春の訪れとともに、新年度からの生活設計を見直す方も多い季節です。
特に60歳代以上の方々にとって、公的年金は暮らしの大きな柱となります。
しかし、年金の収入だけでは生活が厳しいと感じるケースも少なくありません。
実は、そのような場合に年金に上乗せして受け取れる「年金生活者支援給付金」という制度があるのをご存知でしょうか。
この制度は、所得などの条件を満たす方が対象で、ご自身での申請が必要です。
本記事では、どのような方が対象になるのか、いくら受け取れるのか、そして手続きはどうすればよいのか、最新のデータを交えながら詳しく解説していきます。
年金生活者支援給付金の概要
年金生活者支援給付金とは、公的年金の受給額に上乗せして支給される給付金制度です。この制度には、以下の3つの種類が存在します。
- 老齢年金生活者支援給付金
- 障害年金生活者支援給付金
- 遺族年金生活者支援給付金
この給付金は、「老齢」「障害」「遺族」のいずれかの基礎年金を受け取っている方で、公的年金などを含めた所得が一定の基準を下回る場合に、2ヶ月に一度支給されます。
年金生活者支援給付金の対象者となる条件
年金生活者支援給付金は3種類あり、それぞれに所得などの支給要件が定められています。
ここでは「老齢年金生活者支援給付金」と、「障害年金生活者支援給付金・遺族年金生活者支援給付金」に分けて、詳しい要件を確認していきましょう。
老齢年金生活者支援給付金の支給要件
- 65歳以上で老齢基礎年金を受給していること
- 同じ世帯に住む全員の市町村民税が非課税であること
-
前年の公的年金などの収入金額(※1)と、その他の所得の合計額が、昭和31年4月2日以降生まれの方は80万9000円以下、昭和31年4月1日以前生まれの方は80万6700円以下(※2)であること
※1 障害年金や遺族年金といった非課税収入は、計算に含みません。
※2 昭和31年4月2日以降に生まれた方で合計額が80万9000円を超え90万9000円以下の方、また昭和31年4月1日以前に生まれた方で80万6700円を超え90万6700円以下の方には、「補足的老齢年金生活者支援給付金」が支給されます。
障害・遺族年金生活者支援給付金の対象者
- 障害基礎年金または遺族基礎年金のいずれかを受給していること
- 前年の所得(※)が479万4000円以下であること(扶養親族の人数に応じて増額されます)
※ 障害年金、遺族年金などの非課税収入は所得に含みません。
なお、いずれの給付金も、定められた要件をすべて満たす必要があります。
最新データで見る年金生活者支援給付金の平均月額
厚生労働省が公表した「令和6年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」を基に、実際に支給された年金生活者支援給付金の平均月額を見ていきましょう。
2025年3月時点での平均給付月額(※)は、老齢年金生活者支援給付金で4146円、障害年金生活者支援給付金で5727円、遺族年金生活者支援給付金では5228円という結果でした。
※2025年3月時点で認定されている方の平均給付額です。
ここからは、年齢別の平均額をさらに詳しく見ていきます。
年齢別の平均給付額:老齢年金生活者支援給付金
- 70歳未満:4905円(43万9628件)
- 70~74歳:4374円(56万1362件)
- 75~79歳:4092円(85万9446件)
- 80~84歳:3936円(95万453件)
- 85~89歳:3989円(82万8270件)
- 90歳以上:4045円(86万5282件)
年齢別の平均給付額:障害年金生活者支援給付金
- 30歳未満:5692円(26万6276件)
- 30~39歳:5668円(31万6202件)
- 40~49歳:5655円(37万1772件)
- 50~59歳:5671円(46万8876件)
- 60~69歳:5749円(38万4626件)
- 70~79歳:5880円(26万4423件)
- 80歳以上:6033円(10万4991件)
年齢別の平均給付額:遺族年金生活者支援給付金
- 20歳未満:4190円(5687件)
- 20~29歳:5310円(529件)
- 30~39歳:5310円(7881件)
- 40~49歳:5310円(3万4072件)
- 50~59歳:5310円(2万7828件)
- 60歳以上:5310円(1710件)
年金生活者支援給付金の請求手続き
「年金生活者支援給付金」は自動的に支給されるわけではなく、申請手続きが必要です。手続き漏れがないように注意しましょう。
ここでは、対象となる可能性が高い2つのケースに分けて、請求手続きの方法を解説します。
ケース1:すでに年金を受給中で新たに対象となった方
- 毎年9月の第1営業日以降、「年金生活者支援給付金請求書(はがき型)」が順次郵送されます。受け取ったら必要事項を記入し、切手を貼って投函してください。
- 締切日までに提出すれば10月分まで遡って受け取れますが、提出が遅れると請求した月の翌月分からの支給となります。早めの手続きをおすすめします。
※「年金生活者支援給付金請求書(はがき型)」が届いた方は、電子申請も利用できます。電子申請を利用した場合、郵送での提出は不要です。
ケース2:これから老齢年金の受給が始まる方
- 年金を受け取る権利が発生する3ヶ月前に、年金の請求に必要な「年金請求書(事前送付用)」が届きます。この中に「年金生活者支援給付金請求書」が同封されています。
- 必要事項を記入の上、受給開始年齢の誕生日の前日以降に、年金請求書と一緒に年金事務所へ提出します。
翌年以降の手続きは原則不要
一度請求書を提出し、その後も支給要件を満たし続けている限り、翌年以降の手続きは原則として不要です。
※年金生活者支援給付金の支給は、毎年度、前年の所得情報などに基づいて継続の可否が判定されます。その結果は、毎年10月分(12月支払い)から1年間適用されます。
参考:国民年金・厚生年金の平均受給月額
そもそも、現在のシニア世代はどのくらいの公的年金を受け取っているのでしょうか。
厚生労働省の「令和6年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」から、国民年金と厚生年金の平均的な月額を確認します。
国民年金の平均月額
- 〈全体〉平均年金月額:5万9310円
- 〈男性〉平均年金月額:6万1595円
- 〈女性〉平均年金月額:5万7582円
厚生年金の平均月額(国民年金を含む)
- 〈全体〉平均年金月額:15万289円
- 〈男性〉平均年金月額:16万9967円
- 〈女性〉平均年金月額:11万1413円
年金の受給額は現役時代の働き方や加入状況によって決まるため、個人差が大きくなる傾向があります。
まとめ
本記事では、年金に上乗せして支給される「年金生活者支援給付金」について、対象となる方の条件や給付額、申請手続きの流れを解説しました。
この給付金は、老齢・障害・遺族の各基礎年金を受給している方のうち、所得が一定基準を下回る場合に生活を支援する大切な制度です。
しかし、自動的に支給されるものではなく、ご自身での請求手続きが必要な点を忘れてはいけません。
対象になるかもしれないと感じた方は、まずご自身の世帯の所得状況などを確認してみてはいかがでしょうか。
日本年金機構から請求書が届いた場合は、忘れずに手続きを進めることが大切です。
公的な支援制度を正しく理解し活用することで、より安心してシニアライフを送る一助となるでしょう。
参考資料
- [厚生労働省「年金生活者支援給付金制度について」](https://www.mhlw.go.jp/nenkinkyuufukin/system.html)
- [日本年金機構「老齢(補足的老齢)年金生活者支援給付金の概要」](https://www.nenkin.go.jp/service/jukyu/seido/sonota-kyufu/shienkyufukin/rourei.html)
- [厚生労働省年金局「令和6年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」](https://www.mhlw.go.jp/content/001617995.pdf)
- [厚生労働省「年金生活者支援給付金制度」](https://www.mhlw.go.jp/nenkinkyuufukin/)
- [日本年金機構「老齢基礎年金を新規に請求する方の請求手続きの流れ」](https://www.nenkin.go.jp/service/jukyu/tetsuduki/sonota-kyufu/shienkyufukin/seikyu/roureikiso.files/seikyunagare1.pdf)








