新年度が始まる4月は、将来の生活設計を見直す絶好のタイミングといえるでしょう。
特に30歳代を過ぎると、ご自身の老後について考え始め、「将来受け取る年金はいくらになるのか」「年金だけで生活できるのだろうか」といった漠然とした不安を抱く方も少なくないかもしれません。
日本の公的年金制度は、現役時代の働き方によって将来の受給額が変わる仕組みのため、早いうちから制度を理解し、自身の状況を把握することが大切です。
年金について知っておきたいことの一つに「年金額改定」があります。
年金額は毎年度見直されますが、2026年度は国民年金が1.9%、厚生年金が2.0%の増額となりました。しかし、物価の上昇には追いついておらず、実質的には目減りしているのが現状です。
こうした現実を理解し、現役時代から対策を講じることが重要になります。
今回は65歳以上のシニアの生活に焦点を当て、2026年度の年金額や、暮らしにまつわるお金事情について詳しく見ていきましょう。
1. 【2026年度】年金額は増額でも実質目減り?国民年金1.9%・厚生年金2.0%増の現実
令和8年度の年金額の例

出所:厚生労働省「令和8年度の年金額改定についてお知らせします」
2026年度の年金額は、前年度と比較して基礎年金(国民年金)が1.9%、厚生年金(報酬比例部分を含む)が2.0%、それぞれ引き上げられることになりました。
この改定後の金額は、4月分と5月分がまとめて支給される6月分から適用されます。
1.1 2026年度における国民年金・厚生年金の支給額モデル
- 国民年金(老齢基礎年金・満額・1人分):月額7万608円(前年度比+1300円)
- 厚生年金(夫婦2人分のモデルケース):月額23万7279円(前年度比+4495円)
※ただし、昭和31年4月1日以前に生まれた方の老齢基礎年金の満額は月額7万408円(対前年度比+1300円)です。
※厚生年金は「男性の平均的な収入(平均標準報酬(賞与含む月額換算)45万5000円)」で40年間就業した場合に受け取り始める年金(老齢厚生年金と2人分の老齢基礎年金(満額))の給付水準です。
厚生労働省は2026年度の年金額改定とあわせて、現役時代の年金加入状況や年収に応じた年金額の例を「多様なライフコースに応じた年金額」として公表しています。
ここでは「2026年度に65歳になる人」を想定し、公的年金の加入履歴や性別で分類した合計5パターンの概算額が示されています。それぞれのケースを見ていきましょう。
多様なライフコースに応じた年金額

出所:厚生労働省「令和8年度の年金額改定についてお知らせします」
1.2 年金額の例①:厚生年金中心の男性ケース
年金月額:17万6793円
- 厚生年金の平均加入期間:39.8年
- 現役時代の平均収入:50万9000円(※賞与含む月額換算。以下同じ)
- 基礎年金部分:6万9951円
- 厚生年金部分:10万6842円
1.3 年金額の例②:国民年金(第1号)中心の男性ケース
年金月額:6万3513円
- 厚生年金の平均加入期間:7.6年
- 現役時代の平均収入:36万4000円
- 基礎年金部分:4万8896円
- 厚生年金部分:1万4617円
1.4 年金額の例③:厚生年金中心の女性ケース
年金月額:13万4640円
- 厚生年金の平均加入期間:33.4年
- 現役時代の平均収入:35万6000円
- 基礎年金部分:7万1881円
- 厚生年金部分:6万2759円
1.5 年金額の例④:国民年金(第1号)中心の女性ケース
年金月額:6万1771円
- 厚生年金の平均加入期間:6.5年
- 現役時代の平均収入:25万1000円
- 基礎年金部分:5万3119円
- 厚生年金部分:8652円
1.6 年金額の例⑤:国民年金(第3号)中心の女性ケース
年金月額:7万8249円
- 厚生年金の平均加入期間:6.7年
- 現役時代の平均収入:26万3000円
- 基礎年金部分:6万9016円
- 厚生年金部分:9234円
上記はあくまで一例ですが、厚生年金の加入期間が長く、現役時代の収入が高いほど、老後に受け取る年金額が多くなる傾向が見て取れます。
また、国民年金と厚生年金のどちらを中心に加入していたかが、年金の受給水準に大きく影響していることもわかります。