年金額は毎年4月に見直しが行われます。
2026年度は引き上げられるため、受給額にどの程度影響があるのか気になる人も多いでしょう。
ただし、年金額は一律ではなく、年代や働き方によって差があります。
本記事では、年代別の平均年金月額を確認したうえで、その違いが生まれる理由や生活への影響を整理します。
1. 年金制度の仕組み
日本の公的年金制度は、「2階建て」の構造です。
20歳から60歳未満の全ての人が加入する国民年金(1階部分)と、会社員や公務員などが加入する厚生年金(2階部分)から成り立っています。
これに加え、公的年金に上乗せして給付を行う企業年金などの私的年金は、「3階部分」と位置づけられています。
これは、国民自身の努力によって、高齢期の所得保障を充実させる目的になります。
2. 【60歳代】国民年金と厚生年金の平均月額
厚生労働省の資料をもとに、年代別の平均年金月額を確認します。
2.1 60歳代の国民年金平均月額
- 60歳:4万5186円
- 61歳:4万6371円
- 62歳:4万7784円
- 63歳:4万7258円
- 64歳:4万7896円
- 65歳:6万1240円
- 66歳:6万1369円
- 67歳:6万1345円
- 68歳:6万1293円
- 69歳:6万978円
65歳未満の受給者は繰り上げ受給のため、額が小さいことがわかります。
2.2 60歳代の厚生年金平均月額
- 60歳:9万9664円
- 61歳:10万4455円
- 62歳:10万9323円
- 63歳:6万8758円
- 64歳:8万3901円
- 65歳:14万9862円
- 66歳:15万2378円
- 67歳:15万2356円
- 68歳:15万2709円
- 69歳:15万1284円
※上記の厚生年金には、国民年金部分も含まれています。
厚生年金も国民年金同様、65歳未満の受給者は繰り上げ受給のため、額が小さいことがわかります。
3. 【70歳代】国民年金と厚生年金の平均月額
続いて厚生労働省の資料をもとに、70歳代の平均年金月額を確認します。
3.1 70歳代の国民年金平均月額
- 70歳:6万1011円
- 71歳:6万770円
- 72歳:6万234円
- 73歳:6万32円
- 74歳:5万9813円
- 75歳:5万9659円
- 76歳:5万9555円
- 77歳:5万9349円
- 78歳:5万9124円
- 79歳:5万8676円
国民年金の金額は各世代で大きく差がないことがわかります。
3.2 70歳代の厚生年金平均月額
- 70歳:15万455円
- 71歳:14万8371円
- 72歳:14万6858円
- 73歳:14万5583円
- 74歳:14万7774円
- 75歳:15万1410円
- 76歳:15万1241円
- 77歳:15万962円
- 78歳:15万862円
- 79歳:15万3115円
※上記の厚生年金には、国民年金部分も含まれています。
60歳代前半と比較すると、5万~9万円が増えていますが、80歳代と比較すると、70歳代のほうが1~2万円程金額が少ないことがわかります。
4. 【80歳代】国民年金と厚生年金の平均月額
続いて厚生労働省の資料をもとに、80歳代の平均年金月額を確認します。
4.1 80歳代の国民年金平均月額
- 80歳:5万8623円
- 81歳:5万8269円
- 82歳:5万8003円
- 83歳:5万7857円
- 84歳:5万9675円
- 85歳:5万9425円
- 86歳:5万9228円
- 87歳:5万9204円
- 88歳:5万8756円
- 89歳:5万8572円
国民年金はどの世帯と比較しても大きく変化はありません。
4.2 80歳代の厚生年金平均月額
- 80歳:15万3729円
- 81歳:15万5460円
- 82歳:15万7744円
- 83歳:15万9994円
- 84歳:16万2555円
- 85歳:16万3947円
- 86歳:16万5577円
- 87歳:16万5557円
- 88歳:16万6200円
- 89歳:16万6767円
※上記の厚生年金には、国民年金部分も含まれています。
厚生年金は他の年代と比較して、金額が多いことがわかります。
社会背景として、終身雇用・男性正社員中心の時代のため、長期間会社員として働いた人が多く、加入歴による増加が理由の一つです。
5. 【90歳以上】国民年金と厚生年金の平均月額
5.1 90歳以上の国民年金平均月額
- 90歳以上:5万5633円
5.2 90歳以上の厚生年金平均月額
- 90歳以上:16万4027円
※上記の厚生年金には、国民年金部分も含まれています。
90歳以上は国民年金、厚生年金ともに80歳代と大きく差はありません。
6. 年代によって金額が変わる理由
年金額は、現役時代の条件によって決まります。主なポイントは次の通りです。
- 加入期間
- 収入水準
- 制度改正の影響
- 受給開始年齢
国民年金の平均はどの年代も6万円前後で大きな差はありませんが、厚生年金の平均は85歳以降~90歳未満が16万5000円前後と一番多くなっており、65歳以降70歳未満と比較すると、約1万4000円の差がある事がわかります。
7. 厚生年金は人によって金額が大きく異なる
平均ではそこまで大きな差がありませんでしたが、厚生年金の受給額は、加入期間と報酬額に応じて決まるため、個人で大きな差が生じます。
将来の年金額を知るには、日本年金機構の「ねんきんネット」が便利です。
「かんたん試算」機能を使えば、現在の加入条件を維持し、60歳まで年金制度に加入し続けた場合の年金見込額を、自動設定で手軽に試算できます。
8. 年金に対する考え方・老後の生活費の収入源
2025年の「家計の金融行動に関する世論調査」を見ると、老後の生活に対する意識や収入構造には大きな変化は見られないものの、いくつか注目すべきポイントがあります。
まず、年金に対する考え方では、「日常生活費程度もまかなうのが難しい」と感じている割合が、単身世帯で約48.9%と引き続き高い水準にあります。
一方で、「ゆとりはないが生活費はまかなえる」とする層も約40%前後存在しており、生活水準に対する感じ方には差があることが分かります。
二人以上世帯でも同様に、「年金だけでは不自由なく暮らせる」と考える割合は1割程度にとどまっており、多くの世帯が年金以外の収入や資産に依存している状況が続いています
次に、老後の生活費の収入源を見ると、公的年金が中心である構造は変わっていませんが、その割合は年々やや低下しています。
2025年では、二人以上世帯で59.1%、単身世帯で53.6%となっており、過去と比較すると依存度が下がっている点が特徴です。
その一方で、金融資産の取り崩しや就労収入の割合は一定水準で推移しており、「年金だけに頼らない老後」が一般的になっている様子がうかがえます。
9. 平均年金額は「目安」として活用しよう
2026年度に年金額が引き上げられますが、実際の受給額は個々人で異なります。
平均年金額は全体像を把握する上での一つの目安として活用し、ご自身の受給額や手取り額をしっかりと確認することが大切です。
この目安を参考に、早めの準備を始めることをおすすめします。
参考資料
- 厚生労働省「日本の公的年金は2階建て」
- J-FLEC(金融経済教育推進機構)「家計の金融行動に関する世論調査 2025年」
- 日本年金機構「ねんきんネット」による年金見込額試算
- 厚生労働省「厚生年金保険・国民年金事業の概況 」
苛原 寛