個人向け国債は、日本政府が発行していることから、元本割れのリスクが低いとされており、安定性を重視した資産管理を目指す方にとって取り入れやすい特徴があります。
また、2025年12月に日本銀行が政策金利を引き上げた影響を受け、債券市場では金利の上昇が続いており、2026年4月に財務省が公表した個人向け国債(2026年4月募集分)の発行条件も、従来より高い水準となっています。
なお、「変動10年」「固定5年」「固定3年」といった複数の種類があり、それぞれ金利の仕組みや動きが異なるため、違いを把握しておくことが重要です。
本記事では、各タイプの特徴や最新の金利水準に加え、利率の推移や受取利子の変化を具体的なデータとともに整理し、自分に合った選び方を考えるためのポイントを解説します。
1. 【概要を整理】個人向け国債「変動10年・固定5年・固定3年」の違い
「個人向け国債」は、日本政府が個人向けに発行している債券で、国内の金融商品の中でも比較的安全性が高い資産とされています。
この個人向け国債には、「変動10年」「固定5年」「固定3年」の3種類があります。
1.1 変動金利10年の特徴をおさらい
- 適用される利率が半年に一度見直される
- 金利には年率0.05%の最低保証が設定されている
- 市場金利が上昇した場合、それに連動して受け取れる利息が増加する点がメリット
1.2 固定金利5年の特徴をおさらい
- 購入時に定められた利率が、満期を迎えるまで変動しない
1.3 固定金利3年の特徴をおさらい
- 購入時に定められた利率が、満期を迎えるまで変動しない
次章では、2026年3月募集分の「個人向け国債」の金利水準を見ていきましょう。
2. 【2026年3月募集分】「個人向け国債」の金利はどのくらい?
2026年3月募集分(募集期間:3月5日〜3月31日)の「個人向け国債」における「変動10年」「固定5年」「固定3年」の金利は、次のとおりです。
- 変動10年:1.40%(税引後 1.1155900%)
- 固定5年:1.58%(税引後 1.2590230%)
- 固定3年:1.34%(税引後 1.0677790%)
個人向け国債は、安定した利回りが見込めることから、リスクを抑えた資産運用の手段として関心を集めています。
なかでも固定金利型は、購入時に利率が決まるため、将来の収益を見通しやすい点が特長です。
ただし、金利は市場の状況によって変化するため、次の章では2026年4月時点の最新金利について確認していきます。
3. 【2026年4月募集分】「個人向け国債」の最新金利をチェック
2026年4月募集分の個人向け国債は、前回(2026年3月)と比較して、すべてのタイプで金利が引き上げられています。
財務省が公表した発行条件によると、今回の各商品の金利は次のとおりです。
「変動10年」は年率1.55%(税引前)となり、前回の1.40%から上昇しています。
さらに、「固定5年」は年率1.79%(税引前)、「固定3年」は年率1.51%(税引前)とされており、いずれも発行時に決まった利率が満期まで適用される仕組みです。
これらの固定金利型についても、前回の固定5年(1.58%)、固定3年(1.34%)と比べて、それぞれ上昇しています。
なお、今回の募集期間は2026年4月6日から4月30日までで、発行日は2026年5月15日となっています。
長期間使う予定のない資金で運用を検討する際には、変動10年を選ぶか、固定5年を選択して満期後に再度運用するかといった判断に迷う場面もあるでしょう。
とくに金利が上昇している局面では、「今申し込むべきか」「もう少し様子を見るべきか」といったタイミングの判断が難しくなります。
次章では、変動10年の金利がこれまでどのように推移してきたのかを確認していきましょう。
4. 個人向け国債「変動10年」の適用利率はどう変わってきた?過去の推移を見る
2024年3月にマイナス金利政策が解除されて以降、日本の金利は緩やかに上昇する傾向が続いています。
こうした流れを踏まえ、個人向け国債の金利がどのように推移してきたのか、具体的な数値をもとに見ていきましょう。
4.1 個人向け国債「変動10年(第158回債)」の適用利率(税引前)の推移をチェック
- 2023年6月16日~2023年12月15日:0.28%
- 2023年12月16日~2024年6月15日:0.60%
- 2024年6月16日~2024年12月15日:0.57%
- 2024年12月16日~2025年6月15日:0.65%
- 2025年6月16日~2025年12月15日:0.84%
- 2025年12月16日~2026年6月15日:1.10%
発行当初に0.28%だった変動10年(第158回債)の適用利率は、その後上昇し、現在は1.10%まで高まっています。
では、この国債を100万円分購入した場合、どの程度の利子を受け取れるのか、シミュレーションで確認していきましょう。
4.2 シミュレーション:変動10年(第158回債)を100万円分購入した場合の受取利子額はいくら?
- 2023年6月16日~2023年12月15日:1400円(税引後:1116円)
- 2023年12月16日~2024年6月15日:3000円(税引後:2390円)
- 2024年6月16日~2024年12月15日:2850円(税引後:2271円)
- 2024年12月16日~2025年6月15日:3250円(税引後:2589円)
- 2025年6月16日~2025年12月15日:4200円(税引後:3346円)
- 2025年12月16日~2026年6月15日:5500円(税引後:4382円)
※利子は受取時に20.315%の税金が差し引かれます
最初の半年間に受け取れる利子は、税引後で1116円となり、その後は一時的に適用利率が下がる局面もありましたが、全体としては上昇傾向となり、2年半後には4382円まで増加し、およそ4倍の水準に達します。
利子が増加していく点は魅力といえますが、中途換金時の扱いについても事前に確認しておくことが重要です。
個人向け国債は発行から1年が経過すれば途中で換金できますが、その際には直近2回分の利子(税引前)相当額に0.79685を乗じた金額が差し引かれます。
そのため、売却のタイミングによっては直近1年分の利子がほとんど手元に残らないケースもあり、基本的には余裕資金での運用が前提となります。
また、適用利率が今後も一貫して上昇するとは限らない点にも留意が必要です。
市場金利の動き次第では、今後は適用利率が低下する可能性もあるため、この点も考慮して検討することが大切です。
5. 目的と運用期間に応じて選ぶことが「個人向け国債」活用のポイント
本記事では、各タイプの特徴や最新の金利水準に加え、利率の推移や受取利子の変化を具体的なデータとともに整理し、自分に合った選び方を考えるためのポイントを解説しました。
個人向け国債には「変動10年」「固定5年」「固定3年」の3種類があり、変動10年は市場金利に応じて利率が見直されるため、金利上昇局面では利息の増加が期待できる一方、固定型は購入時の利率が満期まで変わらないという特徴があります。
実際に利率の推移を見ると、変動10年は上昇傾向にあり、受取利子も増加していますが、将来も同様に上がり続けるとは限りません。
また、中途換金時には利子の一部が差し引かれるため、短期での運用には注意が必要です。
こうした点を踏まえ、資金の使い道や運用期間を意識しながら、自身に適した商品を選ぶことが大切です。
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