2026年4月に入り、年金の受け取り額が新年度のものに変わります。具体的には、4月分から国民年金は前年度に比べて1.9%、厚生年金は2.0%の引き上げとなります。
年金額が改定される2026年度、ご自身の受給額がどのように変動するのか、関心を寄せている方も多いのではないでしょうか。
物価の上昇が続いている状況では、年金がいくら支給されるかは、日々の暮らしに直接影響する重要なテーマです。
2026年度の年金額は、改定ルールに従って名目手取り賃金変動率2.1%からマクロ経済スライドによる▲0.2%の調整が適用され、国民年金は1.9%の引き上げとなりました。しかし、物価上昇率は3.2%に達しており、生活への影響を懸念する声も聞かれます。
この記事では、公的年金の基本的な仕組みや平均的な受給額を再確認し、ご自身の正確な支給額が記された「年金振込通知書」がいつ頃届くのか、その目安について解説します。
1. 【公的年金制度の基本】国民年金・厚生年金の仕組みと平均受給額をわかりやすく解説
2026年度の年金額は4月分から新しくなります。この機会に、日本の公的年金制度の基本的な構造について振り返ってみましょう。
日本の公的年金は、よく2階建ての建物に例えられます。1階部分にあたるのが「国民年金(基礎年金)」で、日本に住む20歳以上60歳未満のすべての人が原則として加入するものです。
国民年金の保険料は一律となっており、未納期間なく40年間すべて納付した場合、老後に満額の老齢基礎年金を受給できる仕組みです。
そして、2階部分が「厚生年金」です。これは会社員や公務員などが国民年金に上乗せして加入する制度です。
厚生年金の保険料は収入に応じて変動し、加入していた期間や納付した保険料の総額によって、将来受け取れる年金額が決まります。
それでは、実際に毎月いくらくらいの年金が平均的に支給されているのか、具体的なデータを見ていきましょう。
1.1 国民年金(基礎年金)の平均受給月額【男女別】
厚生労働省年金局が公表した「令和6年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」を基に、公的年金の平均受給月額と分布を確認します。はじめに国民年金から見ていきましょう。

出所:厚生労働省年金局「令和6年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」
- 男女合計の平均:5万9310円
- 男性の平均:6万1595円
- 女性の平均:5万7582円
1.2 厚生年金の平均受給月額【男女別・国民年金含む】
- 男女合計の平均:15万289円
- 男性の平均:16万9967円
- 女性の平均:11万1413円
※上記の厚生年金の金額には、基礎となる国民年金部分も含まれています。また、ここで紹介しているのは、主に民間企業の会社員が加入する「厚生年金保険(第1号)」のデータです。
国民年金の平均月額を見ると、男性が約6万円、女性が約5万円台となっています。保険料が全員一律である国民年金の制度上、受給額に大きな個人差は生まれにくい傾向があります。
2026年度における国民年金の満額(1人あたり)は月額7万608円です。このため、国民年金の受給だけで年間240万円(月額20万円)を超える収入を得るのは、現実的には難しいといえます。
対照的に、厚生年金は国民年金に上乗せして支給されるものです。加入月数や現役時代の収入によって保険料と受給額が変わるため、国民年金よりも受給額の個人差が大きくなるのが特徴です。
厚生年金の平均月額は全体で15万289円ですが、内訳を見ると男性が16万9967円、女性が11万1413円と、男女間で顕著な差があることがわかります。
これらの公的年金の平均額を見ると、年金収入だけで老後の生活をまかなうことができるのか、不安に感じる方もいるかもしれません。
2. 【厚生年金】受給額「月20万円以上」の人は全体の何パーセント?分布をチェック
ここでは、厚生年金(国民年金部分を含む)を実際にいくら受給している人が多いのか、金額別の分布を確認してみましょう。

出所:厚生労働省年金局「令和6年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」をもとにLIMO編集部作成
2.1 厚生年金の受給額別・人数分布【一覧】
- 1万円未満:4万3399人
- 1万円以上~2万円未満:1万4137人
- 2万円以上~3万円未満:3万5397人
- 3万円以上~4万円未満:6万8210人
- 4万円以上~5万円未満:7万6692人
- 5万円以上~6万円未満:10万8447人
- 6万円以上~7万円未満:31万5106人
- 7万円以上~8万円未満:57万8950人
- 8万円以上~9万円未満:80万2179人
- 9万円以上~10万円未満:101万1457人
- 10万円以上~11万円未満:111万2828人
- 11万円以上~12万円未満:107万1485人
- 12万円以上~13万円未満:97万9155人
- 13万円以上~14万円未満:92万3506人
- 14万円以上~15万円未満:92万9264人
- 15万円以上~16万円未満:96万5035人
- 16万円以上~17万円未満:100万1322人
- 17万円以上~18万円未満:103万1951人
- 18万円以上~19万円未満:102万6888人
- 19万円以上~20万円未満:96万2615人
- 20万円以上~21万円未満:85万3591人
- 21万円以上~22万円未満:70万4633人
- 22万円以上~23万円未満:52万3958人
- 23万円以上~24万円未満:35万4人
- 24万円以上~25万円未満:23万211人
- 25万円以上~26万円未満:15万796人
- 26万円以上~27万円未満:9万4667人
- 27万円以上~28万円未満:5万5083人
- 28万円以上~29万円未満:3万289人
- 29万円以上~30万円未満:1万5158人
- 30万円以上~:1万9283人
「老後は月に20万円ほどの年金があれば…」と考える方もいるかもしれませんが、厚生労働省のデータによると、実際に公的年金で「月額20万円以上」を受給しているのは、厚生年金受給者のうち18.8%に過ぎません。
つまり、8割以上の人が月20万円未満の受給額であるのが現状です。年金収入は世帯全体で考える必要はありますが、公的年金のみに頼らず、自助努力で備えをすることが重要になるといえるでしょう。
なお、この18.8%という割合は、あくまで厚生年金受給者に限定したものです。国民年金のみを受給している人も含めた全体で見ると、「月額20万円以上」を受け取っている人の割合はさらに低くなることが予想されます。
年金を金融機関の口座で受け取っている場合、原則として毎年6月に「年金振込通知書」が日本年金機構から郵送されます。この通知書で、ご自身の正確な支給額を確認することができます。
参考として、過去の発送スケジュールを確認してみましょう。
2.2 「年金振込通知書」はいつ届く?過去の発送スケジュールから時期を予測
過去の例を見ると、2025年(令和7年)は6月上旬から中旬にかけて順次発送が開始されました。ただし、住んでいる地域や郵便事情によって手元に届くまでの日数は異なるため、少し余裕を持って待つのがよいでしょう。
また、在職中で年金の一部または全部が支給停止になっている方など、特定の条件に当てはまる場合は、発送時期が通常と異なるケースもあります。
2.3 郵送より早い?「ねんきんネット」での通知書確認タイミング
日本年金機構の「ねんきんネット」を利用している方は、郵送よりも早く通知内容を確認できる可能性があります。過去には、6月上旬から「年金額改定通知書」や「年金振込通知書」が電子版で閲覧できるようになりました。
2026年度の具体的な発送スケジュールについては、今後、日本年金機構から正式に発表される見込みです。
3. 老後の生活費は月いくら必要?平均データから自分のケースを考えよう
ここまで、厚生年金で月20万円以上を受給する人の割合について見てきました。
実際に老後で必要となる金額は人それぞれですが、一つの目安として、総務省統計局の「家計調査報告 家計収支編 2025年(令和7年)平均結果の概要」から、平均的な老後の月間生活費を見てみましょう。
3.1 【夫婦二人世帯】老後の平均的な月の生活費
- 税金や社会保険料などの非消費支出: 3万2850円
- 食費や住居費などの消費支出: 26万3979円
3.2 【単身世帯】老後の平均的な月の生活費
- 税金や社会保険料などの非消費支出: 1万2990円
- 食費や住居費などの消費支出: 14万8445円
上記の金額はあくまで平均値ですが、ご自身の老後にかかるであろう生活費を想定し、年金収入でどの程度カバーできるのか、不足分は生じるのか、生じるとしたらいくらなのかを現役時代から試算しておくことが大切です。
老後の生活費で不足する金額を計算することで、現役のうちから年金以外の方法でどのように備えるべきか、具体的な計画を立てやすくなるでしょう。
老後の生活を支える重要な柱である年金だからこそ、早い段階から関心を持ち、ご自身の状況を具体的に調べてみることが重要です。
※当記事は再編集記事です。

