がある方は本制度について知識を深めておくことをおすすめします。

参考資料