3. 三菱重工業(7011)なぜ「優待なし・低配当」でも買われるのか?注目の「稼ぐ力」とは?

高いバリュエーションは懸念されるものの、裏を返せば投資家の期待が厚いということです。株主優待を実施せず、配当利回りも低水準の三菱重工業は、なぜ投資家から支持されているのでしょうか。

3.1 外国人株主が重視するのは「優待」より「資本効率」

まずは株主優待です。株主構成から考えると、三菱重工業において株主優待を実施しないことは株価の下落に結びつきづらいといえます。

三菱重工業は株主の外国人比率が高く、個人株主は少数派です。株主優待は一般に国内の個人を対象とするため、主要な株主である外国人には響きづらく、株主優待を実施しないことは特段の売り材料にはなりづらいと考えられます。

株主の構成比(2025年3月末)
・外国法人等:42.30%
・金融機関:29.22%
・個人その他:22.52%
・その他の法人:4.04%
・金融商品取引業者:1.89%

出所:三菱重工業株式会社「2024年度有価証券報告書」

3.2 ROE12%目標への期待。2027年3月期見通しが最大の焦点

次に配当利回りです。三菱重工業は資本効率が高く、投資家は低い配当利回りを許容しやすいと考えられます。

まず、株式の価値は企業の利益に裏付けされています。配当金はそれが社外に出たものであり、仮に利益が社内に留め置かれていても、その内部留保は株主のものであることに変わりありません。

つまり、配当の多寡は企業の価値を直接左右するものではないということで、重要なのは「預けた資本をどれだけ効率よく増やしているか」という点です。

その目安の1つがROE(自己資本利益率)です。株主の持ち分である自己資本に対し、当期の利益がどれだけ出ているかを測ります。ROEが高いほど、株主の持ち分で多くの利益を稼ぎ出しているということを表します。

そして、三菱重工業はROEの改善が進んでいます。2024年3月期からは2ケタまで向上しており、目安の8%を上回る状況です。これは株価の上昇が強まった時期ともおおむね一致します。 

三菱重工業のROE(2018年3月期~2026年3月期)4/4

三菱重工業のROE(2018年3月期~2026年3月期)

出所:三菱重工業株式会社「決算短信」より著者作成

当面の焦点は2027年3月期の業績見通しです。三菱重工業は中期経営計画において2027年3月期にROEで12%以上を目標としています。これを下振れるようだと、株価は調整する展開もあるでしょう。

業績見通しは前期の本決算で明かされることが一般的です。2026年3月期の本決算は5月12日に公表を予定しており、2027年3月期の見通しにも言及されると考えられます。

免責事項

  • 投資判断は、最新の決算資料や市場動向をご確認のうえ、ご自身の責任で行ってください。
    本記事は情報提供を目的としたものであり、特定の株式の売買を推奨するものではありません。
  • 株主優待の内容や条件は変更される場合があります。詳細は必ず公式サイトでご確認ください。

参考資料

若山 卓也