3. 【在職老齢年金制度】基準額が月51万円から65万円へ引き上げ

物価高が続くなか、老後の生活費に不安を感じ、年金を受け取りながら働くことを選ぶ人は増えています。そうしたなかで注目されるのが「在職老齢年金制度」の見直しです。
 

在職老齢年金制度の見直しについて5/5

在職老齢年金制度の見直しについて

出所:厚生労働省「在職老齢年金制度の見直しについて」

在職老齢年金とは、60歳以降に老齢厚生年金を受け取りながら働く人について、賃金と年金の合計額が一定の基準を超えた場合に、老齢厚生年金の一部または全部が支給停止となる仕組みです。

老齢基礎年金は対象ではなく、調整の対象となるのは老齢厚生年金です。

この制度は、現役並みの収入がある人とのバランスを図る目的で設けられてきました。

しかし一方で、「働くほど年金が減るなら、仕事をセーブしたほうがよい」と考える人もおり、60歳代の就労を妨げる一因になっているとの指摘が続いてきました。

こうしたなか、2026年度からは在職老齢年金制度の見直しが行われます。

大きなポイントは、年金が減額されずに受け取れる収入の目安である「支給停止調整額」が、2025年度の月51万円から2026年度は月65万円へと大幅に引き上げられることです。

この改正により、2026年4月以降は、賃金と老齢厚生年金の合計額が月65万円までであれば、老齢厚生年金は全額支給されます。

基準額が大きく上がることで、これまで年金の減額を避けるために勤務日数や労働時間を調整していた人も、働き方を見直しやすくなるでしょう。

特に、再雇用制度を利用して働く60歳代の会社員にとっては、給与と年金を両立しやすくなる可能性があります。

今回の改正は、高齢者の就業を後押しし、「働きたいのに働きにくい」という状況をやわらげる見直しといえそうです。