3. 「平均1000万円超」でも安心できない?平均値と中央値に潜む“格差”の正体

ここまで見てきた通り、金融資産保有額は平均値だけを見ると、二人以上世帯では30歳代で1000万円を超え、単身世帯でも50歳代で1000万円近い水準に達しています。

こうした数字を見ると、「思ったよりみんな持っている」と感じるかもしれません。

ただ、実態を見極めるうえで平均値だけを頼りにするのは危険です。

なぜなら、平均値は一部の高額資産保有世帯の影響を強く受けるためです。

金融資産を多く持つ層が全体の数字を押し上げることで、実際よりも全体が豊かに見えやすくなります。

これに対して中央値は、保有額を少ない順から並べたときに真ん中に位置する値です。

そのため、「典型的な世帯の水準」を見るには、平均値より中央値のほうが実感に近い場合が少なくありません。

例えば、二人以上世帯の50歳代は平均1908万円ですが、中央値は700万円です。60歳代でも平均2683万円に対し、中央値は1400万円にとどまっています。

単身世帯では差がさらに大きく、50歳代で平均999万円に対して中央値は120万円、70歳代でも平均1489万円に対して中央値は500万円です。

平均と中央値の間にこれだけの開きがあるということは、資産の持ち方に大きな差があることを示しています。

つまり「1000万円保有」は決して誰にとっても当たり前の水準ではなく、年代や世帯類型によっては一握りに近い面もあるでしょう。

こうした違いは、収入や家族構成、住宅ローンの有無、教育費の負担、退職金の額、投資経験の差など、さまざまな要因によって生まれます。

同じ50歳代、同じ70歳代でも、家計の余力や資産形成の進み方は大きく異なるのです。