9. まとめにかえて:老後家計の現実を踏まえた見通し

老後の家計を見通すうえで、最も大切にしたいのは「手元にいくらあるか」という金額そのものではなく、「その資産がこれからの暮らしを何年支えられるのか」という“持続性(資産寿命)”の視点です。

後期高齢期の世帯では、預貯金を中心とした安全性の高い資産構成が一般的です。元本が減りにくいという安心感がある一方で、物価上昇が続く現在の経済環境下では、お金の「実質的な価値(購買力)」が少しずつ目減りしていくリスクも孕んでいます。

さらに、後期高齢者医療制度における2割負担の特例措置(配慮措置)が2025年9月に終了したことで、医療費や介護費の負担増が家計の赤字幅を突発的に広げる要因にもなりやすくなっています。月々の小さな赤字や想定外の出費の積み重ねが、想定以上のスピードで資産を取り崩す結果につながりかねません。

長寿化が進むいま意識しておきたいのは、「平均額があるから安心」という見方から抜け出すことです。

日々の生活が落ち着きを取り戻したこの初夏のタイミングに、ご自身の「年金などの公的収入」「手元資産」、そして「今後の医療・介護を含む支出」のバランスを総合的に点検してみてはいかがでしょうか。安定した後期高齢期を築くための土台は、現状の正しい把握から始まります。

参考資料

マネー編集部社会保障班