4月は新年度のスタートとともに、家計や保険を見直す絶好のタイミングです。
特に60歳以上のシニア世代では、「年金だけで生活できるのか」「無駄な保険料を払い続けていないか」といった不安を感じる方も多いのではないでしょうか。
実際には、年金とは別に受け取れる公的給付が複数あり、その多くは申請しなければ受給できません。
「知らなかった」「申請を忘れていた」というだけで、受け取れたはずのお金を逃しているシニアの方は少なくありません。
年金生活者支援給付金や加給年金、高年齢雇用継続基本給付金など、老後の家計を支える公的制度は思った以上に多く存在します。この記事では、シニア世代が見落としやすい給付金・支援制度を5つ厳選し、申請時の注意点とあわせてわかりやすく解説します。
1. 見逃しやすい公的支援|シニア向け給付5制度を整理
老後の家計を支える公的制度は、思っているよりも多く存在します。しかし「知らなかった」「申請を忘れていた」という理由だけで、受け取れたはずのお金を逃してしまうケースは決して珍しくありません。
1.1 年金生活者支援給付金
年金だけでは生活費をまかなえない方にとって、毎月の受取額を少しでも増やせる制度は大きな助けになります。
年金生活者支援給付金は、年金だけでは生活が苦しい方を対象に、年金に加えて毎月一定額が支給される制度です。老齢年金を受け取っている方への基準額は月額5620円(2026年度)で、実際の支給額は保険料の納付済期間などによって個人差があります。年金と同じタイミング(偶数月に2カ月分まとめて)振り込まれます。
対象者には日本年金機構からはがきで通知が届きますが、返送し忘れると受給できません。なお、はがきの郵送に加えてマイナポータルを利用した電子申請も可能です。
一度手続きを済ませれば翌年以降は自動継続となりますが、収入が増えて対象外になった年は注意が必要です。「自分が当てはまるかわからない」という場合は、最寄りの年金事務所に直接問い合わせるのが確実です。
1.2 高年齢雇用継続基本給付金
定年後の再雇用に伴って、給与が大きく下がるケースはよくあります。60歳時点の賃金と比べて75%未満まで低下した場合、その差に応じて賃金の一定の割合が高年齢雇用継続基本給付金です。
雇用保険に通算5年以上加入している60〜64歳の方が対象となります。
見落としがちなのは申請経路です。手続きは会社の人事担当者が行うのが一般的ですが「会社がやってくれているはず」と思い込まず、一度担当者に申請状況を確かめてみてください。
1.3 65歳以降の離職時に受け取れる高年齢求職者給付金
65歳を過ぎてから退職した場合、若い世代とは異なる仕組みで給付金を受け取れます。65歳未満では、いわゆる失業給付として4週間ごとに認定を受けながら少しずつ受け取るのが一般的です。
65歳以降は、雇用保険の被保険者期間に応じて基本手当日額の30日分または50日分が一括で支給されます。まとまった金額を一度に受け取れる点は、次の生活設計を立てるうえで大きなメリットです。
申請期限は離職日の翌日から1年以内。「しばらく休んでから手続きしよう」とゆっくり構えているうちに、受給期限を過ぎてしまう方も少なくありません。退職が決まったら、早めにハローワークで手続きを始めましょう。
1.4 厚生年金に上乗せされる加給年金
厚生年金の加入期間が20年以上ある方が65歳を迎えたとき、生計を維持している65歳未満の配偶者や子どもがいれば、年金に加給年金が加算されます。2026年度の基本額は配偶者・第1子・第2子それぞれ年額24万3800円、第3子以降は年額8万1300円です。
ただし配偶者分は受給権者の生年月日によって、「特別加算」が上乗せされます。現在65歳を迎える世代がほぼ全員該当する昭和18年4月2日以降生まれであれば、特別加算を含めた合計は年額42万3700円(2026年度)。夫婦の年齢差が10歳あれば、総額で400万円を超える上乗せになる計算です。
なお、申請は老齢厚生年金の請求と同時が原則です。65歳の誕生日の3カ月前に届く年金請求書に家族情報を記載し、戸籍謄本や所得証明書と一緒に提出します。加給年金は自動で支払われる仕組みではないため、請求書を受け取ったら家族欄の記入を忘れずに確認してください。
1.5 バリアフリー改修時には高齢者住宅改修費用助成制度
転倒による骨折が、そのまま要介護状態につながるケースは珍しくありません。「まだ元気だから」と先送りにするよりも、動けるうちに自宅を整えておくほうが、長い目で見てずっとお得です。
要支援1〜要介護5の認定を受けていれば、住宅のバリアフリー改修工事にかかった費用のうち最大20万円分(支給限度基準額)が補助されます。認定区分の軽重は問いません。対象となる工事は手すりの設置、段差解消、滑り止め床材への交換、引き戸への取り換え、洋式便器への交換など。日常のちょっとした不便を解消する工事が幅広くカバーされています。
この制度は生涯で20万円までが基本ですが、要介護度が3段階以上重くなった場合などには、例外的に再度20万円まで対象となることがあります。



