5. 「年収106万円の壁」はどう変わる?2025年成立の年金制度改正法を確認
2025年の年金制度改正により、社会保険の加入要件が見直され、いわゆる「106万円の壁」は解消される方向へと進みます。
5.1 「社会保険の加入対象の拡大」短期労働者の加入要件の見直し
賃金要件の撤廃(3年以内)
これまで加入基準の一つだった「月額8.8万円以上」という賃金要件が、最低賃金の状況を踏まえつつ2028年6月までに撤廃されます。今後は収入額によらず、週20時間以上働くかどうかが判断の柱となります。
企業規模要件の段階的撤廃
勤務先の従業員数による制限も、2027年10月から10年かけて段階的に引き下げられます。最終的にはすべての企業において、労働時間等の条件を満たせば社会保険の対象となります。
ライフスタイルに合わせた検討
制度の変更に伴い、保険料負担による手取りの変化や将来の年金増、健康保険の保障内容など、個々の家庭状況やライフプランに合わせた働き方の選択がこれまで以上に重要になります。
また、扶養の基準である「130万円の壁」についても、この適用拡大の流れの中で相対的にその重要性が変化していくことが予想されます。
6. 今のうちから「老後の準備」を進めよう
本記事では、公的年金の基本構造や2026年度の改定内容、厚生年金受給額の実態などについて解説しました。
2026年度は増額改定となったものの、国民年金のみでは満額でも月約7万円であり、厚生年金も月15万円超の受給者は半数に届きませんでした。
数字からは、公的年金だけで十分な生活費をまかなうのが簡単ではない現実もうかがえます。
また、「106万円の壁」の見直しによって、今後は短時間労働者の社会保険加入が広がり、将来受け取る年金額にも影響していくでしょう。
老後に向けた備えを始めるなら、まずは「ねんきん定期便」に目を通し、自身が将来受け取る年金額の見込みを把握しておくとよいでしょう。
参考資料
- 総務省統計局「家計調査報告 家計収支編 2024年(令和6年)平均結果の概要」
- 厚生労働省年金局「令和6年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」
- 日本年金機構「公的年金制度の種類と加入する制度」
- 日本年金機構「令和7年4月分からの年金額等について」
- 厚生労働省「令和8年度の年金額改定についてお知らせします」
- 厚生労働省「年金制度改正法が成立しました」
- 政府広報オンライン「パート・アルバイトの皆さんへ 社会保険の加入対象により手厚い保障が受けられます。」
- 厚生労働省「年収の壁・支援強化パッケージ」に関するQ&A(キャリアアップ助成金関係)
- 日本年金機構「年金の繰下げ受給」
筒井 亮鳳
