大型連休が明け、日常のペースを取り戻しつつある5月中旬。初夏の陽気を感じる日も増えましたが、季節の変わり目は朝晩の寒暖差などで体調を崩しやすく、日々の健康管理が気になる時期でもあります。

特に年齢を重ねるとケガ・病気のリスクは高まり、医療費の負担も大きくなりやすいです。

老後の医療費について早いうちから考え、準備をしておくことが大切です。

今回は、75歳以上のシニア世代の医療費について解説します。

75歳以上で加入する「後期高齢者医療制度」や医療費負担を抑える公的制度の内容、医療費負担を軽くするためのポイントなどを解説していくので、ぜひ本記事を参考に高齢期の医療費についての理解を深めましょう。

1. 【後期高齢者医療制度】75歳以上で医療費はどう変わる?

年齢を重ねるとケガや病気のリスクが高まり、医療機関にかかる機会が多くなります。

治療にかかる費用も増えやすくなりますが、75歳以上になると医療費負担はどのように変化するのでしょうか。

ここでは、75歳以上で加入する「後期高齢者医療制度」の基本的な特徴や医療費の自己負担割合について解説します。

1.1 後期高齢者医療制度へ移行

75歳の誕生日を迎えると、それまで加入していた国民健康保険や職場の健康保険などから、後期高齢者医療制度へと自動的に移行します。

後期高齢者医療制度は「75歳以上の人」または「65歳から74歳までで一定の障害状態にある人」が加入する公的医療保険制度です。

後期高齢者医療制度は、被保険者一人ひとりが個人で保険に加入します。

いわゆる「扶養」という概念はなく、本人が保険料を納める形です。

保険料は原則として年金から天引きされ、所得に応じて金額が決まります。

保険料率などは自治体(都道府県ごとの広域連合)によって異なるので、詳しくはお住まいの市区町村のホームページ等で確認してみてください。

1.2 医療費の自己負担割合は1〜3割に

後期高齢者医療制度では、被保険者の所得に応じて医療費の窓口負担の割合が以下のように決まります。

原則1割の医療費負担となりますが、一定以上の所得があれば2割負担、現役並みの所得があれば3割負担になる可能性があります。

75歳以降にある程度の所得を得る見込みがある方は、医療費の負担が重くなる可能性を頭に入れておきましょう。

2. 医療費負担を抑える公的制度

75歳以上になると医療費負担は原則1割となりますが、それでも大きな負担になる可能性は十分にあります。

しかし、公的制度の活用によって医療費の負担を抑えられる場合があるため、制度への理解を深めておくと良いでしょう。

ここでは、高額療養費制度と限度額適用認定証について解説します。

2.1 高額療養費制度

高額療養費制度とは、1ヶ月の医療費の自己負担額が「自己負担限度額」を超えた場合、その超えた部分の払い戻しを受けられる制度のことです。

自己負担限度額は年齢や所得に応じて決められます。

入院や手術などで医療費が高額になっても、高額療養費制度を利用すれば医療費の自己負担が過重になるのを防ぐ仕組みになっています。

原則として申請が必要となるため、忘れずに手続きを行って払い戻しを受けましょう。

なお、入院時の差額ベッド代や食事代、先進医療の技術料など、保険適用外となる費用は高額療養費制度の対象外となるため注意が必要です。

2.2 限度額適用認定証

限度額適用認定証とは、医療機関での医療の支払いが「自己負担限度額」までに抑えられる証明書のことです。

事前に申請を行い、限度額適用認定証の交付を受けていれば、医療機関の窓口での負担を抑えることができます。

先ほどご紹介した高額療養費制度の場合、後から払い戻しを受けられるものの、一時的には高額な医療費を支払わなければなりません。

しかし、あらかじめ限度額適用認定証を申請しておけば一時的な支払いも不要となり、窓口では自己負担限度額までの支払いで済みます。

なお、現在は「マイナ保険証」を利用することで、事前の限度額適用認定証の申請手続きなしで、窓口での支払いを限度額までに抑えることが可能になっています。

急な入院等に備え、マイナ保険証を利用できるようにしておくのも一つの安心材料です。

3. 医療費負担を軽くするためのポイント

公的制度の利用とともに、個人でも医療費負担を軽くする工夫をすることが大切です。

ここでは、医療費の負担を軽くするためのポイントを解説していきます。

3.1 保険適用外の費用を把握する

まず、公的保険の適用外となる費用を把握するところから始めましょう。

なぜなら、保険が適用されない部分で大きな出費が生じる可能性があるためです。

保険適用外の主な費用として、以下のようなものが挙げられます。

  • 入院中の食事代・日用品代
  • 差額ベッド代
  • 先進医療の技術料
  • 家族の付き添いにかかる交通費

差額ベッド代は、入院時に少人数部屋または個室を希望する際に追加でかかる費用です。

1日あたり数千円から数万円の費用が発生するため、入院時の大きな負担になりやすいです。

こうした費用を知った上で「個室を希望するのか」などを考えておくと良いでしょう。

3.2 医療費控除を利用する

医療費控除とは、1年間で自分自身または生計をともにする家族のために支払った医療費が一定額を超えた場合、所得控除を受けられる制度のことです。

所得控除により、所得税・住民税の負担を軽減させることができ、実質的に医療費の負担を抑えることにつながります。

年間の医療費合計が原則10万円(総所得金額等が200万円未満の人は、総所得金額等の5%の金額)を超えると、医療費控除を受けられます。

ただし、実際に支払った医療費の合計額から保険金などで補填される金額を差し引いた額が10万円を超えないと、控除は適用されません。

年間の医療費負担が大きくなったときは、医療費控除の活用も検討しましょう。

3.3 民間医療保険を活用する

民間の医療保険を活用し、医療費の負担を軽減させるというのもひとつの手です。

医療保険では入院・手術の際に給付金がもらえるため、医療費の自己負担を小さく抑えることができます。

近年は通院で給付金がもらえるタイプや、特定の疾病(がん、三大疾病など)と診断された時に一時金が支払われるタイプの商品が増えてきています。

入院・手術をしなくても給付金を受け取れるため、経済的な負担を軽減させることが可能です。

ただし、民間の医療保険は保障を手厚くするほど保険料が高くなり、日常的な負担が重くなりやすいです。

保障と保険料のバランスを見極め、過不足のない保険プランを設計しましょう。

4. 高齢期の医療費について理解を深めましょう

75歳を迎えると、後期高齢者医療制度に自動的に移行し、医療費の負担は原則1割になります。

ただし所得によっては2割・3割の負担になるため、高齢期に多くの所得を得る見込みがある方は医療費負担に注意が必要です。

医療費の負担を抑える公的制度として「高額療養費制度」や「マイナ保険証(限度額適用認定)」があります。

月の医療費が一定額を超えた場合、払い戻しを受けたり、一定額までの支払いで済んだりするため、制度を正しく理解して医療費の負担を抑えましょう。

ほかにも、保険適用外の費用を把握したり、民間の医療保険を活用したりなど、医療費の負担を抑えるポイントはあります。

高齢期の医療費について理解を深め、早いうちから準備を進めておきましょう。

参考資料

丸山 大輝