住宅金融支援機構が2026年1月に実施した調査によると、住宅ローン利用者の73.7%が「今後1年間で金利は現状よりも上昇する」と回答しており、前回調査から8.0ポイント増加しています。

実際に、2026年3月31日、三菱UFJ銀行など大手5行が4月適用の金利を発表し、変動型の最優遇金利が1%を突破。これまで「超低金利」に慣れていた私たちにとって、大きな転換点となりそうです。さらなる金利上昇への不安が高まる今、変動金利の「5%ルール」「125%ルール」の仕組みを正しく理解しておくことが大切です。

ここでは、変動金利特有のルールや借り換えを検討すべきタイミング、選択肢について元銀行員の筆者が解説します。

1. 【2026年4月最新】大手銀行の変動金利、ついに「1%突破」審査金利も引き上げ?

大手銀行は2025年12月に決定された日銀の政策金利引き上げを受け、4月に住宅ローンの変動型最優遇金利を引き上げ、一部では1%を超えるなど低金利時代からの転換点を迎えています。

1.1 主な大手銀行《変動金利》一覧

  • 三井住友銀行:1.275%
  • みずほ銀行:1.025%
  • りそな銀行:0.950%
  • 三菱UFJ銀行:0.945%
    ※上記の金利は2026年4月1日の執筆時点のものです。

将来の金利上昇リスクを考慮し、固定型への借り換えや借り入れ時点の金利が確定するプランへの見直しが注目されています。

1.2 審査金利とは?

審査金利とは、金融機関が「将来の金利上昇時でも返済が可能か」を判定するために、審査用として独自に設定する高めの金利のことです。実際に適用される「実行金利」とは異なり、多くの金融機関では3~4%前後の高い数値で計算されますが、近年は実勢金利に近い独自の基準を設ける銀行もあります。

昨今の金利上昇に伴い、この審査基準が厳しくなる可能性があるため、余裕を持った資金計画を立てることが重要です。

2. 【住宅ローン】変動金利の守りルール?「5%ルール」と「125%ルール」の正体

住宅ローンの変動金利は、市場金利の動向に応じて定期的に適用金利の見直しが行われます。そのため、金利が上昇すると返済負担が増加するリスクがありますが、家計の急激な変化を防ぐために「5%ルール」や「125%ルール」が設けられています。

2.1 5%ルールと125%ルールは返済額の急激な増加を防ぐしくみ

5%ルールとは、「金利が上昇しても5年間は月々の返済額が変わらない」というものです。これにより、「金利が上がるたびにすぐ返済額が増加する」といった事態を防ぐことができます。

また、6年目以降に金利を見直す際に適用されるのが125%ルールです。

このルールでは、仮に金利が急激に上昇していても、新しい返済額はそれまでの返済額の1.25倍までに抑えられます。たとえば、毎月の返済額が10万円だった場合、金利見直し後の上限は12.5万円となるということです。

変動金利では、これらのルールにより返済額が一気に増えるリスクを抑えています。

2.2 総支払額が増える可能性もある

ただし、5%ルールや125%ルールには気を付けたい点もあります。

返済額が据え置かれている間に金利が上昇すると、毎月の返済額のうち利息に充てられる割合が増え、その分だけ元本の返済が遅くなります。「返済を行っているのにローン残高がなかなか減らない」という状況になるイメージです。

結果として、当初の返済計画よりも総支払額が増えたり、返済期間が延びたりする可能性があります。「毎月の返済額が変わっていないから大丈夫」と安心しすぎず、金利が上昇しているときは残高の減り方にも目を向けておくと安心です。

なお、これらのルールはすべての金融機関で採用されているわけではありません。ネット専業銀行などでは、これらのルールを採用せず、金利上昇が即座に返済額に反映される契約も増えています。中には5%ルールや125%ルールを適用していないところもありますので、改めて契約書の内容をチェックしておくとよいでしょう。

3. 【住宅ローン】後悔しないための「借り換え」検討タイミング3選

変動金利のリスクを感じたときに選択肢のひとつとなるのが、住宅ローンの借り換えです。ただし、借り換えには諸費用がかかるため慎重に判断する必要があります。必ずしも借り換えが正解とは限りませんが、手数料を含めた総コストで比較する価値は大いにあります。

以下の3つのタイミングに当てはまる場合には借り換えを検討してみてもよいかもしれません。

3.1 ①今後の金利上昇により返済計画が不安になってきた

さらに金利が上昇したときに、「これ以上返済額増加が続くのは厳しい」と不安を感じる場合は借り換えを検討するひとつのサインです。まずは借り換えのシミュレーションをしてみるきっかけにもなるでしょう。

3.2 ②住宅ローン残高がなかなか減っていない

5%ルールや125%ルールの適用で「返済を続けているのになかなか元本が減らない」という場合は、金利上昇の影響を受けているサインです。金利タイプや返済条件を見直してみるタイミングといえます。

3.3 ③返済期間や残高が残っている

住宅ローンの借り換えには諸費用がかかるため、残りの返済期間が短かったり、ローン残高が少なかったりする場合はコストをかけてまで借り換えを行うメリットがないケースがあります。反対に、返済期間やローン残高が十分残っている場合は借り換えの効果が出やすいため、今後に備えて借り換えを検討するのもひとつの方法です。

4. 【住宅ローン】「他行への借り換え」か「プラン変更」か。納得の選択をするために

借り換えには主に「他行への借り換え」と「現在の金融機関での金利タイプ変更」という2つの選択肢があります。

①他行への借り換え

他行への借り換えは金利優遇により有利な条件を得られる可能性がある一方、諸費用が発生するため複数の金融機関を比較検討することが重要です。

②現在の金融機関での金利タイプ変更

現在の金融機関での金利タイプ変更は、コストや手続きの負担を抑えられる点がメリットですが、金利が相対的に高くなる場合もあるため注意が必要です。また、変動金利における5%ルールや125%ルールは返済額の急増を防ぐ一方で、総返済額が増えるリスクも伴います。

今後の金利上昇に不安がある場合は、シミュレーションを行い、返済額や総コストの変化を十分に確認したうえで最適な選択を検討しましょう。

参考資料

椿 慧理