2026年4月、社会保障分野では制度の見直しが相次いでいます。子ども・子育て支援金制度のように、新たな負担で家計にマイナスとなる話題がある一方、国民にとってプラスといえそうなニュースもあります。たとえば、雇用保険料率の引き下げや協会けんぽの健診拡充、在職老齢年金の基準額引き上げなどです。
今回は、2026年4月から始まった社会保障「手取りが増える」嬉しいニュース3選を解説します。
1. ①雇用保険料率ダウン!毎月の手取りに小さなプラス
2026年度は雇用保険料率が引き下げられました。
一般の事業では、雇用保険料率全体は1.45%から1.35%に下がり、このうち労働者負担は0.55%から0.50%になっています。
失業等給付と育児休業給付の保険料は労使折半で、二事業費充当徴収保険率は事業主のみが負担します。なお、この「二事業」は、雇用の維持や再就職支援、人材育成などを行う雇用安定事業・能力開発事業の財源です。
1.1 月給30万円の人だといくら変わる?雇用保険料率引き下げの影響
雇用保険料は、給与に雇用保険料率をかけて計算します。2026年度は、一般の事業で働く人の負担率が1000分の5.5から1000分の5に下がりました。
- 2025年度の本人負担:30万円×5.5/1000=1650円
- 2026年度の本人負担:30万円×5/1000=1500円
- 差額:月150円の軽減
- 年間では:150円×12カ月=1800円の軽減
月ごとの差は大きくありませんが、給与明細では変化を確認しやすい見直しです。
2. ②協会けんぽ「最大2.5万円」の人間ドック補助!
協会けんぽでは2026年度から健診を拡充しました。
35歳から74歳の被保険者を対象に人間ドック健診への補助を始め、最大2万5000円を補助します。あわせて、20歳・25歳・30歳向けの一般健診(若年)や、40歳以上74歳の偶数年齢の女性向け骨粗しょう症検診も始まり、予防や早期発見につながる制度が広がっています。
協会けんぽは、主に中小企業で働く従業員とその家族が加入する公的医療保険で、約4000万人が加入する日本最大の医療保険者です。健康保険組合が大企業中心なのに対し、協会けんぽはより幅広い企業で働く人に身近な制度といえます。
3. ③在職老齢年金の基準額が65万円に!働くシニアに追い風
在職老齢年金は、賃金と老齢厚生年金の合計額が基準を超えると、年金の一部または全部が支給停止となるしくみです。
2026年4月から、この基準額は51万円から65万円に引き上げられました。働く高齢者が年金を減らされにくくなり、就労を続けやすくする狙いがあります。
3.1 シミュレーションで確認!賃金46万円・年金10万円の人だとどうなる?
在職老齢年金は、「賃金(総報酬月額相当額)+老齢厚生年金の月額」が基準額を超えた場合、「超えた分の2分の1」が年金からカットされるしくみです。
日本年金機構も例に挙げている「賃金46万円・老齢厚生年金10万円(合計56万円)」のケースで、改正前後を比較してみましょう。
- 賃金(月額換算): 46万円
- 老齢厚生年金(月額): 10万円
- 合計: 56万円
改正前(基準額51万円)
基準額を5万円オーバーしているため、その半額が支給停止となります。
- カットされる額: 5万円 ÷ 2 = 2.5万円
- 実際に受け取れる年金: 10万円 - 2.5万円 = 7.5万円
改正後(基準額65万円)
合計額(56万円)が基準額(65万円)の範囲内に収まります。
- カットされる額: 0円(なし)
- 実際に受け取れる年金: 10万円(全額支給)
ポイント
これまでは「年2.5万円×12カ月=年間30万円」も年金が削られていた人でも、2026年4月からは全額受け取れるようになります。なお、老齢基礎年金(国民年金)は、いくら稼いでもカットの対象にはなりません。
4. まとめにかえて
今回は2026年4月から始まった社会保障「手取りが増える」嬉しいニュース3選を解説しました。これは、雇用保険料率の引き下げ、協会けんぽの健診拡充、在職老齢年金の基準額引き上げの3つが挙げられます。新たな負担が話題になる一方で、手取りや健康管理、働き方にプラスとなる見直しも始まっています。
物価高が続く今、こうした公的な支援を賢く活用することは家計を守る上で欠かせません。今回ご紹介した3つのトピックの中に、自分に関係する制度があるか、一度確認してみてはいかがでしょうか。


