一段と暖かさが増し、春の訪れを感じる季節となりました。4月は新年度の始まりでもあり、年金や家計の状況を見直す方が増えるタイミングです。

将来の収入に対する不安を感じる一方で、「自分はいくら受け取れるのか」を正確に把握できていないケースも少なくありません。

特に、年金生活者支援給付金は対象であっても見落とされがちな制度のひとつです。

年金生活者支援給付金を受け取る要件に該当していても、申請しなければ1円も受け取れません。年金が少ないと感じている方は、要件を確認し、早い段階で年金事務所で相談してみましょう。

さらに、受け取り方を工夫するだけで年金額を最大84%増やせる繰り下げ受給など、老後の収入を増やす手段は複数あります。この記事では、給付金の受給額の仕組みから年金を最大化する方法まで、具体的に解説します。

1. 年金生活者支援給付金はいくらか|受給額の目安

年金生活者支援給付金は老齢・障害・遺族の各基礎年金を受給しており、前年の所得が一定の基準以下の方を対象に、年金に上乗せして支給される制度です。

年金生活者支援給付金の受給対象者1/3

年金生活者支援給付金の受給対象者

出所:厚生労働省「年金生活者支援給付金制度について」より筆者作成

日本年金機構の「ねんきんネット」に登録すれば、年金の見込額や受給に関する情報をオンラインで確認できます。給付金の詳細や手続き状況が気になる場合は、年金事務所にも確認すると確実です。

一度手続きを済ませた方でも、他の市区町村から転入した場合や65歳になって年金の種類が切り替わった場合などは、必要に応じて再申請が必要になります。

「以前に済ませたから安心」という思い込みが、受給漏れを生む原因になりやすい点を覚えておいてください。

2. 月額で見る給付水準|どれくらい上乗せされるのか

給付額は物価の動向などをもとに毎年改定されます。2025年度・2026年度の月額は以下のとおりです。

年金生活者支援給付金の受給額2/3

年金生活者支援給付金の受給額

出所:厚生労働省「令和8年度の年金額改定についてお知らせします」より筆者作成

2026年度の引き上げ率は3.2%で、前年度を上回る水準です。老齢年金生活者支援給付金の基準額は月額5620円となり、満額受け取れる場合の年額は約6万7000円になります。

ただし、「基準額イコール受給額」ではない点に注意が必要です。実際の支給額は国民年金保険料の納付済期間に応じて個別に計算されるため、納付期間が短い方は基準額を下回ります。自分の受給額が気になる場合は、年金事務所への問い合わせか、ねんきんネットでの確認が確実です。

物価上昇が続くなかでの引き上げとはいえ、この給付金はあくまで年金本体への「上乗せ」に過ぎません。月数千円の給付金だけで生活費の値上がりをカバーしようとするのには限界があります。給付金を加えた月々の収入合計を起点に、固定費・変動費の両面から家計全体を見直すことが、生活水準を守るための本質的なアプローチです。

3. 年金を増やす戦略|受給額を増やす2つの方法

老後の生活を支える柱となる公的年金。「もらえる額が少ない」と不安に感じている方も多いのではないでしょうか。実は、受け取り方を工夫するだけで、年金額を大幅に増やすことができます。

3.1 「繰り下げ受給」で年金額が最大84%増える

公的年金は原則65歳から受け取れますが、受給開始を遅らせる「繰り下げ受給」を選ぶと、1ヶ月遅らせるごとに0.7%増額されます。70歳まで繰り下げれば42%増、75歳まで待てば84%増になります。

年金の繰下げ受給3/3

年金の繰下げ受給

出所:日本年金機構「年金の繰下げ受給」

たとえば、月15万円の年金が70歳受給開始にするだけで約21万円になる計算です。長生きするほど、生涯でもらえる総額が大きくなります。

3.2 繰り下げが向いている人・向いていない人

繰り下げ受給はすべての人にメリットがあるわけではありません。まずは、向いている人の特徴を見てみましょう。

  • 65歳以降も働いて収入がある人
  • 貯蓄に余裕があり、当面年金に頼らなくて済む人
  • 健康で長生きする自信がある人

一方で、繰下げを慎重に考えたほうがよい人は以下のとおりです。

  • 持病があり、平均寿命より短くなる可能性がある人
  • 65歳以降の生活費を年金に頼らざるを得ない人

損益分岐点は、70歳受給開始の場合でおよそ81歳前後。それ以上生きれば繰り下げた方が総受取額で得になります。

3.3 働きながら年金を増やす「付加年金」も活用しよう

自営業・フリーランスの方が対象の付加年金は、国民年金保険料に月400円を上乗せするだけで、受給額を毎年増やせる制度です。保険料が手頃で、2年で元が取れる点が魅力です。

また、会社員の方はできるだけ長く働き、厚生年金の加入期間を延ばすことも有効です。70歳まで厚生年金に加入して働き続けると、将来の受給額がさらに上乗せされます。

4. 給付金確認と年金受給の制度活用で差がつく老後資金の増やし方

年金生活者支援給付金は、対象となる人にとって重要な収入の上乗せですが、制度を知らずに受け取れていないケースもあります。まずは自身が対象かどうかを確認することが第一歩です。

さらに、公的年金は受給のタイミングや制度の活用によって将来の受取額を増やすことが可能です。

繰り下げ受給や付加年金といった仕組みを理解し、自分に合った方法を選ぶことが重要になります。

4月の新年度は、将来の収入を見直す絶好の機会です。ねんきんネットなどを活用して受給見込み額を確認し、給付金の取りこぼしを防ぐとともに、無理のない形で年金を増やす準備を進めておきましょう。

参考資料

柴田 充輝