「老後の暮らしで、毎月いくらあれば安心して生活できるのか」と考えたことはありませんか。
3月も下旬に差し掛かり、新年度の年金額改定が公表される時期となりました。
ご自身の将来の年金額について、改めて関心が高まっている方もいらっしゃるかもしれません。
まずは、総務省が発表した最新の調査結果をもとに、高齢者世帯の家計の実態を確認してみましょう。
総務省統計局「家計調査報告 家計収支編 2024年(令和6年)平均結果の概要」によると、65歳以上の単身無職世帯では、1カ月あたりの消費支出が平均で14万9286円となっています。
それに対して、税金などを除いた可処分所得は12万1469円であり、毎月約2万8000円が不足している状況です。
このデータを見ると、老後の生活費の一つの目安として「月額15万円」というラインが見えてきます。
では、公的年金だけでこの金額を実際に受け取っている人は、どのくらいの割合で存在するのでしょうか。
公表されている資料を基に、現役世代が今のうちから知っておきたい年金受給のリアルな姿を詳しく見ていきます。
1. 日本の公的年金制度「2階建て」の構造とは?国民年金と厚生年金の基本を解説
日本の公的年金制度は、土台となる「国民年金(基礎年金)」と、その上に乗る形で会社員などが加入する「厚生年金」から成り立っており、「2階建て構造」といわれています。
それぞれの年金制度について、基本的なポイントを整理していきましょう。
1.1 国民年金と厚生年金の仕組みについて
1階部分:国民年金(基礎年金)とは
- 加入対象:原則として日本国内に住む20歳以上60歳未満のすべての人が加入します。
- 保険料:加入者全員が同じ金額を納めますが、毎年度見直されます(※1)。
- 受給額:保険料を40年間(480カ月)すべて納付すると、65歳から満額の老齢基礎年金(※2)を受け取ることが可能です。未納期間がある場合は、その分だけ満額から減額されます。
※1 国民年金保険料:2026年度の月額は1万7920円です。
※2 国民年金(老齢基礎年金)の満額:2026年度の月額は7万608円です。
2階部分:厚生年金とは
- 加入対象:会社員や公務員が国民年金に上乗せして加入する制度です。パートタイマーの方でも、特定適用事業所(※3)に勤務し、一定の条件を満たす場合は加入対象となります。
- 保険料:給与や賞与など、収入に応じて保険料が決まります(上限額が設定されています)(※4)。
- 受給額:加入期間や納付した保険料の額によって、一人ひとり受給額が異なります。
このように、厚生年金は会社員や公務員が国民年金に加えて加入する仕組みです。国民年金と厚生年金では、加入の対象者や保険料の決まり方、受給額の計算方法などが違うため、老後に受け取る年金額は個人の加入歴や収入によって変わってきます。
また、公的年金の支給額は、物価や現役世代の賃金の動きに応じて毎年改定されるという点も、理解しておくべき重要なポイントです。
※3 特定適用事業所:1年のうち6カ月間以上、適用事業所の厚生年金保険の被保険者(短時間労働者は含まない、共済組合員を含む)の総数が51人以上となることが見込まれる企業などを指します。
※4 厚生年金の保険料額:標準報酬月額(上限65万円)と標準賞与額(上限150万円)に保険料率を掛けて計算されます。
