3. 年金額が多く、給与収入もある人は減額の対象となることも【在職老齢年金制度】
老後も働き続ける人のなかには、年金に加えて給与収入を得ているケースもあります。そうした人に関わるのが「在職老齢年金制度」です。
在職老齢年金制度は、60歳以降に老齢厚生年金を受け取りながら働く人について、賃金や賞与と年金額の合計が一定の基準を超えた場合に、老齢厚生年金の一部または全部が支給停止となる仕組みです。
そのため、年金額が比較的多く、さらに給与収入もある人ほど、これまで減額の対象になりやすい傾向がありました。
こうした仕組みは、働く高齢者の就業調整を招く一因とも指摘されてきました。
実際には、「収入が増えると年金が減るなら、勤務日数や労働時間を抑えたほうがよい」と考え、働き方をセーブする人も少なくありません。
こうした状況を踏まえ、2026年度からは在職老齢年金制度の見直しが予定されています。
ポイントとなるのは、「支給停止調整額」と呼ばれる基準額の引き上げです。この基準額は近年、段階的に見直されており、2024年度は50万円、2025年度は51万円、2026年度は65万円となります。
2026年4月以降は、給与と年金の合計が月65万円までであれば、老齢厚生年金は全額支給されます。
2025年度の月51万円から大きく引き上げられることで、これまで年金の減額対象となっていた人の一部は、減額されずに受け取れる可能性が高まります。
今回の見直しによって、収入との兼ね合いを気にして就業を抑えていた人も、これまでより働きやすくなるでしょう。
特に、再雇用制度を利用して働く60歳代の会社員にとっては、給与と年金を両立しやすくなる場面が増えそうです。
働き方を見直すきっかけとしても、注目しておきたい改正といえるでしょう。
著者
2級ファイナンシャル・プランニング技能士(FP2級)
2級ファイナンシャル・プランニング技能士(FP2級)、一種外務員資格(証券外務員一種)、証券会社に約8年間勤務し、個人顧客を中心に株式や投資信託、生命保険などの提案・販売に従事。現役世代からシニア層まで、幅広い顧客の資産形成・資産運用をサポート。現在は金融ライター兼個人投資家として活動し、NISA・iDeCo、株式投資・投資信託、年金・社会保険、税金、退職金、相続、住宅ローン、不動産、生命保険など、暮らしとお金に関する幅広いテーマを執筆している。自身も約15年の投資経験を持ち、日本株を中心に資産運用を継続。証券会社で培った実務経験とFPの知識、個人投資家としての経験を生かし、特に資産運用分野を得意としている。(2026年9月2日更新)
監修者
マネー編集部年金班は株式会社モニクルリサーチが運営する『くらしとお金の経済メディア ~LIMO(リーモ)~』において、地方自治体の公務員や生命保険会社等の金融機関にて勤務経験が豊富な編集者が中心となり、厚生労働省や官公庁の公開情報等をもとに公的年金(厚生年金保険と国民年金)、年金制度の仕組み、社会保障制度などをテーマに、丁寧で読者にとってわかりやすい記事の情報発信を行っています。
マネー編集部年金班に所属する編集者は日本生命保険相互会社出身の村岸理美、地方自治体職員出身の太田彩子、株式会社三菱UFJ銀行と三井住友信託銀行株式会社出身の和田直子、株式会社三菱UFJ銀行出身の中本智恵、野村證券株式会社出身の宮野茉莉子、SMBC日興証券株式会社出身の安達さやか等のファイナンシャルアドバイザー経験者等で構成されており、表彰歴多数の編集者も複数在籍しており、豊富な金融知識をもとにした記事に定評があります。
CFP®、1級ファイナンシャル・プランニング技能士(FP1級)、2級ファイナンシャル・プランニング技能士(FP2級)、一種外務員資格(証券外務員一種)などの資格保有者も多数在籍。生保関連業務経験者は過去に保険募集人資格を保有。(最新更新日:2025年6月8日)