富士電機、23年までの中期経営計画を策定

半導体に5年で1200億円投資

富士電機 半導体事業の主力工場の1つである山梨製作所

 富士電機は、2019~23年度の中期経営計画を策定した。23年度に売上高1兆円(18年度比9%増)、営業利益800億円(同33%増)を目指す。このうち、成長分野に位置づける電子デバイス(半導体+ディスク媒体)事業では、自動車用パワー半導体を中心に強化し、23年度に売上高2000億円(同46%増)、営業利益220億円(同41%増)を狙う。この強化に向けて、電子デバイス事業に5年間で総額1200億円の設備投資を行う予定だ。

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半導体は5年で57%増収を計画

 電子デバイス事業の23年度売上高2000億円の内訳は、半導体が18年度実績比57%増の1750億円、ディスク媒体が同横ばいの250億円。半導体は、同社が手がける産業用ディスクリート、産業用モジュール、自動車の3分野のうち、自動車用の売上比率を18年度の28%から23年度に50%へ拡大し、年率2桁で成長が見込まれる電動車(xEV)向けの需要拡大を成長の牽引役とする。

 xEV市場は年率41%で成長すると想定し、ここに向けてIGBTとFWDを1チップ化したRC-IGBTと、これを搭載した第4世代の直接水冷モジュールを投入して差別化を図っていく。直接水冷モジュールにRC-IGBTを適用した場合、従来のIGBT+FWDの構成に比べてチップ実装面積を25%、チップの発熱を33%、それぞれ低減できるという。

 一方、産業用では、第7世代IGBTとRC-IGBTのスペックインをさらに進め、従来得意としていた産業ロボットや汎用インバーターなどの中容量帯に加えて、エアコンなどの小容量帯や、風力・太陽光発電や電鉄などの大容量帯を開拓していく。第7世代IGBTを小容量IPM(Intelligent Power Module)に適用した場合、既存の第6世代IGBTより電力損失を32%低減できる見込み。また、大容量パワーモジュールにRC-IGBTを搭載すると、電力容量を現状の1800Aから2400Aへ33%アップできるという。

 これにより23年度には、産業用モジュールにおける小容量+大容量帯の売上比率を18年度の17%から40%へ向上するとともに、第7世代IGBTの売上比率を50%まで高める考え。

SiCの研究開発も推進

 研究開発費については5年間で740億円(18年度までの5年実績は624億円)を投じ、第8世代IGBTの開発やSiCデバイス&モジュールの開発を加速する。SiCについては、需要拡大期が当初見込みよりも遅れて25~26年になるとみているが、第1世代のトレンチMOSFETに比べて電力損失を23%低減できる第2世代品の開発を進めるとともに、一般産業/新エネルギー向けや電鉄向けのパッケージにも搭載を拡大して、用途に応じたパッケージ系列を追加していく。第2世代のSiCトレンチMOSFETは19年度末からサンプル提供を開始する。

積極投資で8インチ生産を拡大

 5年間で1200億円を計画している設備投資では、前工程で8インチウエハーによる生産の合理化(6インチからの切り替え)と能力増強に取り組み、8インチ生産能力を18年度比で約3倍に拡大する。後工程については、自動車用IGBT、ディスクリート、大容量とエアコン用の産業用IGBTおよび海外での生産拡大に取り組む。これらによって、半導体の海外売上比率を18年度の57%から23年度には61%まで高める考えだ。

 1200億円のうち、能力増強には600億~700億円を充てる考え。需要がもう一段増加した場合は、需要規模に応じてファンドリーの活用と自社での生産能力増強を検討する。

電子デバイス産業新聞 編集長 津村 明宏

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津村 明宏(電子デバイス産業新聞)

1995年3月 関西大学 経済学部卒。1999年3月 ㈱産業タイムズ社に入社。
電子デバイス業界の専門紙である電子デバイス産業新聞(旧・半導体産業新聞)の記者として、2007年より副編集長、2009年12月より編集長